2014年に突如PlayStation Storeで無料配信され、その圧倒的な恐怖と謎に満ちた内容で世界中のゲーマーを震撼させた『P.T.』。
このゲームは、実は名作ホラー『サイレントヒル』シリーズの最新作『サイレントヒルズ』の予告編でしたが、本編の開発中止に伴い配信が停止され、今では「幻のゲーム」として語り継がれています。
この記事では、伝説のホラーゲーム『P.T.』とは一体何だったのか、なぜ開発中止・配信停止に至ったのか、そしてゲーム業界にどのような影響を与えたのかを、小島秀夫監督との関連性も踏まえながら詳しく解説します。
伝説のホラーゲーム『P.T.』(サイレントヒルズ)とは?
『P.T.』は、2014年8月14日にPlayStation 4向けに無料配信された一人称視点のホラーゲームです。
その正体や内容は謎に包まれていましたが、クリアすることで衝撃の事実が判明し、大きな話題を呼びました。
突如配信された謎の「プレイアブル・ティーザー」
配信当初、『P.T.』は「7780s Studio」という全く無名のインディースタジオが開発したゲームとして発表されました。
事前の告知は一切なく、多くのプレイヤーが「謎の新作ホラーゲーム」としてプレイを開始しました。
タイトルの『P.T.』が「Playable Teaser(プレイ可能な予告編)」の略であることは、ゲームをクリアして初めて明かされる仕掛けになっていました。
このユニークなプロモーション方法は、プレイヤーに先入観なく純粋な恐怖を体験させるための、計算された演出だったのです。
家の廊下をループする革新的なゲームシステム
ゲームの舞台は、薄暗く不気味な家屋のL字型の廊下のみです。
プレイヤーはこの廊下を何度も何度もループしながら探索を進めます。
ループを繰り返すたびに、ラジオから流れる不穏なニュース、少しずつ変化する部屋の様子、そして突如現れる幽霊「リサ」など、超自然的な現象が次々とプレイヤーを襲います。
行動は「歩く」ことと「ズーム(凝視する)」ことしかできず、武器などで抵抗する手段は一切ありません。
この閉鎖的で逃げ場のない空間と、じわじわと精神を追い詰める演出が、これまでにない強烈な恐怖感を生み出しました。
正体は小島秀夫監督による『サイレントヒル』シリーズ最新作
数々の難解な謎を解き明かし、エンディングにたどり着いたプレイヤーを待っていたのは、衝撃的なトレーラーでした。
そこで初めて、この『P.T.』がコナミの看板ホラーゲーム『サイレントヒル』シリーズの最新作『SILENT HILLS』(サイレントヒルズ)のティーザーであることが明かされます。
さらに、開発を手がけていたのが『メタルギアソリッド』シリーズで世界的に有名な小島秀夫監督であり、映画監督のギレルモ・デル・トロ氏、俳優のノーマン・リーダス氏が参加するという豪華な布陣も発表されました。
このサプライズ演出は世界中で大きな話題となり、『サイレントヒルズ』への期待は一気に高まりました。
なぜ開発中止に?配信停止となった理由
多くのファンが発売を待ち望んだ『サイレントヒルズ』ですが、残念ながらプロジェクトは頓挫し、『P.T.』もPlayStation Storeから姿を消すことになります。
その背景には、いくつかの複雑な事情がありました。
本編『サイレントヒルズ』の開発中止
『P.T.』の配信停止における最も直接的な理由は、本編である『サイレントヒルズ』の開発が中止されたことです。
2015年4月、コナミは正式に開発の中止を発表しました。
『P.T.』はあくまで『サイレントヒルズ』を宣伝するための「広告」であったため、本編のプロジェクトがなくなった以上、その存在意義を失ってしまったのです。
小島秀夫監督とコナミの関係性
『サイレントヒルズ』開発中止の背景には、当時コナミに所属していた小島秀夫監督と、会社側との間に確執があったと広く報じられています。
この時期、コナミ社内では組織再編など大きな動きがあり、その過程で小島監督が率いる小島プロダクションは解散。
監督自身も『メタルギアソリッドV ファントムペイン』の完成を最後に、コナミを退社しました。
