Ibゲームの名言まとめ|心に残るセリフと名シーン全集

美術館の奥深くで紡がれる言葉が、なぜこれほどまでにプレイヤーの心をつかんで離さないのでしょうか。

2012年にフリーゲームとして公開されたIbは、独特の世界観と印象的なセリフの数々によって、今なお多くのファンに愛され続けています。

ギャリーが最期に残した切ない言葉、メアリーが投げかける残酷な問い、そしてゲルテナの作品に刻まれた哲学的なテキスト。

一つひとつのセリフには、キャラクターの想いや物語の核心が凝縮されており、プレイ後も長く記憶に残り続けるものばかりです。

この記事では、Ibに登場する名言や名セリフをキャラクター別・エンディング別に網羅的に振り返りながら、それぞれの言葉が持つ意味や背景を深く掘り下げていきます。

リメイク版で追加されたレアなセリフや、最新のイベント情報まで幅広くカバーしていますので、初めてIbに触れる方にも、何度もプレイした方にも新たな発見があるはずです。

目次

Ibとはどんなゲーム?名言が生まれる世界観の魅力

Ibの名言が深く心に刺さる理由は、舞台となる世界観そのものに秘密があります。

美術館という閉鎖空間、命と直結する薔薇のシステム、そしてプレイヤーの選択によって変化する結末。

これらが複雑に絡み合うことで、登場人物たちの言葉一つひとつに重みが生まれているのです。

美術館を舞台にした探索型ホラーの基本ストーリー

Ibは、kouri氏が制作した美術館を舞台とする2D探索型ホラーアドベンチャーゲームです。

主人公の少女イヴは、両親と共に芸術家ワイス・ゲルテナの展覧会を訪れます。

ところが美術館の中を歩いているうちに、気がつけば周囲から人が消え、絵画や彫刻が動き出す不気味な異世界へと迷い込んでしまいます。

この異世界はゲルテナの作品たちが作り出した空間であり、床には「おいでよイヴ」という不穏なメッセージが記されています。

イヴは道中で出会ったオネエ口調の青年ギャリー、そして金髪碧眼の少女メアリーと合流し、現実世界への出口を探して美術館の奥深くへと進んでいきます。

ゴシックホラーの雰囲気を纏いながらも、キャラクター同士の温かなやり取りが随所に散りばめられている点が、多くのプレイヤーを惹きつけてやまない魅力となっています。

薔薇と命が繋がる独自のゲームシステム

Ibのゲームシステムにおいて最も特徴的なのは、キャラクターの命が薔薇の花と直結している点です。

イヴは赤い薔薇、ギャリーは青い薔薇、メアリーは黄色い薔薇をそれぞれ持っており、花びらが散ると体力が減り、すべての花びらを失うと命を落とします。

花瓶に薔薇を活けると体力が回復する仕組みになっているため、プレイヤーは常に薔薇の状態を意識しながら探索を進める必要があります。

さらに興味深いのは、各キャラクターの薔薇の色に花言葉が対応している点です。

赤い薔薇は「愛」、青い薔薇は「不可能」や「奇跡」、黄色い薔薇は「友情」と「嫉妬」を意味しており、物語の展開やキャラクターの運命を暗示する仕掛けとなっています。

この薔薇のシステムが、ゲーム中に登場するセリフの一つひとつに「命の重み」を加えているのです。

7種類のマルチエンディングと分岐の仕組み

Ibには全部で7種類のエンディングが用意されており、プレイヤーの行動や選択によって結末が大きく変化します。

分岐に影響を与える主な要素は、ギャリーとメアリーそれぞれの好感度、特定のイベントの成否、そしてメアリーの問いかけに対する返答です。

ハッピーエンドとされる「再会の約束」から、メアリーにとってのハッピーエンドである「いつまでも一緒」、そして最も救いのない「ひとりぼっちのイヴ」まで、どのルートを辿るかによって登場するセリフも異なります。

