「メタルギアソリッド、名前は聞くけどストーリーが複雑でよくわからない…」。
「登場人物が多く、誰が味方で敵なのか相関図を見ても混乱してしまう」。
全世界で絶大な人気を誇るメタルギアシリーズですが、その重厚で入り組んだ物語から、同じような悩みを感じている方は少なくないでしょう。
この記事では、難解とされるメタルギアのストーリーについて、その理由から物語の全貌、登場人物の関係性まで、どこよりもわかりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたもメタルギアサーガという壮大な物語の地図を手に入れ、その世界の虜になっているはずです。
そもそも、なぜメタルギアのストーリーは「難しい」と言われるの?
メタルギアの物語が「難しい」と感じられるのには、いくつかの理由が複雑に絡み合っています。
その原因を理解することが、ストーリーをわかりやすく整理するための第一歩となります。
理由①:ゲームの発売順と物語の時系列が一致しないから
最も大きな理由が、ゲームが発売された順番と、物語の中での時間経過(時系列)が一致していない点です。
例えば、1998年に発売された『メタルギアソリッド(MGS1)』の舞台は2005年ですが、その次に発売された『メタルギアソリッド3(MGS3)』では、物語は1964年へと大きく遡ります。
このように、新しい作品で過去の出来事が語られるため、プレイヤーは頭の中で物語の順番を再構築する必要があり、これが混乱を生む一因となっています。
理由②:専門用語や複雑な組織・人間関係が多すぎるから
シリーズを通して、「愛国者達」や「恐るべき子供達計画」といった独自の専門用語や、背景にある組織の思惑が複雑に絡み合っています。
さらに、親子でありながら敵対し、かつての師弟が殺し合うといった、単純な善悪では割り切れない人間関係が物語の核となっているため、相関図を把握するのが難しくなっています。
理由③:「スネーク」と呼ばれる人物が何人も登場するから
物語の主人公である「スネーク」ですが、実はシリーズ中には複数の「スネーク」が存在します。
ソリッド・スネーク、ネイキッド・スネーク(ビッグ・ボス)、リキッド・スネーク、ソリダス・スネーク、そしてヴェノム・スネーク。
これらのキャラクターが誰で、どのような関係性なのかを区別することが、初心者がつまずきやすい大きなポイントになっています。
【ネタバレなし】物語を理解する3つの鍵!まずはここから押さえよう
複雑な物語を解き明かすために、まずはネタバレなしで理解できる3つの重要な鍵をご紹介します。
これを押さえるだけで、物語の見通しが格段に良くなります。
鍵①:一目でわかる!物語の超重要人物と相関図
メタルギアの物語は、伝説の女兵士「ザ・ボス」の存在から始まります。
彼女の弟子である「ネイキッド・スネーク(後のビッグ・ボス)」と、彼の元上官である「ゼロ少佐」が、ザ・ボスの遺志を巡って対立。
この二人の決別が、後の壮大な物語のすべての発端となります。
ビッグ・ボスは国家に縛られない兵士の楽園を目指し、ゼロは世界を裏から支配する組織「愛国者達」を創設しました。
そして、「愛国者達」がビッグ・ボスの遺伝子からクローンである「ソリッド・スネーク」たちを生み出したことで、物語は悲劇的な親子対決へと発展していくのです。
鍵②:ソリッド、ネイキッド、ヴェノム…スネークたちの正体と違いとは?
