『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて(ドラクエ11)』は、シリーズの集大成として国内外で極めて高い評価を受けた作品です。
しかし、その一方でプレイ中に「BGMがひどい」「音楽に違和感がある」と感じるユーザーも少なくありません。
長年シリーズを愛してきたファンでさえ、なぜ今作の音楽に物足りなさやストレスを感じてしまうのでしょうか。
この記事では、ドラクエ11のBGMに対して否定的な意見が出る原因を多角的に分析し、不満を感じた際の対処法についても詳しくご紹介します。
ドラクエ11のBGMが「ひどい」と評価されるのはなぜ?
ドラクエ11のBGMが一部で低く評価される最大の理由は、ゲームの進化に対して音楽の制作手法が追いついていないと感じさせるギャップにあります。
特に、最新ハードの性能を活かした表現と、あえて旧来のスタイルを貫いた音楽との乖離が、多くのプレイヤーに「違和感」を与えています。
具体的にどのような点が不評を買っているのか、主な要因を3つの視点で掘り下げます。
高品質なグラフィックとMIDI音源の音色に感じる違和感
今作のPS4版やPC版では、キャラクターの質感や広大なフィールドが非常にリアルなグラフィックで描かれています。
一方で、初期バージョンのBGMは、生楽器の演奏ではない「MIDI音源」と呼ばれる電子的な合成音で構成されていました。
実写に近いほど美麗になった映像に対し、音楽だけが安価な電子音のように聞こえてしまうことが、没入感を削ぐ要因となっています。
映画のような迫力ある映像を期待してプレイした層にとって、この音色の「軽さ」は大きな落胆に繋がりました。
フィールド曲「序曲」のループが短く耳障りに感じる理由
フィールド曲などのメインテーマにおいて、メロディのループ(繰り返し)が短いことも指摘されています。
ドラクエ11の広大な世界を探索する際、同じフレーズが数分おきに何度も流れるため、人によっては「うるさい」と感じてしまうことがあります。
特に今作のフィールド曲は行進曲のような力強いリズムであるため、長時間のレベル上げや探索中には耳への負担が大きくなりやすい傾向にあります。
バリエーションの少なさが、作業感を強めてしまう結果を招きました。
シチュエーションと曲調が合っていない「アニメっぽさ」の正体
ドラクエ11の楽曲は、どことなく「昔ながらのアニメ」のような分かりやすさを追求した曲調が目立ちます。
これは古き良きドラクエらしさでもありますが、シリアスで重厚なストーリー展開においては、曲が軽快すぎて雰囲気を壊していると感じる場面があります。
ドラマチックな映像演出に対し、コミカルすぎる、あるいは単調すぎるといった「ミスマッチ」が音楽への不満を加速させました。
特にリアルな等身で動くキャラクターとの組み合わせにおいて、その違和感は顕著です。
音楽の使い回しに対する批判と「過去作への依存」
ドラクエ11は過去作へのオマージュが非常に多い作品ですが、BGMについても「新曲が少ない」「使い回しばかり」という厳しい声が上がっています。
シリーズファンにとっては懐かしい演出であるはずの要素が、なぜ一部では「手抜き」や「依存」と捉えられてしまったのでしょうか。
その背景には、完全新作としてのオリジナリティを期待していたユーザーの心理があります。
新曲が少なすぎる?シリーズ名曲の多用に対するファンの本音
今作では、町や城、海や空の移動中など、多くの場面で過去作のBGMがそのまま流用されています。
「あの名曲をまた聴ける」と喜ぶファンがいる一方で、新しい冒険にはその世界のための「新しいテーマ曲」を求める声も根強いです。
特に8や3といった人気作の楽曲が頻繁に流れるため、ドラクエ11独自の音楽的なアイデンティティが薄れてしまったと感じるプレイヤーも少なくありません。
使い回しの多さが、新作としての新鮮味を奪う一因となりました。
エンディング曲が過去作メドレーであることへの賛否両論