このような社内事情が、プロジェクトの進行に大きな影響を与えたことは想像に難くありません。
配信停止と再ダウンロード不可措置
『サイレントヒルズ』の開発中止発表に伴い、『P.T.』は2015年4月29日にPlayStation Storeから削除されました。
さらに、一度ダウンロードしたユーザーであっても、ライブラリから削除すると二度と再ダウンロードができないという厳しい措置が取られました。
これにより、『P.T.』は公式にプレイすることが極めて困難な「幻のゲーム」となり、その希少価値と伝説性をさらに高める結果となったのです。
幻のゲーム『P.T.』が後世に与えた絶大な影響
わずか数ヶ月しか配信されなかったにもかかわらず、『P.T.』がその後のゲーム業界、特にホラーゲームジャンルに与えた影響は計り知れません。
一人称視点ホラーの潮流を変えた
『P.T.』の成功は、戦闘要素を排し、心理的な恐怖と探索に重点を置いた一人称視点ホラーの可能性を改めて証明しました。
閉鎖的な空間でじわじわと恐怖を煽る手法は、多くのクリエイターに衝撃を与え、その後のホラーゲームの潮流に大きな影響を及ぼしました。
数多くのフォロワー作品を生み出した
『P.T.』に影響を受けたと公言するゲームは数多く存在します。
代表的な例としては、カプコンの『バイオハザード7 レジデント イービル』が挙げられます。
同作の体験版は、一人称視点や汚れた屋敷を探索するコンセプトなど、『P.T.』との共通点が多く指摘されました。
他にも『Layers of Fear』や『Visage』など、世界中のインディーゲーム開発者が『P.T.』の精神を受け継ぐ作品を発表しています。
「幻のゲーム」としての価値
配信停止という結末は、皮肉にも『P.T.』の価値を伝説的なものにしました。
現在、公式にプレイする手段がないため、『P.T.』がインストールされたPlayStation 4本体が、オークションサイトで高値で取引される現象も起きました。
プレイできないからこそ、人々の記憶に強く残り、その恐怖と革新性が語り継がれる存在となっているのです。
今から『P.T.』をプレイする方法はある?
公式な配信が終了した現在、『P.T.』をプレイすることは非常に困難です。
しかし、完全に道が閉ざされたわけではありません。
公式なプレイ方法は存在しない
前述の通り、PlayStation Storeからの配信は終了しており、再ダウンロードも不可能です。
そのため、新規に公式な方法で『P.T.』を入手し、プレイすることはできません。
当時ダウンロードしたPlayStation 4本体を所有している人から借りるなどの方法しか、オリジナル版を体験する術はないのが現状です。
ファンによるリメイク作品の存在
『P.T.』を惜しむ熱心なファンによって、PC向けにゲームを再現するプロジェクトが複数立ち上げられています。
これらのリメイク作品は、オリジナルの雰囲気を忠実に再現しようと試みており、一部は無料でダウンロード可能です。
ただし、これらはあくまで非公式なものであり、開発元であるコナミの著作権を侵害する可能性がある点には注意が必要です。
プレイする場合は、自己責任で行う必要があります。
まとめ
今回は、伝説のホラーゲーム『P.T.』(サイレントヒル)とは何か、そして小島秀夫監督が関わった『サイレントヒルズ』が開発中止となった理由について解説しました。
『P.T.』は、『サイレントヒル』シリーズの新作『サイレントヒルズ』のプレイアブル・ティーザーとして、小島秀夫監督らによって開発されました。
しかし、本編の開発中止に伴い配信が停止され、今ではプレイすることが極めて難しい「幻のゲーム」となっています。
短い配信期間であったにも関わらず、その革新的なゲームデザインと圧倒的な恐怖演出は、その後のホラーゲーム界に多大な影響を与え続けています。
公式にプレイすることは叶いませんが、『P.T.』という作品がゲーム史に残した衝撃は、これからも長く語り継がれていくことでしょう。

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