マザー3の没データを徹底解説|封印された真実と衝撃の全貌

2006年にゲームボーイアドバンス用ソフトとして発売されたマザー3には、製品版には収録されなかった膨大な没データがROM内に眠っています。

没キャラクター、没カットシーン、没音楽、没アイテムなど、その量と内容はファンの間で長年にわたり大きな話題を呼んできました。

特に、Nintendo 64で開発されていた時代の名残と思われるデータには、製品版よりもはるかに暗く陰鬱な物語が計画されていたことを示す痕跡が数多く残されています。

この記事では、マザー3の没データについて判明しているあらゆる情報をカテゴリ別に整理し、封印された幻の要素の全貌を徹底的に解説していきます。

目次

マザー3の没データとは?製品版から消された幻の要素

マザー3の没データとは、製品版のROMカートリッジ内に残存しているものの、通常のゲームプレイでは一切表示されない未使用のグラフィック、テキスト、音楽、プログラムコードの総称です。

ゲーム開発においては、企画段階で作られた素材や、途中で方針変更によって不要になったデータがROMに残ったまま出荷されることが珍しくありません。

マザー3はその開発期間の長さと紆余曲折の歴史から、他のゲームと比較しても飛び抜けて多くの没データが内部に含まれていることで知られています。

没データが大量に見つかった経緯と解析の歴史

マザー3の没データが広く知られるようになったのは、発売後にファンコミュニティの有志がROMの解析を進めたことがきっかけです。

海外の解析コミュニティである「The Cutting Room Floor」や、英語ファン翻訳プロジェクトを手がけたチームが中心となり、ROM内のグラフィック、テキスト、サウンドデータを体系的に抽出していきました。

日本国内でも動画投稿サイトに没敵データやデバッグルームの映像がアップロードされ、2008年頃から急速に認知が広がっています。

解析は現在も進行中で、ゲームのオーバーワールドスクリプト言語「Game Logic」の解読が進んだことにより、以前は用途が不明だったオブジェクトやテキストの意味が新たに判明するケースも出てきています。

通常プレイでは絶対に見られない理由と確認方法

没データは製品版のプログラムから呼び出されるルーティンが削除されているため、どれだけ丁寧にゲームを進めても自然に遭遇することは一切ありません。

確認するためには、エミュレーター上でのチートコードの入力や、GameShark等の改造ツールを利用してメモリを直接書き換える必要があります。

たとえばデバッグルームへの進入には特定のコードを有効にした状態でLボタンを押しながら画面遷移を行うという手順が必要です。

英語ファン翻訳パッチのバージョン1.3では、デバッグルーム内に便利なNPCが追加され、各種没要素へのアクセスが容易になっています。

なお、通常のプレイで没敵が出現したり没イベントが発生したりすることは絶対にないため、ゲームの楽しみを損なう心配はありません。

N64版マザー3で開発中止になった没シナリオの全貌

マザー3の没データを語る上で欠かせないのが、Nintendo 64で開発されていた幻のバージョン、通称「EarthBound 64」の存在です。

この時代に構想されていた壮大な物語の多くは開発中止とともに失われましたが、GBA版のROM内にはN64時代の痕跡と思われるデータが随所に残されています。

64版「キマイラの森」から64DD版「奇怪生物の森」への変遷

マザー3は1996年にNintendo 64用ソフトとして最初に発表されました。

当時のタイトルは「MOTHER3 キマイラの森」で、3Dグラフィックによる本格的なRPGとして開発が進められていました。

その後、開発プラットフォームはNintendo 64の周辺機器である64DDに移行し、タイトルも「MOTHER3 奇怪生物の森」に変更されています。

64DD版ではディスクメディアの大容量を活かした機能拡張が検討されていたとされますが、64DD自体の商業的な不振もあり、再びN64カートリッジ版への回帰を余儀なくされました。

この度重なるプラットフォーム変更が開発の長期化を招いた大きな要因の一つです。

N64時代に構想されていた全12章の陰鬱なストーリー

N64版のマザー3は全12章構成で企画されていたことが、プロデューサーである糸井重里の発言から明らかになっています。

製品版のGBA版は全8章に再構成されており、N64時代に予定されていた多くのエピソードが整理・統合された結果、かなりの内容が削られたと推測されています。

東京ゲームショウやSpaceworld ’99で公開された映像からは、トロッコに乗るシーケンスやクレイメンが登場するシーンなど、GBA版には存在しないか大幅に変更された場面が確認できます。

