1996年に発売された『ポケットモンスター 赤・緑』は、ポケモンシリーズの原点にして、ゲーム史上最もバグ技が豊富なタイトルとしても知られています。
セレクトバグでレベル100のポケモンを作る方法、MissingNo.の正体、幻のポケモン・ミュウをバグで捕まえる手順など、発売から30年が経った今なお新たな発見が続いています。
「初代ポケモンのバグ技にはどんな種類があるのか知りたい」「仕組みを理解したうえで安全に試してみたい」「RTA界隈で話題の任意コード実行とは何なのか気になる」といった疑問を抱えている方は少なくないでしょう。
この記事では、初代ポケモンの主要なバグ技を網羅的に取り上げ、それぞれの原理・具体的手順・注意点までを体系的に解説していきます。
バーチャルコンソール版での再現可否や、バグ技を活用したRTAの最新動向についてもカバーしていますので、ぜひ最後までお読みください。
そもそも初代ポケモンにバグ技が多いのはなぜ?
初代ポケモンにバグ技が大量に存在する最大の理由は、ゲームボーイという限られたハードウェア環境と、少人数による長期開発が重なった結果です。
現代のゲーム開発とは比較にならないほどの制約の中で作られたソフトだからこそ、プレイヤーが意図しない操作をしたときにゲームが想定外の挙動を見せてしまう余地が多く残されていました。
開発背景から見るバグ大量発生の根本原因
初代ポケモンの開発は1989年頃にスタートし、発売までに約6年という異例の長期間を要しています。
開発元であるゲームフリークは当時まだ小規模なスタジオであり、限られた人員でプログラミングからデータ設計までをこなす必要がありました。
開発途中で資金難に陥る場面もあったとされており、品質管理やデバッグに十分なリソースを割くことが難しい状況だったと考えられています。
こうした背景から、メモリアクセスの境界チェックやデータの整合性検証といった、現代では当然行われるセキュリティ対策が不十分なままリリースされてしまったのです。
ゲームボーイの容量制約とメモリ管理の限界
ゲームボーイ用カートリッジの容量は、初代ポケモンの場合8Mbit(約1MB)しかありません。
この小さな容量に151種類のポケモン、マップ、イベント、テキスト、BGMなど膨大なデータを詰め込む必要がありました。
そのためデータ領域を贅沢に確保することができず、道具データ・技データ・ステータスデータなどがメモリ上で隙間なく連続して配置されていたのです。
「ここからここまでが道具のデータ」「ここからが技のデータ」という厳密な仕切りは存在せず、あくまでプログラム側が「この番地からこの番地を道具として読む」と決めているだけでした。
この設計は容量節約には効果的でしたが、プレイヤーが想定外の操作でデータの読み取り範囲をずらしてしまうと、本来アクセスできないはずの領域まで書き換えられてしまうという致命的な弱点を抱えていたのです。
初代ポケモンの代表的バグ技一覧と分類
初代ポケモンのバグ技は数が非常に多いため、大きく4つの系統に分類すると理解しやすくなります。
それぞれの系統は原理が異なり、できることや対応バージョンも違うため、まずは全体像を把握しておくことが重要です。
セレクトバグ系(赤・緑・青で使用可能)
道具リストでセレクトボタンを押してBボタンでキャンセルするという操作をトリガーとするバグ群です。
レベル100化、任意の技習得、道具増殖、バグショップなど、最も多くの派生バグを持つ系統であり、初代バグ技の代名詞的存在といえます。
赤・緑・青の3バージョンで使用可能ですが、ピカチュウ版では修正されており使用できません。
MissingNo.(けつばん)系バグ
トキワシティの老人チュートリアルとグレンタウン海岸の波乗りを組み合わせることで、存在しないはずのポケモン「MissingNo.」に遭遇できるバグです。
海外版(Red/Blue)で特に有名で、アイテム増殖の副次効果があることから広く利用されてきました。
プレイヤー名のデータが野生ポケモンの出現テーブルとして誤読されるというメモリの二重利用が原因です。