エンディング名 概要 分岐条件の目安
再会の約束 イヴとギャリーが脱出し記憶を取り戻す ギャリー好感度が高くハンカチを渡す
いつまでも一緒 メアリーが現実世界に出る ギャリー死亡・メアリー生存
片隅の記憶 二人は脱出するが互いを思い出せない ギャリー好感度が低くハンカチを渡さない
忘れられた肖像 イヴが一人で脱出しメアリーの絵を燃やす ギャリー死亡後に絵画を燃やす
ひとりぼっちのイヴ イヴが異世界に留まる 美術館の空間から出ない選択
ある絵画の末路 メアリーが崩壊する 青い人形の部屋で失敗かつメアリー好感度低
ようこそゲルテナの世界へ イヴが異世界の住人になる 青い人形の部屋で失敗かつメアリー好感度高

この多彩な分岐構造こそが、Ibの名言に何層もの意味を持たせ、プレイするたびに異なる感動を与えてくれる原動力になっています。

ギャリーの名言・名セリフ集|心を打つ言葉の数々

ギャリーは、Ibの中で最も多くの印象的なセリフを残すキャラクターです。

オネエ口調で話す面倒見の良い青年という独特の個性に加え、幼いイヴを守ろうとする優しさと、異世界の恐怖に立ち向かう強さが言葉の端々ににじみ出ています。

ここでは、ファンの間で特に人気の高いギャリーの名言を場面ごとに紹介していきます。

「ウソなんてつきたくないけど本当のことも言いたくない」の意味と場面

フリーゲーム全体を代表する名言として広く知られているのが、ギャリーのこの言葉です。

メアリーとの薔薇の交換に応じた後、ギャリーは自分の命が尽きかけていることを悟ります。

通路にはギャリーの青い薔薇の花びらが点々と散らばっており、メアリーが花占いをしている声が聞こえてくる絶望的な状況の中で、ギャリーはイヴにこう告げます。

「ウソなんてつきたくないけど……本当のことも言いたくない……動けるようになったら……追いかけるから……さきに行ってて……」

イヴに心配をかけたくない優しさと、もう二度と追いつけないかもしれないという諦め。

嘘はつきたくないが、自分が死にゆくという真実も伝えたくない。

この矛盾した感情が短い言葉の中に凝縮されているからこそ、多くのプレイヤーの胸を強く打つのでしょう。

一般的にIbで最も泣けるセリフとして挙げられることが多く、フリーゲームの名言を集めたまとめでも頻繁に引用されています。

青い人形の部屋で語られるトラウマと恐怖のセリフ

ギャリーが精神的に最も追い詰められるのが、青い人形の部屋のイベントです。

大量の不気味な人形が並ぶ密室に閉じ込められ、壁に描かれた絵画の人形が徐々に這い出してくるという恐怖の中で、プレイヤーは制限時間内に鍵を見つけなければなりません。

脱出に成功した場合、ギャリーは震えながらこう叫びます。

「あの部屋はもうたくさん!……なんでアタシがあんな目に……!」

さらにスケッチブックの世界で休憩する場面では、こんな言葉も漏らしています。

「もう人形をまともに見られないわ……かなりトラウマよ、控えめに言って」

普段は明るくイヴを励ますギャリーが、ここまで取り乱す姿を見せることで、美術館の異世界がいかに過酷な場所であるかが伝わってきます。

一方で脱出に失敗した場合、ギャリーは人形に話しかけて楽しそうにするなど精神が崩壊した状態になり、このギャップもまたプレイヤーに強い衝撃を与える場面として語り継がれています。