12章分のシナリオの詳細はほとんど公開されていないため、具体的にどのようなエピソードが存在していたのかは今なお謎に包まれたままです。

糸井重里が語った「もっと暗い物語になるはずだった」発言の真意

糸井重里はNintendo Dreamのインタビューにおいて、N64で開発していた当初は現在の製品版よりもはるかに陰鬱なシナリオになる予定だったと明言しています。

GBA版の没データに含まれるクラウス関連の禍々しいグラフィックや、ヒナワの死の描写が異なる没カットシーンは、この発言を裏付ける証拠として多くのファンに受け止められています。

GBA版への移行にあたり、ハードウェアの制約だけでなく、物語のトーン自体も意図的に調整されたことがうかがえます。

製品版でも十分に切ない物語として知られるマザー3ですが、N64版が完成していた場合にはさらに重く苦しい内容になっていた可能性が高いといえるでしょう。

没キャラクター・没パーティメンバーの衝撃データ

マザー3のROM内には、製品版では仲間にならないキャラクターがパーティメンバーとして使用される予定だった痕跡が残されています。

特にヒナワとブロンソンの2名については、戦闘やフィールド移動に関するデータの一部が確認されており、開発途中での大きな方針転換があったことを示しています。

ヒナワが戦闘メンバーだった痕跡とレベルアップテーブルの謎

主人公リュカの母であるヒナワは、物語の序盤で命を落とすキャラクターですが、ゲーム内部のレベルアップステータステーブルにはクラウスの次のエントリとして彼女専用の枠が存在しています。

具体的にはエントリ番号0Eにヒナワのデータ領域が確保されており、IDは残っているものの、ステータスの数値は全て空の状態です。

戦闘画面に配置すると名前が表示されますが、位置がずれており、キャラクターメニューも存在しません。

走行前やアイドル状態のスプライトが用意されていないことから、フィールドでの操作ではなく、クラウスのように特定の戦闘シーンにのみ登場する構想だった可能性があります。

あるいはこのエントリ自体が名前と戦闘ポートレートを格納するための技術的な枠に過ぎないという見方もあり、真相は明確にはなっていません。

ブロンソンにフルスプライトが存在する理由と第1章の役割変更

タツマイリ村の鍛冶屋であるブロンソンには、他のNPCには見られない完全な走行前スプライト、走行スプライト、アイドルスプライトが用意されています。

これらのスプライトはパーティメンバー専用の形式であり、ゲーム内に読み込むと正常に動作することが確認されています。

第1章ではブロンソンがフリントにヒナワの死を伝える重要な役割を担っていますが、開発初期の段階ではこの役割の割り当てが異なっていたことが判明しています。

製品版でフリントと行動をともにするのはトマスですが、当初はブロンソンがその役目を果たす予定だったと推測されています。

ブロンソンが終盤でブタマスクに反対する村人たちとともにポーキーの部屋に現れる展開も、初期設定からの名残である可能性が指摘されています。

デバッグルームで選べる13人の仲間キャラ一覧

デバッグルーム内に配置されたブタマスクのNPCに話しかけると、パーティメンバーの編成を自由に変更できます。

選択可能なキャラクターは、フリント、リュカ、ダスター、クマトラ、ボニー、サルサ、ウエス、トマス、イオニア、フエル、アレック、ヨクバ(ファサド)、クラウスの計13名です。

通常のゲームでは最大4人パーティですが、デバッグルームでは5人まで編成可能という仕様になっています。

ブタマスク大尉のNPCではレベル設定も可能で、1から60までは5刻み、最大99まで指定できます。

興味深いことに、通常はNPCパーティメンバーであるウエスにもレベル設定が適用され、ダメージ計算に影響を与えることが確認されています。

没敵キャラ「ゆげ2」はなぜファンに衝撃を与えたのか

マザー3の没データの中でも特に大きな反響を呼んだのが、通称「ゆげ2」と呼ばれる一連の没敵キャラクターです。

開発中のテスト用に作られたデータと考えられていますが、一部の没敵に設定された戦闘背景のグラフィックが、物語の核心に触れる衝撃的な内容だったため、ファンの間で無数の考察と憶測を呼びました。