Fifth法(トレーナーフライ)系バグ
遠距離反応型トレーナーの視認範囲に入った瞬間に「そらをとぶ」や「テレポート」で脱出することで、戦闘フラグの不整合を引き起こすバグです。
最後に戦ったポケモンの「とくしゅ」ステータス値に対応する任意のポケモンを出現させることができ、ミュウの入手手段としても広く知られています。
ピカチュウ版を含む全バージョンで使用可能な点が大きな特徴です。
任意コード実行(ACE)系バグ
アイテム所持数の破壊などを通じてメモリのプレイヤーデータ領域を直接操作し、ゲーム内でプログラムコードそのものを書き換える最上位のバグ手法です。
理論上はゲーム内でできないことはなくなるため、新しいイベントの作成やミニゲームの構築すら可能になります。
RTAコミュニティでは、任意コード実行を使って数分でエンディングに到達するチャートが開発されています。
セレクトバグの仕組みと原理をわかりやすく解説
セレクトバグは初代ポケモンのバグ技の中で最も応用範囲が広く、理解しておけば他の派生バグもスムーズに把握できます。
一見複雑に見える現象も、「メモリ上のデータ配置」と「セレクトボタンの待機状態」という2つの要素を理解すれば、仕組みは明快です。
セレクトBBで「入れ替え待機状態」が残るとどうなる?
セレクトボタンは本来、道具や技の並び順を入れ替えるためのボタンです。
道具リストで任意の位置にカーソルを合わせてセレクトボタンを押すと、「入れ替え先を待っている状態」に入ります。
通常であれば、Bボタンでキャンセルすればこの待機状態もリセットされるべきですが、初代ポケモンではプログラムのミスにより、待機状態がメモリ上に残ったままリストが閉じられてしまいます。
この状態でフィールドに戻り、野生ポケモンとの戦闘に入って「たたかう」コマンドから技リストを開くと、先ほどの「○番目を入れ替える」という情報がそのまま技リストに適用されてしまうのです。
つまり、道具リストの7番目でセレクトを押していた場合、技リストの「7番目」のデータと入れ替え処理が行われます。
技リストの7番目以降に何のデータが入っているのか
ポケモンの技は最大4つまでしか覚えられないため、「技リストの5番目以降」は本来存在しません。
しかしゲームボーイのメモリ上では、技データの直後にポケモンのIDや経験値、ステータスといった別のデータが連続して格納されています。
境界チェックが行われていないため、「7番目の技」という指定を受けたプログラムはエラーを出さず、技データ領域の先にあるデータをそのまま読みに行ってしまいます。
具体的には、7番目は経験値の上位バイト、8番目は経験値の中位バイト、9番目は経験値の下位バイトに対応しています。
この対応関係を理解しているかどうかで、セレクトバグで何ができるかが大きく変わってきます。
ピカチュウ版でセレクトバグが使えない理由
ピカチュウ版(1998年発売)では、Bボタンキャンセル時にセレクトの入れ替え待機状態も同時にリセットされるよう、プログラムが修正されています。
この修正により、セレクトバグの発動条件そのものが成立しなくなりました。
ただし、ピカチュウ版でもセレクトバグとは無関係のバグ(Fifth法や毒サファリバグなど)は健在であり、任意コード実行への到達も可能です。
セレクトバグが修正されたからといって、バグ技が一切使えなくなったわけではない点は押さえておきましょう。
7番目バグでポケモンを一瞬でレベル100にする方法
7番目バグは、セレクトバグの中で最も有名かつ手軽に実行できるバグ技です。
任意のポケモンのレベルを一気に100まで引き上げることができるため、発売当時から口コミやゲーム雑誌を通じて爆発的に広まりました。
7番目バグの具体的な手順と成功のコツ
実行手順は以下の通りです。
- スタートボタンでメニューを開き、「どうぐ」を選択する
- 道具リストの上から7番目にカーソルを合わせ、セレクトボタンを押す
- Bボタンを2回押してメニューを閉じる
- 草むらに入って野生ポケモンとエンカウントする