マカロンの話など日常を感じさせる癒しの名言

恐怖の連続であるIbの中で、ギャリーが見せる日常的な一面は、プレイヤーにとって貴重な癒しの時間です。

スケッチブックの世界で束の間の休息を取る場面では、ギャリーがイヴにこんな話をしてくれます。

「マカロンって知ってる? ハンバーガーみたいな形のお菓子なの。この間すっごく美味しいマカロンのお店見つけたのよ!」

9歳の少女に合わせてお菓子の話題を選ぶ優しさ、そして異世界の恐怖を忘れさせようとする気遣いが感じられるセリフです。

また、セーフルームでの会話では少しおどけた一面も見せてくれます。

「ちょっと喉が渇いたわ……この花瓶の水、飲んでもいいかしら? ……冗談よ」

こうしたユーモアのあるセリフが挟まれることで、ギャリーというキャラクターに人間味が加わり、親しみやすさが格段に増しています。

さらに、イヴに「なぜ女の人みたいな話し方なの?」と聞かれた際の返答も印象的です。

「何かしらそれ……でも、自然にこうなったのよね。荒っぽいよりも丁寧な方がいいと思わない?」

飾らない自然体の言葉でありながら、ギャリーの人柄と価値観が端的に伝わる名言といえるでしょう。

ギャリー最期の言葉が泣けると言われる理由

ギャリーの死に際のセリフが多くのプレイヤーの涙を誘う理由は、自己犠牲の精神が貫かれているからです。

メアリーがイヴの赤い薔薇と引き換えにギャリーの青い薔薇を要求した際、ギャリーは一切の迷いなく交換に応じます。

自分の命よりもイヴの安全を優先するこの行動は、ゲーム序盤からイヴを守り続けてきたギャリーの姿と一直線につながっています。

前述の「ウソなんてつきたくないけど」のセリフに加え、ギャリーは「動けるようになったら追いかけるから」とも語りかけます。

もう動けるようにはならないと分かっていながら、最後までイヴに希望を持たせようとするこの嘘は、まさに「嘘はつきたくないけど本当のことも言いたくない」という矛盾を体現しています。

9歳の少女を命懸けで守り抜いた青年の最期の言葉だからこそ、プレイした人々の記憶から消えることのない名言となっているのです。

メアリーの名言・名セリフ集|純粋さと狂気が同居する言葉たち

メアリーのセリフには、無邪気な少女の可愛らしさと、その裏に潜む切実な願望が同時に宿っています。

ゲルテナの絵画作品として生まれた彼女は、薄暗い美術館の世界でずっとひとりぼっちでした。

外の世界への憧れ、初めてできた友達への執着、そして夢を叶えるために手段を選ばない覚悟。

メアリーの言葉を追っていくと、単純な敵役とは言い切れない複雑な感情の層が浮かび上がってきます。

「誰と外の世界へ行きたい?」に込められた本当の意味

メアリーが物語の中盤でイヴに投げかけるこの問いは、Ibというゲームの核心を突く最も重要なセリフの一つです。

「もしもここから出られるのが二人だけだったら……イヴは誰と外の世界へ行きたい?」

一見すると何気ない質問のように思えますが、美術館の世界には「存在を交換することにより、空想が現実に成り得る」というルールが存在しています。

つまり、外の世界に出られるのは本当に限られた人数であり、誰かが犠牲にならなければ脱出できない仕組みになっているのです。

メアリーはこのルールを知った上で、あえてイヴに選択を迫っています。

この質問への返答はエンディングの分岐にも影響を与えるため、プレイヤー自身が「誰を選ぶのか」という重い決断を突きつけられる構造になっています。

無邪気な口調と残酷な真意のギャップが、プレイヤーに忘れがたい衝撃を与えるセリフです。

「ずっと一緒にいようね」に見えるメアリーの百合的な執着心

メアリーがイヴに向ける感情は、単なる友情を超えた強い執着として描かれています。

「一緒に出よ? 約束だよ!」「イヴ、ずっと……一緒にいようね!」

これらのセリフからは、初めてできた同年代の友達を何があっても手放したくないという切実な想いが伝わってきます。

ファンの間では、メアリーのイヴへの感情は百合的な要素を含んでいると解釈されることも少なくありません。

同年代の女の子同士という関係性、ギャリーを排除してでもイヴと二人でいたいという強い願望、そしてイヴの持つ飴を奪い取ってまで「これからはずっと一緒だね」と笑いかけるエンディング。