ゆげ2の正体とクラウスの禍々しい没バトル背景の内容

「ゆげ2」という名称は、ROM内に存在する複数の没敵データのうち最終形態に付けられた名前です。

MOTHERファンの間ではこの名前が没敵全体の通称としても使われるようになりました。

衝撃の中心にあるのは、一部の没敵に設定された戦闘背景のアニメーションです。

これらの背景には、主人公リュカの双子の兄であるクラウスがおぞましい姿に改造されていく過程を連想させるイメージが含まれていました。

製品版ではクラウスの改造過程は一切描写されず、仮面の男として登場するのみですが、没データにはより直接的で残酷な描写が計画されていた形跡が残っています。

糸井重里がN64版の開発時期についてより陰鬱な内容だったと語っていることとも符合しており、これらのデータがその時代の名残である可能性は高いと考えられています。

アルカリマンとちいさなもりの没ステータス詳細

マザー3の没敵の中で、実際に完成したデータとスプライトの両方を持つのはアルカリマンとちいさなもりの2体のみです。

アルカリマンは製品版に登場するバッテリーマンのパレットスワップ(色違い)で、HPがラスボス級の高さに設定された異常なバランスのキャラクターです。

PKフリーズと爆弾系の攻撃に弱く、PKフラッシュでは倒せないという属性が設定されていますが、通常の手段で戦闘を行うにはハッキングが必要です。

一方のちいさなもりは、モグラの穴の最奥部に配置される予定だったミニボスです。

枝を振り回す範囲攻撃、ブレインショック、吸引による攻撃力・防御力低下、さらに大地から養分を吸収してHPを約300回復する能力など、多彩な行動パターンが完成しています。

バトルメモリーのテキストには「モグラの穴に生えている、とてもとても小さな森」という説明が残されており、ゲーム内での立ち位置も明確です。

プレースホルダー敵のリストと特殊背景アニメーション

完成した2体以外にも、ROM内には数十体に及ぶ没敵のエントリが存在しています。

ただし、これらの大半はプレースホルダー(仮置き)データであり、スプライトは黒い四角やT字型の簡素な図形で代用されています。

名前にはドラゴ、スリーアミーゴス、ロープスネーク、グリーントレイン、ポンプドラゴなど、ゲーム内のキャラクターやオブジェクトの名称がそのまま流用されています。

注目すべきは、一部の没敵に設定された特殊な戦闘背景アニメーションです。

フンコロガシ、テントパーソン、ユキウサギ、クレイマン、看板、蒸気などの名前を持つ敵には、リュカとクラウスに関連するイメージを含む固有の背景が割り当てられています。

フンコロガシとテントパーソンの背景は、機械的なパーツを持つキマイラ的なデザインであり、仮面の男の初期デザインだった可能性があると推測されています。

製品版から削除された没カットシーンの内容一覧

マザー3のROM内には、製品版では再生されることのない複数の没カットシーンが残されています。

物語の核心に関わる重要な場面が含まれており、開発途中でのシナリオ変更の過程を如実に物語る貴重な資料となっています。

最終戦で流れるはずだったリュカとクラウスの回想シーン3種

特定のコードを使用することで、3種類の回想カットシーンを再生できます。

1つ目(コード00F5)は、幼い頃のリュカとクラウスが水遊びをしている場面です。

ボニーも一緒に飛び込みたそうにしていますが、怖がっている様子が描かれています。

2つ目(コード00F6)は、兄弟がじゃんけんをして遊ぶ場面です。

クラウスが勝ち、悔しがったリュカがクラウスを蹴り、クラウスがリュカを押し倒します。

泣き出したリュカを見てフリントが怒り、クラウスが事情を説明しようとしますが、フリントの言葉にクラウスは走り去ってしまいます。

3つ目(コード00F7)は、兄弟がヒナワに何かを見せようとして草むらの中を探し回る場面です。

この場面の最後には長い静電ノイズと、他では使われていないテレビ消灯エフェクトが挿入されており、MOTHER2のオマージュとして最終戦のクライマックスに配置される予定だったことが示唆されています。

