メタルギアソリッドシリーズに登場する謎多き人物、クラーク博士。
その正体が『MGS3』の主要キャラクター「パラメディック」だと知り、驚いた方も多いのではないでしょうか。
なぜ彼女は頼れるサポート役から非道な科学者へと変貌してしまったのか、そしてその最期はどうなったのか。
この記事では、シリーズを通して複雑な役割を担ったクラーク博士(パラメディック)の全貌を、作品の時系列に沿って徹底的に解説します。
彼女の軌跡を追うことで、メタルギアサーガの根幹をなす「愛国者達」の物語への理解も深まるはずです。
メタルギアのクラーク博士とは?その正体はMGS3の「パラメディック」
メタルギアシリーズにおけるクラーク博士とは、その正体を『メタルギアソリッド3 スネークイーター』(MGS3)に登場した「パラメディック」とする人物です。
当初は別々のキャラクターとして描かれていましたが、物語が進むにつれて同一人物であることが判明し、多くのファンに衝撃を与えました。
クラーク博士の基本情報(本名・所属・コードネーム)
クラーク博士の基本的なプロフィールは以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
本名 | クラーク(Clark)※フルネームは不明 |
コードネーム | パラメディック(Para-Medic) |
生年月日 | 1936年6月22日 |
没年 | 2003年(享年66歳または67歳) |
主な所属 | CIA 特殊部隊FOX、愛国者達(サイファー)、ATGC社 |
専門 | 生体工学、遺伝子工学 |
声優 | 桑島法子 |
MGS1で初めて語られた「クラーク博士」の功績と非道な実験
クラーク博士の名前がシリーズで初めて登場したのは、記念すべき第1作『メタルギアソリッド』(MGS1)です。
作中、ナオミ・ハンターの口から、彼女の前任者としてFOXHOUNDのメディカルスタッフを務めていた遺伝子工学の権威として語られました。
クラーク博士は、伝説の兵士ビッグボスの遺伝子から「ソルジャー遺伝子」を発見し、ゲノム兵を生み出す「遺伝子治療(ジーンセラピー)」を軍に導入した張本人です。
さらに、死亡したグレイ・フォックスを蘇生させ、強化外骨格をまとったサイボーグ忍者へと改造するなど、数々の非人道的な人体実験を主導したマッドサイエンティストとして描かれています。
なぜ性別を間違えられていた?「ファントム」と呼ばれた理由
MGS1の作中、ナオミはクラーク博士のことを「彼」と呼んでいました。
これは、クラーク博士が研究に没頭するあまり滅多に人前に姿を現さず、その素性や性別すらも徹底した情報統制によって秘匿されていたためです。
『メタルギアソリッドV ファントムペイン』(MGSV)では、ヒューイ・エメリッヒがクラーク博士を「幻(ファントム)」と呼び、性別すら掴めなかったと語る場面があり、この設定が補完されています。
「クラーク博士=パラメディック」だと判明した経緯
この二人の人物が同一であると決定的に明かされたのは、『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』(MGS4)です。
作中でビッグママ(EVA)が「愛国者達」の創設メンバーについて語る場面で、パラメディックの本名がクラークであり、彼女こそがビッグボスのクローン計画を主導したクラーク博士その人であったことが告白されました。
MGS3の時点で、彼女のあだ名「ヤブ医者(Quack)」が本名「クラーク(Clark)」の発音に似ているなど、その正体を匂わせる伏線が張られていました。
MGS3のパラメディックはなぜ「かわいい」と人気?スネークとの名場面集
後の非道なマッドサイエンティストとしての姿とは裏腹に、MGS3に登場するパラメディックは、多くのプレイヤーから「かわいい」「魅力的」と評される人気キャラクターでした。