物語をわかりにくくしている「スネーク」たちの違いを簡潔にまとめました。
スネークの種類 | 正体と概要 |
ネイキッド・スネーク | 全ての始まりとなった人物。後のビッグ・ボス。MGS3の主人公。 |
ソリッド・スネーク | ビッグ・ボスのクローン(息子)。MGS1,2,4の主人公。 |
リキッド・スネーク | ソリッドの双子の兄弟で宿敵。ビッグ・ボスのクローン。 |
ソリダス・スネーク | ビッグ・ボスの完璧なクローン。元アメリカ大統領。 |
ヴェノム・スネーク | ビッグ・ボスの影武者。MGSV:TPPの主人公。 |
最低限、「ネイキッド・スネーク=ビッグ・ボス」であり、「ソリッド・スネーク」はその息子(クローン)である、という関係性を覚えておきましょう。
鍵③:物語の全体像は?ビッグ・ボスとソリッド・スネーク、二人の英雄の物語
メタルギアサーガは、大きく分けて二つのパートで構成されています。
一つは、ネイキッド・スネークが伝説の英雄「ビッグ・ボス」となり、やがて世界を敵に回すまでを描く**「ビッグ・ボス編」**。
もう一つは、その息子(クローン)であるソリッド・スネークが、父の遺した宿命と対峙し、世界の危機を救うために戦う**「ソリッド・スネーク編」**です。
この二世代にわたる壮大な物語だと理解すると、全体の流れが掴みやすくなります。
【時系列順】メタルギアサーガの全貌をわかりやすく解説(ネタバレあり)
ここからは、物語の核心に触れるネタバレを含みます。
シリーズ全体の物語を時系列順に追い、その全貌をわかりやすく解説していきます。
【ビッグ・ボス編】伝説の英雄はなぜ世界を敵に回したのか? (MGS3 → PW → MGSV)
物語は1964年、冷戦下のソ連から始まります(MGS3)。
若き日のネイキッド・スネークは、国家の任務として、愛する師「ザ・ボス」をその手で抹殺することになります。
しかし、それは祖国への忠誠のためにザ・ボス自身が受け入れた任務であり、国家は彼女を裏切り者として歴史から抹消しました。
この経験から、兵士が国家に利用され使い捨てにされる現実に絶望したスネークは、「ビッグ・ボス」の称号を得た後、国家に縛られない兵士たちの軍隊「国境なき軍隊」を設立します(ピースウォーカー)。
しかし、その理想は謎の組織「サイファー(後の愛国者達)」に破壊され、ビッグ・ボス自身も昏睡状態に陥ります。
9年後、目覚めた彼は復讐の鬼「ヴェノム・スネーク」となり(MGSV)、自分を陥れた者たちとの戦いに身を投じます。
しかし、このヴェノム・スネークは、本物のビッグ・ボスを守るための影武者でした。
本物のビッグ・ボスは、この裏で兵士たちの楽園「アウターヘブン」を築くために活動していたのです。
【ソリッド・スネーク編】父の宿命を背負った英雄の最後の戦い (MG → MGS → MGS2 → MGS4)
ビッグ・ボスのクローンとして生み出されたソリッド・スネークは、自らの出自を知らないまま、特殊部隊FOXHOUNDの一員として、ビッグ・ボスが創設した武装国家「アウターヘブン」の野望を阻止します(メタルギア)。
その後も彼は、同じくクローンである兄弟リキッド・スネークが引き起こした「シャドー・モセス島事件」に立ち向かい(MGS1)、世界の危機を何度も救います。
戦いの中で、彼は世界の裏で全てを操る組織「愛国者達」の存在を知り、その支配からの解放を目指して戦い続けます(MGS2)。
しかし、クローンとして生まれた彼の肉体は急激な老化に蝕まれていました。
老いた兵士(オールド・スネーク)となった彼は、宿敵リキッド(の意志を宿したオセロット)との最後の戦いに挑み、全ての因縁に終止符を打ちます(MGS4)。
これから始める人へ!メタルギアシリーズのおすすめプレイ順は?