3つのシーン全てに静電ノイズのフリッカーが全編にわたって重ねられており、クラウスの精神状態の不安定さを表現する演出と考えられています。

再生後はいずれも仮面の男との最終戦闘に遷移するため、ラストバトル中に挿入されるフラッシュバックとして機能する設計だったことがわかります。

ヒナワの死因が変更された没シーンとブタマスク爆弾の設定

マップ0x0Fには、ゲーム冒頭の「F-F-Fire!」イベントの別バージョンが、非常に不完全な状態ながら残されています。

この没シーンでは、ヒナワ、リュカ、クラウスが森の中で立ち往生しており、ブタマスクの爆弾によってヒナワが負傷、あるいは死亡するという展開が描かれています。

製品版ではヒナワの死因はブタマスクによって改造されたメカドラゴの攻撃に変更されており、この没シーンはより初期の物語構想を反映したものです。

ブタマスクの行為によって直接的にヒナワが命を落とすという設定は、敵組織の残虐性をより強調する展開であり、N64版で構想されていたとされる陰鬱なシナリオの一端を垣間見ることができます。

サルサとアレックの未完成エンディング映像

エンディングに関連する没シーンも2つ確認されています。

コード00E7で再生されるサルサとサンバのエンディングシーンには、製品版では使用されていないドッグフィッシュの窒息死スプライトが表示されるほか、ムラサキの森が燃えている背景が映し出されます。

音楽やSEは一切設定されておらず、カットシーン終了後は通常のエンディングシーケンスに接続されます。

コード0196で再生されるアレックのエンディングシーンも同様に音楽が存在しない未完成の状態です。

固有の夕焼けパレットが使用されている点が特徴的で、他のシーンとは異なる独自の雰囲気を持っています。

これらのシーンが削除された経緯は明らかになっていませんが、エンディングの演出方針が開発の比較的後半で変更されたことを示唆しています。

タイトル画面で再生予定だったアトラクトモードの残骸

MOTHER2(EarthBound)と同様に、タイトル画面で一定時間操作しないと自動再生されるデモ映像、いわゆるアトラクトモードが計画されていた痕跡があります。

残存するコードからは、BGMとして「Adolescence (Toilet Cow’s Recommendation)」が使用される予定だったことが判明しています。

内容的にはほとんど機能する状態で残されていますが、開発のかなり早い段階でカットされたことが明らかです。

アトラクトモードの映像の一つは、前述の没カットシーン00F7の初期バージョンに相当するものであることも確認されています。

没ステータス「やさしさ」と没バトルコマンド「かんがえる」の謎

マザー3の戦闘システムには、製品版で表に出てこない隠されたステータスやコマンドが存在しています。

これらはN64版の開発時代から引き継がれた要素であり、ゲームデザインの変遷を知る上で重要な手がかりとなっています。

Kindnessステータスの隠された効果と回復量への影響

マザー3の各キャラクターには、攻撃力・防御力・IQ・スピードに加えて「やさしさ(Kindness)」という内部ステータスが設定されています。

このステータスはN64版からの引き継ぎであることが、1999年のSpaceworld出展時のデモに関する記録から確認されています。

製品版ではステータス画面に表示されることはありませんが、実際にゲーム内で機能しています。

「こころの中にあたたかいものを感じた」というメッセージが表示される場面で、パーティ全員のKindness値が1ずつ増加します。

この値はライフアップやアイテムによるHP回復量に影響を与え、1ポイントあたり1パーセントの上昇効果があります。

ただし、該当するイベントの発生機会が限られているため、通常のプレイでは一桁の範囲にとどまり、体感できるほどの差は生まれにくい設計です。

レベルアップ時にKindnessが上昇するメッセージのテキストも戦闘エンジン内に存在していますが、レベルアップデータの上昇値が全て0に設定されているため、通常は表示されません。

「かんがえる」はMOTHERシリーズ伝統の最終コマンドだったのか

戦闘アクションのスクリプト最末尾に、「かんがえる(Consider)」というバトルコマンドが存在しています。

実際に使用しても何も起こらず、機能に関するデータはほぼ削除されている状態です。

MOTHERシリーズでは、初代の「うたう(Sing)」、MOTHER2の「いのる(Pray)」のように、最終戦で特別な意味を持つコマンドが用意されてきました。

マザー3の製品版にはこれに相当するコマンドが存在しないため、「かんがえる」がその役割を担う予定だったのではないかという推測がファンの間で広く共有されています。

仮にこのコマンドが最終戦で機能していた場合、リュカが兄クラウスとの対峙の中で「考える」という行為を通じて物語を結末に導くという、シリーズの伝統を踏襲した展開になっていた可能性があります。