主人公ネイキッド・スネークを支える明るく献身的な姿が、その人気の理由です。
スネークを支える医療サポート担当としての頼れる一面
パラメディックは、スネークイーター作戦において医療サポートを担当する衛生兵です。
スネークの体調管理や怪我の治療法について的確なアドバイスをくれるだけでなく、ゲームデータのセーブも担当しており、プレイヤーにとっては任務の緊張を和らげてくれる安心できる存在でした。
パラシュートで前線に駆けつける救護部隊の設立を夢見るなど、命を救うことへの真摯な情熱を持っていました。
B級映画を熱く語る愛すべき「映画オタク」な性格
彼女の最も特徴的な側面が、大の映画好きであることです。
特にSF、ホラー、ファンタジーもののB級映画に目がなく、セーブ時の無線ではスネークに様々な映画のあらすじや魅力を熱っぽく語ってくれます。
そのマニアックな語り口と、映画の話になると夢中になってしまう姿は、多くのプレイヤーに親しみを感じさせました。
「スネーク、吸血鬼は苦手なの?」お茶目な無線でのやり取り
パラメディックとスネークの無線での会話は、シリーズでも屈指のコミカルな名場面として知られています。
スネークが吸血鬼を怖がっていることを知ると、楽しそうにからかったり、捕獲した動植物についてスネークが味のことしか気にしないことに呆れたりと、二人のウィットに富んだやり取りは、過酷な任務の中での癒しとなりました。
勘違いだらけの日本知識と即席ラーメンへの強い興味
自称「日本通」であるものの、その知識はどこかズレています。
「ゲイシャガールは皆カロリーメイトでダイエットしている」「日本人はカエルを刺身やすき焼きにして食べる」など、誤った情報を真面目にスネークに披露する姿は非常に微笑ましいものでした。
また、即席ラーメンに強い興味を示し、スネークに「余ったら持って帰ってきて」とねだるなど、好奇心旺盛な一面も見せています。
なぜ変貌した?パラメディックが「クズ」「マッドサイエンティスト」と呼ばれる理由
MGS3で見せた明るく心優しい姿から、なぜパラメディックは「クズ」や「マッドサイエンティスト」とまで呼ばれる非道な科学者へと変貌してしまったのでしょうか。
その背景には、物語の黒幕である組織「愛国者達」の設立が深く関わっています。
転落の始まり:「愛国者達」創設メンバーへの参加
スネークイーター作戦後、ゼロ少佐は伝説の兵士ザ・ボスの遺志「世界を一つにすること」を実現するため、作戦関係者を集めて秘密組織「愛国者達」を創設します。
パラメディックもその理想に共感し、創設メンバーの一人として参加しました。
しかし、この組織への参加が、彼女の運命を大きく狂わせる転機となります。
倫理観の崩壊:ビッグボスのクローンを生み出した「恐るべき子供達計画」
リーダーであるゼロは、組織の象徴であるビッグボスを永遠の存在とするため、彼のクローンを作り出す「恐るべき子供達計画」を画策します。
パラメディックはこの計画を主導する中心人物となり、純粋な科学的探求心から倫理のタガが外れていきました。
結果として、彼女はソリッド・スネークとリキッド・スネークという二人のクローンを誕生させ、ビッグボスの離反を招く直接的な原因を作ってしまいます。
非人道的研究の数々:グレイ・フォックスのサイボーグ化と声帯虫開発
「恐るべき子供達計画」を成功させた後、彼女のマッドサイエンティストとしての側面はさらに加速します。
前述の通り、死亡した兵士グレイ・フォックスを人体実験の末にサイボーグ忍者として蘇生させ、精神まで破壊しました。
さらにMGSVでは、特定の言語を話す人間だけを殺戮する生物兵器「声帯虫」を復元・開発した張本人であったことも明かされており、その探求心は多くの悲劇を生み出すことになりました。
MGS3時代から見られたマッドサイエンティストの片鱗とは?