ドラクエ11のエンディングは、過去作の楽曲を繋ぎ合わせたメドレー形式になっています。
ロト三部作との繋がりを示唆する演出としては完璧ですが、一人の主人公の物語を締めくくる曲としては、オリジナルの新曲を聴きたかったという意見も多いです。
「過ぎ去りし時を求めて」という副題の通り、過去を振り返る構成は意図的なものですが、集大成としての満足感と引き換えに、11独自の感動が薄れたという指摘もあります。
なぜすぎやまこういち氏は新曲ではなく過去作を選んだのか
作曲を担当したすぎやまこういち氏が過去作の曲を多用した背景には、ドラクエ11を「シリーズの完結編であり、始まりでもある」と位置づけた意図があります。
また、氏が当時かなりの高齢であったことも物理的な制作量に影響した可能性は否定できません。
事実、11で書き下ろされた新曲は、限られた数の中で物語の核となる部分に集中して配置されています。
過去作の起用は単なる手抜きではなく、シリーズ全体を一つに繋ぎ合わせるための「演出としての選択」であった側面が強いと言えます。
海外ユーザーや若年層から「時代遅れ」と言われる背景
ドラクエ11の音楽に対する批判は、特に海外のゲームファンや、オーケストラ音源が当たり前の世代から顕著に聞かれます。
世界基準のRPGと比較した際、ドラクエが守り続けてきた「伝統」が、一部では「古臭さ」として受け止められている実態があります。
オーケストラ音源が標準でないことへの海外メディアの反応
北米や欧州のゲームメディアでは、ドラクエ11の初期リリース版におけるMIDI音源の採用を「不可解な決断」として批判的に報じることがありました。
海外では『ファイナルファンタジー』をはじめ、大作RPGの音楽はフルオーケストラであることがスタンダードとなっています。
そのため、高品質なグラフィックに安っぽい電子音が乗っている状態は、技術的な手落ちであると解釈されやすかったのです。
この文化的な期待値の差が、海外での評価を分ける要因となりました。
ペルソナ5など現代のJRPGと比較したサウンドデザインの差
同時期に発売された『ペルソナ5』や『ニーア オートマタ』といった作品は、現代的で洗練されたサウンドデザインで高い評価を得ました。
これらの作品がスタイリッシュな新曲でプレイヤーを圧倒する中、ドラクエ11の「保守的な音楽スタイル」は対照的に映りました。
新しい世代のプレイヤーにとって、数十年前のメロディや音色を使い続ける姿勢は、更新されない「時代遅れ」なものと感じられたのです。
3DS版とPS4版で共通音源を採用したことによる弊害
ドラクエ11は当初、ニンテンドー3DSとPS4という性能の異なる二つのハードで同時開発されました。
3DS版のドット絵の世界には、あえてチープさを残したMIDI音源が非常にマッチしていましたが、PS4版でも同じ音源をベースにしたことが裏目に出ました。
ハードの特性に合わせた音源の作り分けが十分でなかったことが、高画質側での違和感を強調する結果となったのです。
フィールド曲が「うるさい・合わない」と感じた時の対処法
もしドラクエ11をプレイしていて音楽が苦痛だと感じた場合でも、いくつかの設定変更やプレイ環境の工夫で改善することが可能です。
特に「フィールド曲がうるさい」という悩みは、多くのプレイヤーが共有している課題でもあります。
以下の方法を試すことで、冒険のストレスを軽減できるでしょう。
フィールド曲を『ドラクエ8』の音楽に変更する方法
特定のバージョン(PS4/3DS版の早期購入特典や11Sなど)では、フィールド曲を『ドラクエ8』の名曲「広い世界へ」に変更することが可能です。
「広い世界へ」は非常に壮大で、ゆったりとしたテンポの楽曲であるため、ドラクエ11の賑やかな行進曲が苦手な方には最適です。
設定内の「プレゼント受け取り」やメニューから切り替えることができ、これだけで探索の雰囲気がガラリと変わります。
『ドラクエ11S(完全版)』でオーケストラ音源に切り替える設定