製品版に残る未使用ステータス効果とダスターのIQ変動バグ

戦闘システムには、完全に未使用のステータス効果も2種類存在しています。

内部コード0x2Bと0x2Fはともに「MonkeyDanceIQ」というラベルが付けられており、一方はIQを上昇させ、もう一方は低下させる効果を持っています。

サルサのダンスによるステータス変動と同様のシステムですが、IQに作用するバリエーションはゲーム中で一度も使用されません。

アニメーションやSEはスピード変動版と同じものが設定されており、技術的には完成しているにもかかわらず、最終的な調整で不要と判断されたものと見られます。

没アイテム・没ショップ・没メニューの全データ

ROM解析により、製品版では入手不可能な没アイテムや、プレイヤーが訪れることのない没ショップ、実装されなかったメニュー機能のデータが多数確認されています。

だいこうぶつやドアノブなど没アイテム7種の性能と用途

マザー3には7種の没アイテムが存在します。

以下に各アイテムの概要を整理します。

アイテム名 効果・特徴
だいこうぶつ(Favorite Food) HP300回復。プレイヤーが入力した好物の名前が反映される。アイコン・説明文も完備
ドアノブ(Doorknob) エンディング後のシーンで入手するが、インベントリから確認不可。戦闘使用で敵に1ダメージ
おもいでヘビ(Memory Snake) 「ものの長さを測るのが得意」との説明。キーアイテム扱いで捨てられない
あやしいおちゃ(Suspicious Tea) 不機嫌な従業員が作ったお茶。敵単体に75から85のダメージ。購入価格20DP
くさったババロア(Rotten Bavarois) オソヘ城の幽霊との交換に使用予定だったが、コーディングエラーで発動しない
テスト(Test) デバッグ用の体装備。装備すると全属性・全状態異常に対して極端に脆弱になる
EMPTY(3種) 空のアイテムスロット。アイテムタイプ09を共有しており開発途中の形跡

だいこうぶつはHP300回復という最高クラスの性能を持ち、専用アイコンまで作られていることから、かなり後の段階までゲームに組み込まれる予定だったと考えられます。

おもいでヘビはロープスネークとの関連が推測されており、MOTHER2に登場した「ものさし」に近い役割を持っていた可能性があります。

くさったババロアについては、交換イベントのコードに不具合があり、くさったエクレアも同時に所持していないとイベントが発動しないという仕様になっています。

この結果、くさったエクレアの交換イベント自体も正常に発動しなくなっており、開発時のバグがそのまま製品版に残ったケースです。

ROM内に残る未使用ショップ8件のラインナップ

マザー3のROMには、ゲーム内で一切利用されない8件のショップテーブルが存在しています。

ショップ00には第1章でフリントが入手できる全ての武器が並んでおり、ライタのまき、ちょうどいいまき、ぼう、ちょっといいぼうが取り扱われています。

ショップ01は解毒薬やうちわ、めざましゼミなど、序盤の補助アイテムを販売する構成です。

ショップ07にはてきよわマシンが1点だけ置かれているという特異なラインナップとなっています。

ショップ14には新鮮ミルクやいちごとうふなどの食品が並んでおり、ショップ17にはアロハコートやジャンボエビスープといった高級品が取り揃えられています。

ショップ16と1Aは商品データが完全に空の状態で、ショップ16はゴバ火山に配置予定だった店主のNPCから参照されていることが判明しています。

没メモ機能に収録されていた操作説明と世界設定

製品版では使用されていないメニュー機能として「メモ」が存在しています。

英語ファン翻訳パッチではこの機能が復元されており、ステータス画面でLボタンとRボタンを同時に押すことで閲覧可能です。

メモには、ダッシュの操作方法、戦闘のリズムコンボの説明、各地域の解説など、日本語版の取扱説明書に準じた内容が収録されています。

ゲームの進行に応じて情報が追加されていく仕組みになっており、やさしさのステータスについての記述もこのメモ内に含まれています。

GBA版ではマニュアルに情報を掲載するスタイルが採用されたため、ゲーム内のメモ機能は最終的に不要と判断されたものと考えられます。

没テキスト・没セリフから読み解く幻のストーリー展開

マザー3のROMには膨大な量の未使用テキストが残されています。

キャラクターの没セリフ、削除されたイベントの会話、地名の変更痕跡など、製品版のシナリオがどのような変遷を経て現在の形に到達したのかを物語る貴重な記録です。

クラウスの没セリフ「おかあさんを みごろしにしたのは…」の意味

第1章でフリントが投獄されている場面において、クラウスがリンゴを差し入れに来るイベントが存在しますが、製品版ではクラウスのセリフの一部が意図的にカットされています。