- 「たたかう」を選び、攻撃技以外の技(変化技など)を選択する
- 選択した技の表示がバグって文字化けしていれば成功
- そのまま野生ポケモンを倒すと、経験値獲得時にレベルが一気に100まで上昇する
成功のコツとしては、レベルを上げたいポケモンに必ず2つ以上の技を覚えさせておくことが挙げられます。
技が1つしかない状態でバグった技を選ぶとフリーズする危険性が高いため、攻撃技と変化技を両方持たせた状態で臨むのが安全です。
レベル100にしたポケモンの注意点とデメリット
7番目バグでレベル100になったポケモンには、いくつかの欠点があります。
まず、通常のレベルアップを経ていないため、途中で習得するはずだった技を覚えていません。
わざマシンで補える技は問題ありませんが、レベルアップ限定の技は別のバグ技を使わない限り習得できなくなります。
次に、努力値(経験値とは別にバトルで蓄積されるステータス補正値)がほとんど入っていないため、正規にレベル100まで育てた個体と比較するとステータスが低くなりがちです。
さらに、レベルアップによって進化するポケモンの場合、進化イベントがスキップされてしまう点にも注意が必要です。
例えばニドリーノをレベル100にしても、つきのいしを使わない限りニドキングには進化できません。
9番目バグで好きな技を覚えさせる方法
9番目バグを使えば、本来そのポケモンが覚えられない技であっても自由に習得させることが可能です。
「キノコのほうし」のような強力な技を覚えさせるなど、通常のプレイではあり得ない技構成を作り出せるため、7番目バグと並んで高い人気があります。
経験値と技の内部コードの対応表の見方
9番目バグの核となるのは、「ポケモンの現在の経験値を256で割った余り」が「技の内部コード」に対応しているという仕組みです。
初代ポケモンでは各技に1から165までの内部コード番号が割り振られています。
例えば「はたく」は1、「からてチョップ」は2、そして「キノコのほうし」は147です。
覚えさせたい技の内部コードを調べ、ポケモンの経験値をmod 256(256で割った余り)がそのコードと一致するように調整する必要があります。
この対応表は、有志によってインターネット上で広く公開されており、「初代ポケモン 技 内部コード」などで検索すれば確認できます。
9番目バグの実行手順と失敗しないための調整方法
基本的な手順は7番目バグとほぼ同じですが、セレクトボタンを押す位置が道具の9番目になる点が異なります。
実行の流れは以下の通りです。
- 覚えさせたい技の内部コードを確認する
- 対象ポケモンの経験値を256で割った余りが、そのコードと一致するように調整する
- 道具リストの9番目でセレクトBBを行う
- 野生ポケモンとの戦闘に入り、技を選択する
- 戦闘終了後、技が書き換わっている
経験値の微調整には育て屋が便利です。
育て屋にポケモンを預けると1歩歩くごとに経験値が1増えるため、目的の数値に合わせやすくなります。
注意すべき点として、余りの値が166以上255以下になってしまうと、初代ポケモンに存在しない技のコードを参照してしまい、技名が文字化けしたりフリーズの原因になったりする可能性があります。
実行前に必ず計算を確認し、数値が165以下に収まっていることを確かめてからバグを発動させましょう。
14番目バグでマスターボールやふしぎなアメを増殖させる方法
14番目バグは、貴重な道具の個数を大幅に増やせるバグ技です。
マスターボールやふしぎなアメ、ポイントアップなど、通常プレイでは入手数が限られるアイテムを100個以上に増殖させることができます。
ただし、7番目バグや9番目バグと比べてセーブデータ破損のリスクが高いため、実行にはより慎重な対応が求められます。
道具増殖バグの手順とバグ要員ポケモンの準備
14番目バグの実行には、増殖対象の道具とバグ要員となるポケモンの事前準備が必要です。
手順を整理すると以下のようになります。
- 道具リストの2番目に増殖したい道具を配置する