これらの要素が、友情と執着の境界線上にある独特の関係性を形作っています。

ゲルテナの世界でずっとひとりぼっちだったメアリーにとって、イヴは光そのものだったのかもしれません。

だからこそ、手段を選ばずイヴを自分のそばに置こうとする姿は、ヤンデレとして語られると同時に、どこか悲しみを帯びた愛情として多くのプレイヤーの心に残っています。

花占いのシーンで放たれる残酷なセリフの真意

Ibの中でも屈指の恐怖シーンとして知られるのが、メアリーによる花占いの場面です。

ギャリーから奪った青い薔薇の花びらを一枚ずつちぎりながら、メアリーは「好き、嫌い」と花占いを行います。

花びらが散ること、すなわちギャリーの命が削られていくことをメアリーは理解しています。

にもかかわらず、花占いを終えたメアリーは何か嬉しそうな様子で去っていくのです。

この場面にはメアリーの直接的な長いセリフこそ少ないものの、花占いという子供らしい遊びを通じて人の命を奪うという行為の異質さが、言葉以上の衝撃をプレイヤーに与えます。

メアリーにとって善悪の判断を教えてくれる存在がいなかったことを考えると、この残酷さもまた彼女の孤独の産物であるといえるでしょう。

無邪気さと残酷さが表裏一体となったこの場面は、メアリーというキャラクターの本質を象徴する名シーンとして広く語られています。

ゲルテナの言葉と美術館に刻まれた名言テキスト

Ibの世界観を根底から支えているのは、芸術家ワイス・ゲルテナの思想と、美術館に散りばめられた数々のテキストです。

キャラクターのセリフとは異なり、これらの言葉はゲームの世界そのもののルールや哲学を語っており、考察好きなプレイヤーにとって尽きることのない解釈の源泉となっています。