没テキストには以下の内容が含まれています。

「おかあさんを みごろしにしたのは ぼくが よわかったせいだ」「ぼくが もっとつよかったら おかあさんは しなないですんだんだ」というクラウスの独白です。

さらに「ドラゴだって かんたんに たおせるくらい つよくなってやる」と続き、クラウスが単独でメカドラゴへの復讐に向かう動機が、製品版よりも遥かに直接的に描写されています。

「みごろしにした」という強い自責の念を含むセリフは、幼い子どもの精神にとってあまりに重い表現であり、物語のトーンを調整する上で削除されたと考えるのが自然でしょう。

製品版ではクラウスの心情は多くが想像に委ねられる形になっていますが、没セリフの存在によって彼の行動原理がより鮮明に浮かび上がってきます。

ニューポークシティは当初「ニューポーク島」だった名称変更の経緯

終盤の舞台として登場するニューポークシティは、開発途中では「ニューポーク島(New Pork Island)」という名称でした。

没テキスト内には「ニューポークとう」という表記が複数箇所に残されており、島全体を指す地名として使われていたことがわかります。

マジプシーのロクリアに関連する没テキストにも「ニューポークとうの マジプシー ロクリアよん」というセリフが残っています。

名称が「島」から「シティ」に変更された理由は公式には語られていませんが、ポーキーが建設した巨大な都市という印象をより強調するための変更と推測されています。

ロクリアが普通のマジプシーとして登場する没会話の内容

製品版において7人目のマジプシーであるロクリアは特殊な存在として描かれていますが、没テキストではクマトラと普通に会話を交わす場面が残されています。

没テキストの内容は、ロクリアが「このしまにすむ マジプシーか?」と問いかけられ、「わたしは ニューポークとうの マジプシー ロクリアよん」と自己紹介するものです。

これに対してクマトラが「オレは イオニアのでし」と名乗る流れになっています。

製品版でのロクリアの扱いとは大きく異なっており、当初は他のマジプシーと同様の友好的な立ち位置だったことがうかがえます。

物語の方向性が変更される中で、ロクリアのキャラクター設定が根本から見直された結果、製品版の形に落ち着いたのでしょう。

フリントの没イベントとエレベーター内の削除された会話

第4章と第7章において、双子の家でフリントに話しかけると固有のセリフが表示される没イベントが存在しています。

このイベントでは、ゲームの進行状況に応じてフリントのセリフが3段階で変化する仕組みが組まれています。

第4章の開始時、ダスター捜索イベントの発動後、第7章でイオニアが同行中という3つのタイミングでそれぞれ異なるセリフが設定されており、ダスター捜索時にはリュカに「かとりせんこう」を手渡してくれます。

「おまえのことは かあさんが まもってくれる。

がんばれよ。

」というフリントのセリフは、不器用な父親の愛情が凝縮された印象的な内容です。

製品版では第4章以降、第8章までフリントに会うことはできませんが、元々はゲーム全体を通じて父親との交流が用意されていたことがわかります。

また、最終ダンジョンへ向かうエレベーターの中で、フリント、クマトラ、ダスターが会話を交わす没テキストも発見されています。

製品版ではこのエレベーター内は完全な無言で通過しますが、当初はパーティメンバー間の掛け合いが予定されていたのです。

没音楽・没BGMに残されたN64版の面影

マザー3のサウンドプレイヤーに登録されている楽曲は約250曲ですが、ROM内のサウンドデータには約2000件ものエントリが存在しています。

効果音や環境音を除いても、製品版では一度も使用されない楽曲が多数含まれており、N64版からの引き継ぎと推測される曲も確認されています。

幻のメインテーマ「His Highness’ Themeの悲しい変奏曲」とは

サウンドデータの413番には、「His Highness’ Theme」の悲しいアレンジ版が収録されています。

糸井重里はNintendo Dreamのインタビューにおいて、このテーマ曲が当初はゲーム全体のメインテーマとして機能する予定だったと語っています。

製品版のメインテーマであるLove Themeは開発の終盤に制作されたものであり、もしこのテーマ変更がなければ、ゲーム全体の印象は現在とはかなり異なるものになっていたはずです。