- 道具リストの14番目に「捨てられない道具(たいせつなもの等)」を置く
- バグ要員ポケモンを1匹用意し、姓名判断師でニックネームをひらがなの「と」以降の文字または「ー」のうちいずれか1文字だけに変更する
- バグ要員ポケモンを手持ちの2番目以降に配置する
- 道具リストの14番目でセレクトBBを行い、野生ポケモンとエンカウントする
- 「ポケモン」コマンドでバグ要員を選択し、表示がバグったことを確認して逃げる
- 道具リストを開くと2番目の道具の個数が変化している
- 2番目の道具と14番目のたいせつなものを入れ替える
- 手順5~6をもう1度繰り返し、バグ状態を解除する
最後の「バグ状態の解除」を忘れると、ポケモンのデータが壊れたままになりゲーム続行が困難になるため、必ず2回実行してバグを元に戻してください。
増殖する個数はバグ要員のニックネームに使った文字の内部コードに依存し、「ー」(長音符)の場合は最大の227個になります。
バグショップ(闇市)で買えるアイテム一覧
14番目バグでポケモンをバグらせた状態のまま、トキワシティのフレンドリィショップを訪れると、通常では考えられない品揃えの店が出現します。
これが通称「バグショップ」「闇市」と呼ばれるものです。
まず「うりにきた」でバグアイテムを売却してから「かいにきた」を選ぶと、マスターボール、ふしぎなアメ、かいのカセキ、ひみつのコハクといった本来は非売品のアイテムが購入可能になります。
バグアイテムの売却で大量の資金が手に入るため、金銭面の心配はほとんどありません。
買い物が終わったら、14番目バグの解除手順(セレクトBB→バグ要員選択をもう1度行う)を忘れずに実行して正常な状態に戻す必要があります。
MissingNo.バグの発生条件と仕組みを図解で理解する
MissingNo.(ミッシングナンバー)は、初代ポケモンの中で世界的に最も知名度の高いバグポケモンです。
日本語版では「けつばん(欠番)」とも呼ばれ、内部的にはポケモンIDリストの未定義スロットに割り当てられたプレースホルダーに相当します。
老人チュートリアルとグレンタウン海岸で何が起きているのか
MissingNo.バグの手順は、大きく分けて2つのステップで構成されています。
まず、トキワシティの北にいる老人にポケモンの捕まえ方を見せてもらいます。
このチュートリアルが再生される際、ゲームは内部的にプレイヤーの名前データを一時的に退避させるのですが、退避先がちょうど野生ポケモンの出現テーブルが格納されるメモリ領域と重なっています。
次に、そのままグレンタウンへ「そらをとぶ」で移動し、島の東側の海岸線(陸地と海の境界タイル)で「なみのり」をします。
この海岸タイルには固有の出現テーブルが設定されておらず、直前に使われていたデータ、すなわち老人チュートリアル時に書き込まれたプレイヤー名のバイト列がそのまま出現ポケモンとして解釈されてしまうのです。
プレイヤー名の文字コードがポケモンの種族IDとして読み込まれた結果、151種のいずれにも該当しない値が「MissingNo.」として表示される、というのがこのバグの正体です。
MissingNo.に遭遇するとアイテムが増える理由
MissingNo.と遭遇すると、手持ちアイテムの6番目の個数に128が加算されるという副次効果が発生します。
この現象は、MissingNo.のスプライト(見た目のグラフィック)データが正常に定義されていないことに起因しています。
ゲームがMissingNo.のスプライトを展開しようとした際にバッファオーバーフローが発生し、スプライト展開用のメモリがSRAM(セーブデータ領域)にはみ出して書き換えてしまうのです。
このとき書き換わる領域がたまたまアイテム個数のフラグと重なっていたため、アイテムが増殖するという結果になります。
MissingNo.捕獲でデータは壊れる?実際のリスクを検証
MissingNo.について「捕まえるとデータが壊れる」という噂が昔から存在しますが、実態はやや異なります。
MissingNo.に遭遇した時点で確実に発生する影響は、殿堂入り記録データの破損です。