実は、MGS3の時点でも彼女の変貌を示唆する伏線は存在しました。
スネークとの無線の中で、クローン技術について「道徳上は否定したいが、医師として興味がある」と発言しています。
この言葉は、彼女の中に眠る科学者としての純粋な探究心が、いずれ倫理観を超えて暴走する可能性を暗示していたと言えるでしょう。
パラメディック(クラーク博士)の最期は?死亡した経緯を徹底解説
非道な研究に手を染め続けたパラメディック(クラーク博士)ですが、その生涯は皮肉な形で終わりを迎えます。
彼女の死は、多くの人物の思惑が絡んだ複雑な事件の結果でした。
いつ死亡した?シャドー・モセス事件以前の最期
彼女が死亡したのは、MGS1で描かれた「シャドー・モセス島事件」が起こる2年前の2003年です。
MGS1の作中でナオミが語る時点では、すでに故人となっていました。
表向きの死因は「研究所の爆発事故」として処理されています。
直接の死因は?実験体だったグレイ・フォックスによる報復
彼女を直接殺害したのは、かつて自身が非人道的な実験を繰り返したサイボーグ忍者、グレイ・フォックスでした。
長年にわたる実験の末、半ば廃人と化していたグレイ・フォックスでしたが、解放された後にかつての同志ビッグボスの仇として、そして自らの復讐としてクラーク博士を殺害します。
自らの研究欲によって生み出した被検体の手で命を落とすという、まさに因果応報の結末でした。
彼女の死の裏で糸を引いていたオセロットとEVAの策略
このグレイ・フォックスによる殺害は、偶然の産物ではありませんでした。
MGS4で明かされた真相によれば、この事件は「愛国者達」と敵対していたリボルバー・オセロットとEVA(ビッグママ)が、組織の創設メンバーであるパラメディックを排除するために仕組んだ策略でした。
彼らはナオミ・ハンターの協力を得てグレイ・フォックスを解放し、クラーク博士を殺害させたのです。
「愛国者達」とは何か?創設メンバーたちの関係とそれぞれの末路
クラーク博士の人生を理解する上で欠かせないのが、メタルギアサーガ全体の黒幕である組織「愛国者達」の存在です。
彼女もまた、この巨大な組織を巡る思想の対立に飲み込まれた一人でした。
すべての始まり:「賢者達」からザ・ボスの遺志を継ぐ「愛国者達」へ
「愛国者達」の前身は、第一次大戦後に米・中・ソの権力者によって結成された「賢者達」という組織です。
スネークイーター作戦後、賢者達の遺産を手にしたゼロ少佐が、ザ・ボスの「世界を一つにする」という遺志を継ぐために、ビッグボス、パラメディック、シギント、オセロット、EVAらと共に創設したのが「愛国者達」です。
創設メンバーの関係性:ゼロ少佐とビッグボスの決定的な決裂
当初は同じ理想を掲げていましたが、ザ・ボスの遺志の解釈を巡って、指導者であるゼロと象徴であるビッグボスの間に亀裂が生じます。
ゼロがビッグボスを英雄として神格化し、世界を管理・統制しようとしたのに対し、ビッグボスは兵士が国家に縛られず生きられる世界を求めました。
そして、前述の「恐るべき子供達計画」が、二人の決裂を決定的なものにしました。
ゼロに従ったパラメディックとシギント(ドナルド・アンダーソン)の行く末
ビッグボスが組織を離反した際、創設メンバーは二つに分裂します。
ビッグボスを慕うオセロットとEVAが彼に従って離脱した一方、パラメディックとシギントはゼロの側に残ることを選びました。
その後、シギントはDARPA局長ドナルド・アンダーソンとして組織のAI化を推進しますが、シャドー・モセス島事件でオセロットに殺害されます。
パラメディックもまた、前述の通りオセロットらの策略によって命を落としました。
AIによる支配へ:「愛国者達」の変質とシリーズへの影響
創設メンバーの離反や死亡により人間不信に陥ったゼロは、組織の永続的な運営を自身が作り出した5つの代理AIに委ねます。
しかし、AIはゼロの意図を超えて暴走し、世界を「戦争経済」によって支配する冷徹なシステムへと変貌しました。
MGS2以降に登場する「愛国者達」の正体は、このAIネットワークそのものです。
まとめ:メタルギアのクラーク博士の全て
この記事では、メタルギアシリーズの重要人物であるクラーク博士(パラメディック)について、その正体から変貌の理由、そして悲劇的な最期までを詳しく解説しました。
彼女の物語は、一つの純粋な探求心が、巨大な組織の思惑と時代の流れの中でいかに歪められていくかを示す、メタルギアサーガの縮図と言えるかもしれません。
- クラーク博士の正体は『MGS3』に登場したパラメディックである
- MGS3ではスネークを支える明るく「かわいい」キャラクターとして描かれた
- B級映画好きで、スネークとのコミカルな無線が人気を博した
- 「愛国者達」創設後、非人道的な研究に手を染めるマッドサイエンティストへと変貌した
- ビッグボスのクローン計画「恐るべき子供達計画」を主導した
- グレイ・フォックスのサイボーグ化や生物兵器「声帯虫」の開発にも関与した
- 最期は2003年に、自身が実験体としたグレイ・フォックスの手によって殺害された
- 彼女の死はオセロットやEVAによって仕組まれたものであった
- 彼女の変貌と死は、黒幕組織「愛国者達」の内部分裂が大きく関わっている
- MGS3時代の明るい姿と後の非道な行いのギャップが、彼女を複雑で魅力的なキャラクターにしている
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