『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』は、シリーズで初めて携帯ゲーム機向けに発売され、累計出荷本数430万本を超える大ヒットを記録しました。
一方で、インターネット上では「ストーリーがひどい」「内容が薄い」といったネガティブな評価が目立つことも事実です。
かつての社会現象を知る世代も、これから新しくプレイしようと考えている方も、なぜこれほど評価が分かれるのか気になっているのではないでしょうか。
この記事では、ドラクエ9のストーリーが批判される具体的な理由から、実は奥深いとされる隠れた魅力、そして2025年現在のプレイ環境まで詳しく解説します。
読後には、本作が単なる「ひどい作品」ではなく、なぜ多くのファンの記憶に残り続けているのかが明確に理解できるはずです。
ドラクエ9のストーリーがひどい・薄いと言われる5つの理由
ドラクエ9のメインストーリーに対して「ひどい」という評価が下される背景には、従来のナンバリング作品とは異なる独特の設計が関係しています。
特にシリーズファンが期待していた「重厚な冒険劇」という側面において、いくつかの大きな変化がありました。
ここでは、否定的な意見の根拠となっている5つのポイントを整理します。
仲間キャラクターが無個性なモブで物語への介入がない
ドラクエ9のパーティメンバーは、ルイーダの酒場でプレイヤーが自由に作成するシステムであり、ストーリー上のセリフや個別のエピソードが一切存在しません。
過去作である『ドラクエ4』や『ドラクエ8』のように、仲間同士の掛け合いや人間模様を楽しみにしていたプレイヤーにとって、この「無個性なモブキャラ」との旅は非常に味気ないものに映りました。
主人公一人だけが物語の当事者であり、仲間は単なる「戦闘ユニット」として扱われるため、パーティ全体での一体感や感動が薄れてしまったことが大きな要因です。
メインストーリーのボリュームが歴代ナンバリングに比べ短い
本作のメインストーリーをクリアするまでの時間は、寄り道をしなければ約30時間から40時間程度であり、他のナンバリング作品と比較して短めです。
これは「クリア後のやり込み」や「マルチプレイ」に比重を置いた設計によるものですが、物語を重視する層からはボリューム不足と指摘されました。
壮大な世界を救うという感覚よりも、各地の小さな問題を解決して回るという構成が、全体的な物語のスケールを小さく感じさせてしまったことも否定できません。
ガングロギャルサンディの言動が従来のファンに不評だった
物語のお助けキャラとして登場する妖精「サンディ」のキャラクター像は、当時のドラクエファンに大きな衝撃を与えました。
「超ウケるんですけど」「テラキモス」といったガングロギャル風の口調や派手な見た目は、中世ファンタジーの世界観にそぐわないと拒絶反応を示すユーザーが多く存在しました。
物語の重要な局面でもギャル特有の軽いノリを崩さないため、シリアスな展開に没入したかったプレイヤーからは「雰囲気を壊している」という厳しい意見が上がりました。
天使や箱舟の設定がドラクエの世界観を壊しているという批判
「天使界」を舞台とし、主人公が守護天使であるという設定や、移動手段として「天の方舟」という機械的な乗り物が登場する点は賛否が分かれました。
これまでの剣と魔法の王道ファンタジーを愛する層にとって、SF要素を感じさせる箱舟やキリスト教的なモチーフが強く出た設定は、異質なものとして捉えられたのです。
特にシリーズへの思い入れが強い熟練プレイヤーほど、こうした新機軸の設定を「ドラクエらしくない」と評価する傾向にありました。
オムニバス形式の短編シナリオが多く全体の一体感が薄い
ドラクエ9の物語は、各地に散らばった「女神の果実」を集めるために各町を巡る短編集のような形式で進みます。
一つ一つの町の物語は独立しており、次の町へ行くと前の町の住人との関わりがほとんど途絶えてしまうため、長い旅路を通じた連続性が感じにくい構造です。
点在するエピソードを繋ぐ縦軸のストーリーが終盤まで見えにくかったことが、物語全体が「薄い」と言われる一因となりました。
ひどいだけじゃない!ストーリーが深いと評価するファンの視点
批判の声がある一方で、ドラクエ9のストーリーを「実はシリーズ屈指の深さがある」と絶賛するファンも少なくありません。
メインストーリーの裏側に隠された設定や、クリア後に明かされる真実を知ることで、物語の評価は一変します。
ここでは、高く評価されている具体的なエピソードや設定について解説します。
師匠イザヤールとエルギオスを巡る自己犠牲と救済の物語
物語の核心に位置する主人公の師匠「イザヤール」と、ラスボスである「エルギオス」の関係性は非常にドラマチックです。
かつて人間を愛しながらも裏切られ、憎しみの権化となったエルギオスと、その師を救うために独自の信念で動くイザヤールの姿は、深い愛と悲哀を感じさせます。