これはスプライト展開時のバッファオーバーフローが原因であり、殿堂入りデータが意味不明なポケモン名やレベルで上書きされてしまいます。
一方、MissingNo.を捕獲してボックスに預けたり、手持ちに入れたまま冒険を続けたりしても、一般的にはゲーム進行そのものに致命的な影響は出ないとされています。
ただし、MissingNo.のステータス画面を開く、別のバグと組み合わせるといった操作を行うと予測不能な挙動を引き起こす可能性があるため、捕獲後の取り扱いには注意が必要です。
Fifth法(トレーナーフライ)で任意のポケモンを出現させる方法
Fifth法は、セレクトバグが使えないピカチュウ版でも実行できる万能なバグ技です。
正規の手段では入手できない幻のポケモン・ミュウを含め、内部データに存在する任意のポケモンを出現させることができます。
名称は発見者のハンドルネームに由来しており、海外では「Trainer-Fly glitch」とも呼ばれています。
Fifth法の原理と「とくしゅ」ステータスの関係
Fifth法の核心は、ゲーム内で「トレーナーに見つかった」という戦闘フラグが不整合な状態を作り出す点にあります。
遠距離反応型トレーナーの視認範囲に入った瞬間にメニューを開き、「そらをとぶ」や「テレポート」で脱出すると、「トレーナーに発見されたが、戦闘は開始されていない」という中途半端な状態が残ります。
この状態でフィールドに戻るとスタートボタンが反応しなくなりますが、別のトレーナーと戦闘して勝利することでメニュー操作が復帰します。
その後、最初にバグを発動させた場所に戻ると、自動的にメニューが開き、閉じた瞬間に野生ポケモンとの戦闘が始まります。
出現するポケモンの種類は、バグ発動後に最後に戦闘した相手ポケモンの「とくしゅ」ステータスの値によって決まります。
初代ポケモンでは「とくこう」と「とくぼう」が分かれておらず、「とくしゅ」という1つのステータスにまとまっていた点がこのバグの鍵となっています。
ハナダバグでミュウを捕まえる具体的手順
Fifth法の応用として最も有名なのが、通称「ハナダバグ」と呼ばれるミュウ入手法です。
ミュウの内部インデックス番号は21であり、「とくしゅ」の値が21であるポケモンと最後に戦闘すればミュウが出現します。
ハナダジムの特定のトレーナーが持つポケモンの「とくしゅ」がちょうど21であるため、以下の手順で比較的簡単にミュウを出現させられます。
- 24番道路で池の横にいる遠距離反応型トレーナーの視認範囲に入った瞬間、メニューを開いて「テレポート」で脱出する
- スタートボタンが効かなくなった状態でハナダジムに入り、ジム内のトレーナー(ジムリーダーではない)と戦闘して勝利する
- ゴールデンブリッジ(24番道路の橋)に向かう
- 自動的にメニューが開くのでBボタンで閉じると、レベル7のミュウとの戦闘が始まる
- 好きなボールで捕獲する
ハナダジム内のトレーナーを倒してしまっている場合はこの手順が使えないため、新しいデータで計画的に進める必要があります。
メタモンを使って狙ったポケモンを確実に出す方法
ミュウ以外の任意のポケモンを出したい場合は、メタモンの「へんしん」を利用する方法が確実です。
出現させたいポケモンの内部インデックス番号を調べ、「とくしゅ」の値がその番号と一致するポケモンを手持ちに用意します。
次に、Fifth法でバグを発動させた後、メタモンが出現する場所(13番道路など)に行き、メタモンに用意したポケモンへ「へんしん」させます。
へんしんしたメタモンは変身先のステータスをコピーするため、「とくしゅ」の値もコピーされます。
この状態でメタモンを倒す(または逃げる)と、最後に戦った相手の「とくしゅ」値に対応するポケモンが次のエンカウントで出現します。
メタモンを捕獲してしまうとメタモン本来のステータスが参照されてしまうため、必ず「倒す」か「逃げる」で戦闘を終了させてください。
任意コード実行(ACE)で初代ポケモンはどこまでできる?