後発の『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S(11S)』では、全楽曲がオーケストラ音源で収録されています。
MIDI音源独特の刺さるような音が苦手な方は、設定メニューから「オーケストラ音源」を選択してください。
生楽器による深みのある演奏は、グラフィックの重厚感とも調和し、耳への刺激も穏やかになります。
旧版の音に馴染めなかった方にとって、オーケストラ版への切り替えは劇的な改善策となります。
BGMをオフにして環境音のみでプレイする楽しみ方
どうしても特定の曲が耳に馴染まない場合は、思い切ってBGMの音量を最小にし、SE(効果音)のみでプレイするのも一つの手です。
ドラクエ11は風の音や足音、モンスターの鳴き声などの環境音がしっかりと作り込まれています。
無音にすることで、広大な自然を旅しているような「リアルな旅路」を味わうことができ、没入感が高まるという意見もあります。
お気に入りの癒やし系音楽を別で流しながらプレイするという自由な楽しみ方も、現代的なプレイスタイルと言えるでしょう。
物語が進むとフィールド曲が「冒険の旅」に変わるタイミング
ドラクエ11を最後まで、そして「クリア後」までプレイすると、音楽に対する不満が感動へと変わる瞬間が用意されています。
ある特定のタイミングで、シリーズ屈指の名曲が流れる演出は、多くのプレイヤーの心を揺さぶりました。
クリア後の世界で『ドラクエ3』のBGMが採用された意図
物語のエンディングを一度迎え、サブタイトルである「過ぎ去りし時を求めて」を体現するフェーズに入ると、フィールド曲が『ドラクエ3』の「冒険の旅」に変化します。
これは単なるファンサービスではなく、ドラクエ11という物語がロト三部作へと繋がる前日譚であることを示す重要な演出です。
かつてファミコンでドラクエ3を遊んだ世代にとって、この変化は鳥肌が立つほどのカタルシスを与えました。
過去作の曲がかかることで完成する「ロト三部作」との繋がり
音楽の使い回しと言われた要素は、実は物語の根幹に関わる「伏線」でもありました。
空を飛ぶ時の「おおぞらをとぶ」や、終盤の戦闘曲など、特定の場面で過去作の曲が流れることで、11の世界は過去の伝説と融合します。
音楽そのものが、この作品がどのような立ち位置にあるのかを雄弁に語る「語り部」の役割を果たしているのです。
この繋がりを理解したとき、それまで感じていた使い回しへの違和感は、シリーズを網羅する壮大な演出の一部として再定義されます。
まとめ:ドラクエ11の音楽は「ひどい」のか「伝統」なのか
ドラクエ11のBGMを巡る議論は、伝統を守ることの難しさと、テクノロジーの進化との葛藤を象徴しています。
最終的にこの音楽体験をどう捉えるかは、プレイヤーが何を重視するかによって異なります。
- ドラクエ11のBGMがひどいと言われる主な原因は、リアルな映像とMIDI音源の音色の不一致にある
- フィールド曲が単調でループが短いため、長時間のプレイで耳障りに感じることがある
- 新曲の少なさや過去作の流用は、新鮮味に欠けるという批判の対象となった
- 海外や若い世代からは、現代のJRPGと比較してサウンドデザインが時代遅れと評されることもある
- 不満を感じる場合は『ドラクエ11S』でオーケストラ音源に切り替えるのが最も効果的である
- 特典等の設定により、フィールド曲を評価の高い『ドラクエ8』の曲に変更できる
- 音楽をオフにして環境音のみでプレイすると、また違った没入感を楽しむことができる
- クリア後の「冒険の旅」への曲変化は、ロト三部作との繋がりを示す感動的な演出である
- すぎやまこういち氏は、シリーズの集大成としてあえて過去の名曲を重要な場面に配置した
- 音楽に違和感があっても、それを補って余りあるストーリーの完成度が本作を神ゲーたらしめている

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