「想いを込めたモノに魂が宿る」が示す作品全体のテーマ

ゲーム冒頭で紹介されるゲルテナの言葉は、Ibという作品の根幹テーマを端的に表しています。

「人は想いを込めたモノに魂が宿ると言う。

ならば、芸術作品にも同じことが言えるはずだ。

だから今日も私は己の魂を込めるべく、作品に没頭する」

この言葉は、単なる芸術論にとどまりません。

ゲルテナが魂を込めて制作した作品たちが実際に自我を持ち、動き出し、一つの世界を形成しているという物語の前提そのものを説明しています。

メアリーが絵画でありながら人間のような感情を持つ存在として生まれた理由も、この思想に集約されているのです。

ゲルテナの言葉を知った上でゲームをプレイし直すと、美術館の作品たちが単なる障害物ではなく、一つひとつが魂を持った存在として見えてくるでしょう。

「薔薇が枯れればあなたも朽ちる」など警告文の名言一覧

美術館の異世界には、プレイヤーを導くようにいくつかの警告文が記されています。

「あなたと薔薇は繋がっている。自分の命の重さを知りなさい」

「薔薇が枯れれば、あなたも朽ちる」

これらの言葉は、薔薇と命の関係を端的に伝えるゲームシステムの説明であると同時に、Ibの世界における生と死の厳しさを突きつけるメッセージでもあります。

また、美術館内にはこんなテキストも存在しています。

「この辺の女は花占いが好き。弱点は自分では扉を開けられないこと」

こちらは攻略のヒントを兼ねた文章ですが、後にメアリーが花占いでギャリーの薔薇をちぎる場面を知ると、背筋が凍るような伏線であったことに気づかされます。

警告文の一つひとつが、単なるゲーム上の案内ではなく物語全体と密接につながっている点が、Ibの構成の巧みさを物語っています。

「存在を交換することにより空想が現実に成り得る」の考察

美術館の世界に存在するこのルールは、Ibの物語構造を支える最も重要な設定です。

「存在を交換することにより、空想が現実に成り得る」

この一文が意味するのは、ゲルテナの作品(空想の存在)が現実世界に出るためには、代わりに現実の人間がゲルテナの世界に留まらなければならないということです。

メアリーがイヴやギャリーを利用しようとした動機は、まさにこのルールに起因しています。

エンディング「いつまでも一緒」では、ギャリーが美術館の世界に取り残され、代わりにメアリーが現実世界に出ることに成功します。

逆にトゥルーエンドでは、メアリーの絵が燃やされることでメアリーは消滅し、イヴとギャリーが現実に帰還できるのです。

このルールを知った上で各エンディングを振り返ると、すべての結末が「誰かの犠牲の上に成り立っている」という残酷な構造であることが浮き彫りになります。

3人全員が幸せになるエンディングが存在しないという事実が、多くのプレイヤーの心に深い余韻を残し続けている理由でしょう。

エンディング別に振り返る名シーンと記憶に残るセリフ

Ibの名言は、どのエンディングを迎えるかによって大きく異なります。

7つのエンディングそれぞれが固有の感情をプレイヤーに抱かせ、同じキャラクターの言葉でも文脈が変わることで全く異なる重みを持つようになります。

ここでは、特に印象深いエンディングの名シーンを振り返っていきます。

「再会の約束」で飴とハンカチが記憶を呼び覚ますシーン

「再会の約束」はIbのハッピーエンドであり、最も多くのプレイヤーに支持されているエンディングです。

美術館の異世界から脱出に成功したイヴとギャリーは、現実世界に戻った瞬間に異世界での記憶をすべて失ってしまいます。

美術館の中で偶然すれ違う二人は、お互いのことを知らない赤の他人として言葉を交わします。

しかしここで、ギャリーがイヴにあげた飴と、イヴがギャリーの怪我に巻いてあげたハンカチが記憶を呼び覚ますきっかけとなるのです。

小さなアイテムが失われた記憶を繋ぎ止めるという演出は、派手な展開ではないにもかかわらず、多くのプレイヤーの涙を誘いました。

ギャリーは「次に会った時にハンカチを返す」という再会の約束を交わしてイヴと別れます。

この約束が果たされる場面は描かれませんが、未来への希望を感じさせる余韻が、Ib全エンディングの中で最も温かい読後感を与えてくれます。

「いつまでも一緒」でメアリーが語る恐怖のラストセリフ

「いつまでも一緒」は、メアリーにとってのハッピーエンドであり、プレイヤーにとってはバッドエンドに位置づけられるエンディングです。

ギャリーが美術館の世界で命を落とした後、イヴは一人で現実世界に戻ります。

異世界での記憶を失ったイヴが両親のもとへ向かうと、そこにはメアリーの姿がありました。

両親はまるで記憶を書き換えられたかのように、メアリーをイヴの姉妹として自然に受け入れています。

イヴが感じた違和感も一瞬で薄れ、メアリーを姉妹として認識してしまいます。

そしてメアリーは、ギャリーがイヴにあげた飴を奪い取りながら、笑顔でこう告げるのです。

「これからはずっと一緒だね」

異世界で孤独に過ごしてきたメアリーの夢が叶った瞬間でありながら、ギャリーの犠牲という代償を知るプレイヤーにとっては、この笑顔がどこまでも恐ろしく映ります。

飴というギャリーとイヴの絆の象徴が奪われる演出も相まって、Ibの中でも最も背筋が凍るラストセリフとして記憶に刻まれる場面です。

「忘れられた肖像」と「片隅の記憶」で失われる記憶の切なさ

Ibの複数のエンディングに共通するテーマとして「記憶の喪失」があります。

「片隅の記憶」では、イヴとギャリーが無事に脱出するものの、ハンカチを渡していないために記憶を取り戻すきっかけが失われています。

二人は美術館で偶然すれ違い、少しだけ言葉を交わしますが、お互いを思い出すことはありません。

ほんの些細な行動の違いが、再会と永遠の別れを分けるという構造に、多くのプレイヤーが切なさを感じています。

「忘れられた肖像」は、ギャリーが命を落とした後にイヴが一人で脱出し、メアリーの肖像画をライターで燃やすエンディングです。

現実世界に戻ったイヴは異世界での出来事をすべて忘れており、メアリーの絵が飾られていた場所には何も残っていません。

メアリーという存在が世界から完全に消え去り、誰の記憶にも残らないという結末は、「ゲルテナの作品は死なない」というゲーム内テキストとの矛盾すら感じさせ、深い考察を呼んでいます。