楽曲の長さは、第1章でフリントが気を失った後にヒナワと子どもたちの姿を最後に見る回想シーンの尺とほぼ完全に一致しており、この場面で使用される予定だった可能性が指摘されています。

Love Themeの初期バージョンと最終版の具体的な違い

サウンドデータの1966番には、「16 Melodies」の終盤で流れるLove Themeのセクションと酷似した楽曲が残されています。

これは最終版に組み込まれる前の初期バージョンであり、両者の間にはいくつかの明確な違いがあります。

初期バージョンはG Majorで書かれていますが、最終版はF Majorに移調された上でF# Majorへの転調セクションが追加されています。

メロディのA部分では、初期バージョンにNew Age系パッドの音がステレオで交互に鳴る効果が使われていますが、最終版ではドローバーオルガンのビルドアップに置き換えられています。

B部分のリード楽器も、初期バージョンではロックオルガンが使用されているのに対し、最終版では2本のトランペットに変更されています。

オルガン版には楽器の特性を活かした短いランが含まれていましたが、トランペット版ではこれが削除され、代わりに軽いビブラート効果が付与されました。

水中版おはようやEarthBoundボス曲など未使用楽曲の全リスト

ROM内にはその他にも多数の未使用楽曲が存在しています。

157番は「おはよう!」の水中バリエーションで、海底ダンジョンのどこかに休憩ポイントが計画されていたことを示唆する楽曲です。

1649番にはMOTHER2のサンクチュアリガーディアン戦で使用されていたBGMがそのまま収録されています。

436番と437番はそれぞれ「ちょっとがんばれ」と「はい、ストップ!」の初期バージョンで、最終版より薄い楽器編成となっています。

1148番は「メカドラゴとのたたかい」の別バージョンで、途中に奇妙なノイズが挿入されリズムコンボのビートが消失するという異常な構成です。

397番は「おばけのエチュード」の短縮版で、N64版のバトルテーマとして使用されていたことが確認されています。

81番は「みどりの電車も楽しいね」の別アレンジ、402番はタツマイリ村テーマの別バージョンで没カットシーン用に制作されたものです。

1936番は速度を上げるとDCMCのOJが「ワン、ツー、スリー、ファイブ!」と言っている音声だと判明しており、一部で「ギーグのテーマ」と誤認されていた経緯があります。

ダスターの攻撃メロディが固定されるバグと本来の5パターン

製品版にはダスターの攻撃メロディに関するバグが存在しています。

マザー3の戦闘ではキャラクターごとに複数の攻撃メロディがランダムで再生される仕組みですが、プログラムのバグにより、ダスターのメロディは常に同一のものが再生されるようになっています。

実際にはダスター用にも他のキャラクターと同じく5パターンのメロディが用意されており、サウンドデータの376番から390番に3パートずつ収録されています。

このバグは英語ファン翻訳パッチのバージョン1.2で修正されており、修正後はダスターも正しくランダムなメロディで攻撃するようになります。

開発時のバグと見落とし―製品版に残った不具合まとめ

没データとは別に、製品版には開発時のバグや見落としがそのまま残っている箇所もいくつか確認されています。

ゲーム進行に深刻な影響を与えるものから見た目だけの軽微なものまで、その内容は様々です。

カミナリのとうセーブカエルのソフトロックが起こる条件

カミナリのとうにあるキングPの部屋には、風船で浮遊するセーブカエルが配置されています。

このカエルはプレイヤーに接触すると停止する仕様ですが、ファラオの棺の横に立っている時にカエルが接触すると、カエルと棺の間にプレイヤーが挟まれて身動きが取れなくなることがあります。

チートコードを使わない限り脱出する方法はなく、この状態でセーブを上書きしてしまうと永久にハマった状態のデータが残ります。

発生頻度は低いものの、知っておくべき深刻な不具合です。

タネヒネリ島のタイルバグとDCMCコンサートのスプライト不整合

タネヒネリ島の洞窟入口には、中央の両側にあるタイルがパーティキャラクターの上に重なってしまうバグが存在します。

見た目上の問題にとどまり、ゲーム進行に影響はありませんが、開発時のタイル配置ミスがそのまま残ったケースです。

第8章のDCMCコンサートシーンにも2つの不整合があります。

1つ目は、ナナのスプライトが時間経過後の成長した姿ではなく、幼い頃のスプライトで表示されてしまう問題です。

2つ目は、ダスターが着用するカツラの色が茶色ではなく黒で表示される問題です。

没データとして、ダスターがクラブ・チチブーを離れた後に茶色のカツラを別のNPCが拾うイベントのスプライトが残されており、このイベントが削除された際にダスターのスプライト変更が反映されなかったことが原因と考えられています。