単なる善悪の対立ではなく、師弟関係や忠誠心、そして「許し」をテーマにした終盤の展開は、大人の鑑賞にも堪えうる重厚な内容となっています。
ベクセリアやサンマロウなど各町で展開される切ない人間ドラマ
ドラクエ9の短編シナリオは、一つ一つを細かく見ると非常に完成度が高く、切ない結末を迎えるものが多いのが特徴です。
例えば、不治の病に侵された町を救おうとする学者の悲劇を描いた「ベクセリア」のエピソードや、孤独な少女と人形の友情を描いた「サンマロウ」の物語は、多くのプレイヤーの涙を誘いました。
全体の一体感こそ薄いものの、各町で出会う人々の生々しい葛藤や別れは、ドラクエらしい「心に刺さる」エピソードの宝庫と言えます。
クリア後のクエストで補完される天使界の真実と後日談
本作の真の面白さは、エンディング後の「配信クエスト」を含む追加シナリオに集約されています。
クリア後の世界では、なぜ天使たちが地上を見守っていたのか、そして女神セレシアの真意は何だったのかといった謎が次々と解明されます。
本編だけでは描ききれなかったイザヤールのその後のエピソードなども補完されるため、これらを全てプレイすることで初めてドラクエ9の物語は完結すると言っても過言ではありません。
11(過ぎ去りし時を求めて)にも繋がる世界設定の奥深さ
最新作である『ドラクエ11』をプレイしたファンにとって、ドラクエ9の設定は無視できない重要な意味を持っています。
11の追加要素や世界設定の中には、9に登場した「天使」や「創造神」との繋がりを強く示唆する部分があり、シリーズ全体の歴史を紐解く鍵となっています。
9を単体作品としてではなく、ロトシリーズや天空シリーズと同様に「大きな歴史の一部」として捉え直すと、その設定の緻密さに驚かされるはずです。
システムへの不満がストーリーの評価を下げた背景
ストーリーそのものへの批判は、実はゲームシステムに対するストレスが影響している側面があります。
ハードウェアの制約や新しい試みが、結果として物語体験の質を下げてしまったという指摘がなされています。
どのようなシステム面が影響を与えたのか、具体的に見ていきましょう。
DSのスペックによる3Dグラフィックの劣化とキャラの低頭身化
前作『ドラクエ8』がPS2で美麗な8等身グラフィックを実現していたため、DSへの移行による画質の低下に失望したファンが多くいました。
低頭身でデフォルメされたキャラクターは、シリアスなシーンでも表情や動きが分かりづらく、感情移入を妨げる一因となりました。
物語の演出力がハードの限界によって制限されてしまったことが、ストーリーの満足度に直接的な影響を及ぼしています。
ドラクエ3形式の転職するとレベル1に戻る仕様への賛否
本作は『ドラクエ3』のシステムを踏襲しており、転職するとレベルが1に戻る仕様になっています。
これによりスキルポイントを稼ぐ楽しみは増えましたが、ストーリーの途中で転職すると、再びレベル上げという「作業」を強いられることになります。
物語のテンポを優先したいプレイヤーにとって、この足止めは苦痛であり、冒険の腰を折る要素としてネガティブに作用しました。
マルチプレイ前提の設計がソロプレイヤーに孤独感を与えた
ドラクエ9は「友達と一緒に遊ぶ」ことを主眼に置いて開発されたため、一人で遊ぶとシステムの一部が未完成であるかのような感覚に陥ります。
マルチプレイでは賑やかな旅になりますが、一人では無口なモブキャラを連れて歩くだけになるため、物語の寂しさがより際立ってしまいました。
この「孤独感」が、本来であれば深みのあるはずのストーリーを、より薄味に感じさせてしまう心理的な要因となったのです。
カジノの廃止や謎解き要素の簡略化に対するシリーズファンの失望
シリーズ恒例の「カジノ」が廃止され、ダンジョンの謎解きギミックも大幅に簡略化されました。
これによりゲーム全体の歯ごたえが失われ、ストーリーを進める過程が「単なるお使いの繰り返し」に感じられてしまったのです。
冒険そのものに工夫や楽しみが少ないと、その過程で語られるストーリーに対しても、プレイヤーは高い価値を見出しにくくなります。
ドラクエ9は最高傑作か駄作か?なんJやネットの反応
ドラクエ9は、発売から15年以上が経過した今でもネット掲示板などで頻繁に議論の的となります。
圧倒的な売上本数を誇りながら、なぜここまで評価が真っ二つに分かれるのでしょうか。
ネット上の主な反応を整理し、本作の立ち位置を考察します。
すれちがい通信という社会現象を含めた総合評価は極めて高い
ドラクエ9を語る上で欠かせないのが、DSの「すれちがい通信」を利用した社会現象です。
見知らぬ誰かと「宝の地図」を交換するために人々が駅や広場に集まった熱狂は、ゲーム単体の枠を超えた体験でした。
この「遊びの輪」を体験した層にとって、ドラクエ9は唯一無二の思い出であり、ストーリーの欠点を補って余りある「最高傑作」として記憶されています。
やり込み要素は歴代随一!宝の地図と魔王攻略の魔力
クリア後のコンテンツである「宝の地図」によるダンジョン探索と、歴代魔王とのバトルは非常に中毒性が高いものでした。