任意コード実行(ACE:Arbitrary Code Execution)は、ゲーム内のメモリにプレイヤーが直接プログラムコードを書き込み、実行させる最上位のバグ技術です。
セレクトバグやFifth法が「既存のデータを読み替える」のに対し、ACEは「ゲームそのものを書き換える」ことを可能にします。
任意コード実行の基本的な仕組みと導入手順
ACEの入口となるのは、アイテム所持数の破壊バグです。
道具リストの13番目でセレクトBBを行った後に野生ポケモンとの戦闘でポケモンをバグらせると、道具リストの「やめる」より下の領域にアクセスできるようになります。
この「やめる」より下の領域には、プレイヤーの名前、バッジ所持状況、現在地の座標、マップ情報など、ゲームの進行を管理するデータが格納されています。
道具の入れ替えや個数の調整という操作を通じて、これらのデータを任意の値に書き換えることができるのです。
さらに応用すると、特定のメモリアドレスにZ80アセンブリ(ゲームボーイのCPU命令)に相当するバイト列を道具データとして配置し、ゲームにそのアドレスをジャンプ先として実行させることで、完全な任意コード実行が成立します。
ゲーム内バイナリエディタの構築と応用例
任意コード実行の研究が進んだ結果、ゲーム内にバイナリエディタ(メモリの内容を直接閲覧・編集するツール)を構築することが可能になっています。
バイナリエディタが完成してしまえば、セレクトバグのような複雑な手順を踏まなくても、セーブデータのあらゆる値を直接書き換えられるようになります。
コミュニティでは、ACEを活用した応用例として以下のようなものが報告されています。
| 応用例 | 内容 |
|---|---|
| 任意のポケモン生成 | 種族、レベル、技構成、個体値、親ID等を完全に指定して作成 |
| トレーナー戦の改造 | 本来戦えないオーキド博士やカスタムトレーナーとの戦闘を実現 |
| 後世代キャラの召喚 | ゲーム内に後世代のキャラクター(ナンジャモ等)をプログラムして戦闘 |
| ミニゲーム作成 | テトリスやオセロなどの別ゲームをゲーム内で動作させる |
| ドット絵・アニメーション | ゲーム内グラフィックを自由に描画・アニメーション化 |
| BGM演奏 | ゲーム内音源を利用したオリジナル楽曲の再生 |
もはや「ゲームをプレイしている」というより「ゲームボーイをプログラミングしている」と表現した方が正確な領域に達しているといえるでしょう。
ピカチュウ版での毒サファリバグからのACE導入方法
ピカチュウ版ではセレクトバグが修正されているため、ACEへの到達には別のルートが必要です。
現在確立されている主要な手法は「毒サファリバグ」を利用するものです。
サファリゾーンでは入場時に500歩の歩数制限が設けられていますが、手持ちポケモンが毒状態で残りHPが少ない場合に特定の条件が重なると、歩数カウントとHPの処理が競合して想定外のメモリ状態が発生します。
この不整合を起点として、アイテム所持数の破壊と同等の状態を作り出し、最終的にACEへと到達できます。
ピカチュウ版でのACE導入は赤・緑・青と比べて手順が複雑ですが、RTAコミュニティでは「毒サファリ→いあいぎり」と呼ばれる効率的なチャートが開発され、実用的な速度で実行可能になっています。
バーチャルコンソール版でもバグ技は使えるのか
2016年に3DSのバーチャルコンソール(VC)で配信された初代ポケモンは、オリジナルのゲームボーイ版をほぼそのままエミュレートしているため、大部分のバグ技がVC版でも再現可能です。
VC版で再現できるバグ技・できないバグ技の違い
VC版はゲームボーイのハードウェアをソフトウェア的に再現しているため、ゲーム内部のプログラムやメモリ構造はオリジナル版と同一です。
そのため、セレクトバグ、MissingNo.バグ、Fifth法、任意コード実行など、主要なバグ技はほぼすべてVC版でも動作します。
一方、VC版特有の制約として、3DSのバックアップ機能(まるごとバックアップ)にポケモンのソフトは対応していないという点があります。
つまり、レポートを書いてセーブしてしまうと、バグ技の実行前の状態に戻すことができません。