Wii U版の修正がSwitch Online版に反映されていない問題

2015年にWii Uバーチャルコンソールで再リリースされた際には、いくつかの修正が加えられています。

第1章でボニーを迎えに行く場面の稲妻の点滅頻度が抑制され、てんかん発作への配慮がなされました。

第8章のポーキー戦後の稲妻演出にも同様の修正が施されています。

第5章でリュカに電撃が走るシーンでは黄色のハイライトが追加され、視認性が向上しています。

しかし、2024年2月にNintendo Switch OnlineのGBAライブラリに追加された際には、これらの修正が一切反映されていません。

Switch Online版はオリジナルのGBA版ROMがそのまま使用されており、Wii U版で改善されたてんかん対策が引き継がれていないという点は注意が必要です。

マザー3の没データに関するよくある質問

マザー3の没データについては多くの疑問が寄せられています。

ここでは特に頻度の高い質問に対してまとめて回答します。

没データは普通にプレイしていて見ることはできる?

通常のプレイで没データに遭遇することは一切ありません。

没キャラクターが出現したり、没イベントが発生したり、没音楽が流れたりすることは、どのような条件を満たしても自然には起こりえません。

確認にはエミュレーター上でのチートコード入力やROM解析ツールの使用が必須であり、実機での通常プレイには何の影響もありません。

安心してゲームを楽しむことができます。

没データの内容は公式に認められている?

任天堂やブラウニーブラウン(現1-UP Studio)から没データに関する公式な声明は出されていません。

ただし、プロデューサーの糸井重里がN64版の開発当時はより暗い物語だったと発言していることや、メインテーマの変更経緯をインタビューで語っていることなど、没データの存在を間接的に裏付ける公式の発言は複数確認されています。

没データそのものはROM内に物理的に記録されている事実であり、解析結果について改ざんの疑いは指摘されていません。

英語版ファン翻訳パッチで修正・復元された要素はある?

英語ファン翻訳パッチでは、いくつかの没要素の復元やバグ修正が行われています。

バージョン1.2ではダスターの攻撃メロディがランダムにならないバグが修正されました。

バージョン1.3ではデバッグルーム内に便利なNPCが追加され、各種没要素やワープ機能へのアクセスが容易になっています。

没メモ機能もパッチによって復元されており、ステータス画面からLボタンとRボタンの同時押しで閲覧可能です。

カミナリのとうのセーブカエルソフトロックやDCMCコンサートのスプライト不整合など、オリジナル版に残っていた開発時の不具合もバージョン1.3で修正されています。

ただし、これらはあくまでファンによる非公式の修正であり、任天堂公式の対応ではない点に留意する必要があります。

まとめ:マザー3の没データが物語る封印された開発史

  • マザー3の没データとは、製品版ROMに残存する未使用のグラフィック・テキスト・音楽・プログラムの総称である
  • N64版「EarthBound 64」は全12章構成で、64や64DDなどプラットフォームの変遷を経て2000年に開発中止となった
  • 糸井重里はN64時代の没シナリオについて「もっと陰鬱な内容だった」とインタビューで明言している
  • ヒナワには戦闘メンバー用のデータ枠が、ブロンソンにはパーティメンバー専用のフルスプライトが残されている
  • 没敵「ゆげ2」にはクラウスの改造過程を連想させる禍々しい戦闘背景が含まれ、ファンに大きな衝撃を与えた
  • 最終戦に挿入予定だったリュカとクラウスの回想シーン3種や、ヒナワの死因が異なる没カットシーンが発見されている
  • 隠しステータス「やさしさ」とバトルコマンド「かんがえる」はN64版から引き継がれた未完成の要素である
  • 没アイテム7種、没ショップ8件、没メモ機能など、ゲームシステム面の没要素も多岐にわたる
  • 幻のメインテーマやLove Themeの初期版など、製品版の印象を根本から変えうる没音楽がROM内に収録されている
  • 2024年のSwitch Online版にはWii U版で施されたてんかん対策の修正が反映されておらず、オリジナルROMがそのまま使用されている
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