自分だけの最強装備を作るための錬金や、レベル上げの効率を追求する遊びは、育成RPGとしての完成度を極めていました。
ストーリーが終わってからが本番、というプレイスタイルのユーザーからは、圧倒的な支持を得ている作品です。
ストーリー重視派には不評だが育成・収集重視派には神ゲー
結論として、ドラクエ9の評価は「何を重視するか」で決まります。
重厚な一本道のドラマを求める層にとっては不満が残る一方で、キャラクターを限界まで鍛え、レアアイテムを収集することに喜びを感じる層にとっては、シリーズ随一の「神ゲー」となります。
このニーズのミスマッチが、長期にわたる「ひどい対面白い」の論争を生み出している根源です。
売上本数430万本超えが証明する一般層への圧倒的普及
批判的な意見が多く見られるネットの反応とは対照的に、430万本という数字は紛れもない事実です。
当時の小学生や普段ゲームをしない層にも広く受け入れられ、誰もが知る国民的ヒット作となった実績は無視できません。
一部の熱心なファンが求める「ドラクエ像」からは外れていたとしても、大衆娯楽としての楽しさは確かに備わっていたと言えるでしょう。
2025年今からドラクエ9を遊ぶのはアリ?リメイクの可能性
これからドラクエ9を手に取ろうとしている方、あるいは懐かしくなって再プレイを検討している方に向けて、現在のプレイ環境をまとめました。
最新作との繋がりや、リメイクへの期待についても触れていきます。
WiFiサービス終了後も配信クエストを遊ぶ方法はある?
公式のニンテンドーWi-Fiコネクションは既に終了していますが、実は今でも配信クエストを開放する方法は存在します。
具体的には、既にクエストを開放済みのセーブデータを持つカセットと「すれちがい通信」を行うことで、未開放のデータにクエストを移すことが可能です。
また、中古市場では全クエスト開放済みのデータが入ったカセットが流通していることもあり、ストーリーを完全に楽しむ手段は残されています。
中古価格と現行機DS/3DSでのプレイ環境をチェック
現在、ドラクエ9のソフトは中古ショップやフリマアプリで非常に安価に入手可能です。
DS Liteや3DSなどの実機があれば、当時の感覚そのままにプレイすることができます。
ただし、すれちがい通信によって地図を入手するのが難しいため、自力で地図を発掘する楽しみを中心に据えるプレイスタイルになります。
スイッチでのリメイクやHD-2D化が切望される理由
ドラクエ9は、ナンバリング作品の中で唯一「リメイク」や「現行機への移植」が行われていません。
オンライン前提だった要素をどうオフライン化するかという課題はありますが、スイッチなどの高性能なハードで8等身のグラフィックになったドラクエ9を見たいという声は絶えません。
特に最近の『ドラクエ3リメイク』に見られるHD-2D技術での復活を期待するファンは多く、今後の展開が最も注目されるタイトルの一つです。
10や11をプレイした人こそ知っておきたい9の重要エピソード
前述の通り、ドラクエ9は10や11の世界観と密接に関わっています。
11をクリアした後に9をプレイすると、散りばめられた伏線やキーワードの共通点に驚かされ、より深くシリーズを楽しむことができます。
物語の「点」が「線」に繋がる快感は、今からドラクエ9を遊ぶ最大のベネフィットと言えるでしょう。
まとめ:ドラクエ9のストーリーはひどいのではなく新しかった
ドラクエ9を巡る評価の変遷を振り返ると、本作が決して「ひどい」だけの作品ではないことが分かります。
当時としてはあまりにも革新的だった要素が、従来の期待感と衝突した結果、賛否両論を巻き起こしたのです。
最後に、この記事の内容を振り返り、ドラクエ9の重要ポイントをまとめます。
- 仲間が無個性なのは自由なキャラメイクと没入感を楽しむための設計だった
- メインストーリーの短さはクリア後の膨大なやり込み要素で補完されている
- サンディの存在は物語を明るくし、クリア後の別れを際立たせる役割があった
- イザヤールとエルギオスの物語はシリーズ屈指の感動的な結末を迎える
- 各地の短編エピソードは一つ一つの完成度が非常に高くドラマチックである
- DSのスペックを限界まで引き出したグラフィックや演出が試みられていた
- すれちがい通信という社会現象はゲームの枠を超えた歴史的な体験だった
- 配信クエストまで含めると物語の深みと納得感は大幅に向上する
- ドラクエ11との関連性を知ることでシリーズ全体のファンアイテムとしての価値が高まる
- 今なおリメイクが最も期待されている作品の一つである
もしあなたが「ストーリーがひどい」という噂だけで本作を避けているのであれば、それは非常にもったいないことです。
「星空の守り人」が語りかける、切なくも温かい冒険の世界を、ぜひその手で体験してみてください。

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