オリジナル版ではカートリッジの電池切れや接触不良でデータが消えるリスクがありましたが、VC版ではそうした物理的リスクがない代わりに、バグ技に失敗した際の巻き戻しが効かないという別の注意点が存在します。
VC版バグ技ポケモンをポケムーバーで送れるかの判定基準
VC版の初代ポケモンは「ポケムーバー」を介して3DSの『ポケモン サン・ムーン』以降のソフトにポケモンを転送できますが、バグ技で入手したポケモンには厳しい判定が設けられています。
ポケムーバーは転送時にポケモンのデータを検証し、正規の手段では存在しえない不正なデータを弾く仕組みになっています。
具体的には、「種族データと見た目データの不一致」「存在しない技の所持」「不正なステータス値」などが検出された場合、転送が拒否されます。
セレクトバグで作成したミュウや、任意コード実行で生成したポケモンは、基本的にポケムーバーの判定を通過できないと考えてよいでしょう。
ただし、Fifth法(ハナダバグ含む)で正規の出現テーブルから出現させたポケモンについては、データ構造が正規のものと同一であるため、転送が成功するケースもあると報告されています。
確実な転送を望むのであれば、バグ技で入手したポケモンはVC版内で楽しむものと割り切るのが無難です。
バグ技を使ったRTAの世界と最新記録
初代ポケモンのバグ技はRTA(リアルタイムアタック)の世界でも中核的な役割を果たしています。
バグを駆使することで通常プレイでは不可能な速度でのクリアや、本来あり得ないカテゴリの走破が実現されており、ゲームコミュニティの中でも独自の文化を形成しています。
バグあり図鑑完成RTAの現在のチャートと記録推移
「バグあり図鑑完成RTA」は、バグ技の使用を許可した状態で図鑑の151匹(またはミュウを除く150匹)を1本のソフトで完成させるタイムを競うカテゴリです。
任意コード実行を組み込んだチャートの開発が進んでおり、2025年初頭の時点でミュウ除く150匹の完成タイムは約5時間13分が日本勢のトップ記録として記録されています。
2026年に入ってからも新チャートの研究・実走が活発に行われており、世界記録の更新を目指す配信が定期的に行われています。
チャートは常に改良が加えられており、任意コード実行で複数のポケモンを一括生成するルートや、道具配置の最適化による時間短縮が日々検証されています。
任意コード実行を活用した特殊カテゴリRTAの最新動向
通常のクリアRTAやポケモン図鑑完成RTA以外にも、任意コード実行の特性を活かしたユニークなカテゴリが生まれています。
代表的なものとして、初代ポケモンの中に後世代のトレーナー(例:パルデア地方のナンジャモ)をACEでプログラムして召喚・撃破するRTAがあります。
このカテゴリでは約42分という記録が報告されており、「初代ポケモンの中で本来存在しないキャラクターと戦う」というコンセプトが多くの視聴者の注目を集めました。
また、セーブ破壊バグとACEを組み合わせて数分以内にエンディングに到達する「any%」カテゴリも存在し、ゲームを起動してからエンディングまでの時間を極限まで短縮する技術が競われています。
RTA in Japanで話題になった初代ポケモンの名場面
日本最大のRTAイベント「RTA in Japan」では、初代ポケモン関連のプレイが繰り返し採用され、大きな反響を呼んでいます。
2024年夏の「RTA in Japan Summer 2024」では、初代ポケモンの赤と緑を1人で2本同時操作するという驚異的なマルチタスクRTAが披露されました。
両手両足で別々の操作を行いながらリアルタイムで解説も行うというパフォーマンスに、視聴者からは驚きの声が多数寄せられています。
2025年末の「RTA in Japan Winter 2025」でも初代ポケモン関連の走者が「語り継ぎたい神プレイ」として推薦されるなど、発売から30年が経過してもなおRTAコミュニティにおける初代ポケモンの人気は衰えていません。
初代ポケモンのバグ技を試す前に知っておくべき注意点
バグ技は大きな魅力を持つ反面、常にリスクと隣り合わせです。
実行前にリスクの内容と予防策を正しく理解しておくことで、不要なデータ損失を防ぐことができます。