ストーリーの全貌を理解した上で、「実際にプレイしてみたい」と感じた方もいるでしょう。
その際に悩むのがプレイする順番ですが、結論から言うと、初めてプレイするなら**「発売順」**を強くおすすめします。
発売順でプレイするメリット:制作者の意図通りに謎が明かされる体験
発売順でプレイする最大のメリットは、制作者が意図した通りの順番で物語の謎や伏線が明かされていく体験ができることです。
例えば、『MGS1』で「悪のカリスマ」として描かれるビッグ・ボスの悲劇的な過去が、後の『MGS3』で明かされることで生まれる感動は、この順番でしか味わえません。
また、ゲームシステムも作品を追うごとに進化していくため、操作に戸惑うことなくスムーズに楽しめます。
時系列順でプレイするメリット:物語の歴史を順を追って理解できる
一方で、時系列順にプレイすると、ビッグ・ボスの心情の変化やソリッド・スネークが誕生するまでの経緯を、歴史を追うようにスムーズに理解できるメリットがあります。
物語の整理を最優先したい場合は、この順番も選択肢の一つです。
ただし、新しい作品をプレイした後に古い作品に戻ると、グラフィックや操作性に古さを感じてしまう可能性がある点には注意が必要です。
結論:初めてなら「発売順」が最もおすすめな理由
これらの点を総合的に考慮すると、やはり初めてメタルギアシリーズに触れる方には「発売順」でのプレイが最もおすすめです。
小島秀夫監督が仕掛けた壮大な物語のギミックと、徐々に明らかになる真実の衝撃を、最大限に楽しむことができるでしょう。
【深掘り解説】物語の核心に迫る2つの大きな謎
メタルギアの物語をさらに深く理解するために、シリーズ全体を貫く2つの核心的なテーマについて解説します。
謎①:ビッグ・ボスが本当にしたかったことは何だったのか?
ビッグ・ボスが英雄から道を踏み外し、世界を敵に回す存在となった根源には、師ザ・ボスの死があります。
国家に利用され、汚名を着せられて死んだ師の姿から、彼は「国家というシステムに兵士が使い捨てにされる世界」に絶望しました。
彼が本当にしたかったことは、ザ・ボスの真の遺志を継ぎ、**「兵士が思想や国家に縛られず、兵士としての尊厳を持って生きられる世界(アウターヘブン)」**を創ることだったのです。
その理想は純粋なものでしたが、実現方法が過激すぎたために、結果として世界と敵対する道を選ぶことになりました。
謎②:シリーズ全ての黒幕「愛国者達」の正体とは?
物語の裏で世界を操る謎の組織「愛国者達」。
その創設者は、ビッグ・ボスの元上官であり、かつては盟友だったゼロ少佐です。
彼もまたザ・ボスの遺志を継ごうとしましたが、その解釈は「世界を統一し、コントロールすることで争いをなくす」というものでした。
この思想の違いからビッグ・ボスと決別したゼロは、やがて人間の判断の限界を感じ、自らの意思決定を代行させるための複数のAIシステムを作り上げます。
最終的に、創設者である人間の手を離れたAIは自己判断で暴走を始め、世界を完全に管理下に置こうとする巨大な支配システムそのものへと変貌しました。
これが、『MGS2』や『MGS4』の時代における「愛国者達」の正体です。
まとめ:メタルギアのストーリーをわかりやすく理解するために
この記事では、複雑で難解とされるメタルギアのストーリーについて、その構造から時系列、登場人物の相関までをわかりやすく解説しました。
最後に、この記事の要点をまとめます。
これだけは覚えておきたい!物語の要点まとめ
- メタルギアの物語はゲームの発売順と作中の時系列が異なる
- 物語の核はビッグ・ボスとソリッド・スneーク、二世代にわたる親子と宿命の物語である
- 「スネーク」と呼ばれる主要人物は複数人存在し、それぞれ役割が違う
- 全ての始まりは、伝説の兵士ビッグ・ボスが師ザ・ボスを失ったことにある
- ビッグ・ボスは、国家に翻弄されない「兵士の楽園」の創造を目指した
- ソリッド・スネークは、ビッグ・ボスの遺伝子から作られたクローン(息子)である
- シリーズの黒幕「愛国者達」の正体は、創設者の手を離れ暴走したAIシステムであった
- 初めてシリーズをプレイするなら、制作者の意図を体験できる「発売順」が最も推奨される
- 物語は戦争や核だけでなく、遺伝子(GENE)、意志(MEME)、時代(SCENE)といった深いテーマを扱う
- 親子、師弟、兄弟でありながら敵対する、複雑で悲劇的な人間関係が物語の魅力である
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