セーブデータ破損を防ぐための鉄則と事前準備
バグ技を試す際の最も重要な鉄則は、「実行前に必ずレポートを書いておくこと」です。
万が一フリーズやデータ異常が発生した場合、電源を切ってリセットすれば最後にレポートを書いた時点の状態に戻れます。
逆に、バグ技を実行した後にレポートを書いてしまうと、異常な状態がセーブされてしまい、元に戻すことができなくなります。
理想的には、バグ技の練習・実験用に別のカートリッジ(またはVC版の別アカウント)を用意し、メインのセーブデータには一切影響を与えない環境を整えることが推奨されます。
また、セレクトバグ系の14番目バグなど、2回実行して状態を元に戻す手順が含まれるバグ技では、解除手順を飛ばさないよう手順書を手元に用意しておくと安心です。
通信交換やポケモンスタジアムに与える影響
バグ技で変化させたポケモンを通信交換や『ポケモンスタジアム』で使用すると、予期しない挙動が発生することがあります。
初代ポケモンでは各ポケモンに「見た目データ(表示上の種族)」と「中身データ(内部的な種族ID)」の2つが存在しており、セレクトバグで見た目だけを変えて中身を変えていない場合、育て屋に預けたりポケモンスタジアムに接続した時点で、中身のデータに基づいて見た目が元に戻されてしまいます。
また、見た目と中身が一致していないポケモンは、金・銀へのタイムカプセル転送ができないという制限もあります。
通信交換の相手に迷惑をかけないためにも、バグ技で作成・改変したポケモンはなるべく個人の環境内にとどめておくのがマナーといえるでしょう。
バグ技実行で取り返しのつかなくなるケース一覧
以下のケースでは、一度発生すると元の状態に戻すことが困難または不可能になるため、特に注意が必要です。
| ケース | 詳細 |
|---|---|
| バグ状態でのレポート | 14番目バグの解除前にセーブすると、ポケモンや道具が異常な状態で固定される |
| アイテム欄の不用意な操作 | アイテム所持数破壊後に「やめる」より下の領域を不用意に操作すると、バッジ所持数やライバル名など重要フラグが書き換わる |
| バグポケモンのステータス閲覧 | 一部のバグポケモンのステータスを開くとスプライト展開でフリーズし、電源を切る以外に復帰手段がない |
| VC版での操作ミス | 3DSのまるごとバックアップ非対応のため、レポート後のロールバックが不可能 |
| 座標バグ後の移動 | 座標データを書き換えた後に「そらをとぶ」等の脱出手段がないと、永久に移動不能になる場合がある |
これらの事態を避けるために、バグ技の実行は手順を十分に理解してから行い、少しでも想定外の挙動が見られた場合は即座に電源を切ってリセットするという判断が重要です。
まとめ:ポケモン初代バグ技の全体像と押さえるべきポイント
- 初代ポケモンにバグが多い根本原因は、ゲームボーイの1MBという容量制約と、メモリ境界チェックの欠如にある
- セレクトバグは道具リストの「入れ替え待機状態」がBキャンセルで解除されないプログラムミスを利用し、メモリ上の任意のデータを書き換える手法である
- 7番目バグで経験値上位バイトを操作しレベル100化、9番目バグで経験値下位バイトを操作し任意の技を習得させられる
- 14番目バグは道具増殖やバグショップの利用を可能にするが、解除手順を忘れるとデータ破損のリスクが高い
- MissingNo.はプレイヤー名が野生ポケモン出現テーブルとして誤読されることで出現するバグポケモンである
- Fifth法はトレーナーの戦闘フラグの不整合を利用し、最後に戦った相手の「とくしゅ」値に対応するポケモンを出現させる
- ハナダバグはFifth法の応用であり、ピカチュウ版を含む全バージョンでミュウ入手が可能である
- 任意コード実行(ACE)はバグ技の最上位手法であり、ゲーム内でのプログラム作成やバイナリエディタ構築まで実現できる
- バーチャルコンソール版でもほぼ全てのバグ技が再現可能だが、ポケムーバーの転送判定やバックアップ非対応には注意が必要である
- バグ技を試す際は実行前のレポート保存を徹底し、異常発生時は即座に電源を切るという鉄則を守ることでデータ破損を防げる

コメント