「ひとりぼっちのイヴ」が突きつける最も救いのない結末

全7エンディングの中で最も救いがないとされるのが「ひとりぼっちのイヴ」です。

ギャリーが命を落とし、現実世界への出口である巨大な絵画「絵空事の世界」の前に辿り着いたイヴが、外へ出ることを選ばなかった場合にこのエンディングを迎えます。

イヴは一人で美術館の異世界に取り残されてしまいます。

ギャリーもメアリーもいない空間で、9歳の少女がたった一人で過ごすことになるという結末は、直接的な恐怖や悲劇の描写がないからこそ、かえってプレイヤーの想像力を刺激します。

このエンディングには目立った名セリフは存在しませんが、「何も語られないこと」そのものが最大の恐怖として機能しており、沈黙の名シーンとして多くのファンの間で語り継がれています。

Ibの名言が愛され続ける理由とファンの間での評価

2012年の公開から10年以上が経過した今もなお、Ibの名言は色あせることなくファンに愛され続けています。

その背景には、ゲームとしての完成度の高さだけでなく、セリフそのものが持つ普遍的な力があります。

フリーゲーム史に残る名セリフとして語り継がれる背景

Ibの名言がフリーゲーム史に残る存在として認知されている理由は、大きく3つあります。

第一に、キャラクターの言葉と物語の展開が密接に結びついている点です。

ギャリーの最期のセリフもメアリーの問いかけも、すべてがストーリーの分岐や結末と直結しており、単なる飾りの台詞ではありません。

第二に、ニコニコ動画をはじめとする実況動画文化によって、セリフの持つ感動がリアルタイムで共有された点が挙げられます。

実況者のリアクションと共にIbの名言が広まり、ゲームをプレイしていない層にまで知名度が拡大しました。

第三に、二次創作コミュニティの活発さです。

ピクシブやSNSを中心に、名言をモチーフにしたイラストや小説が数多く生み出されており、ファンの手によって名言の解釈が何層にも深められてきました。

これらの要素が複合的に作用し、Ibの名言はフリーゲームの枠を超えた文化的な存在として定着しているのです。

薔薇の花言葉とキャラクターの運命が重なる深い構造

Ibの名言を語る上で欠かせないのが、薔薇の花言葉とキャラクターの運命の対応関係です。

イヴの赤い薔薇は「愛」を象徴しています。

幼いながらも周囲の人々を思いやるイヴの姿は、この花言葉にふさわしいものといえるでしょう。

ギャリーの青い薔薇には「不可能」「奇跡」という花言葉があります。

自然界に存在しない青い薔薇は、まさにギャリーの自己犠牲によってイヴの生還という奇跡を実現させる運命と重なっています。

メアリーの黄色い薔薇は「友情」と「嫉妬」を意味します。

イヴへの友情と、ギャリーへの嫉妬。

この相反する二つの感情がメアリーの行動原理そのものであり、黄色い薔薇の二面性と完全に一致しています。

さらに、メアリーの薔薇が造花であるという事実は、彼女が現実の存在ではないことの暗示であると同時に、枯れることがない=死なないゲルテナの作品であることを示す伏線にもなっています。

こうした重層的な意味の構造が、Ibのセリフ一つひとつに深みを与え、プレイ後も長く考察され続ける原動力となっているのです。

リメイク版で追加されたレアなセリフと新たな発見

2022年にSteamで発売されたリメイク版Ibでは、グラフィックの一新だけでなく、新たなセリフや隠しイベントが多数追加されました。

特に注目されているのが、メアリーのレアなセリフです。

赤い傘を持った状態でメアリーに話しかけると、一度だけ聞ける特別な反応があり、絵画であることがバレそうになるのを必死に誤魔化す姿が描かれています。

また、ギャリーにもリメイク版限定のセリフが追加されています。

「この目薬を使ったら、見えないものが見えるようになったりして」

「用心しすぎかもしれないけど、絶対飛び出してくると思ったのに……」

こうした新たなセリフは、原作ファンにとっても新鮮な驚きとなり、リメイク版をプレイする大きな動機になっています。

さらにリメイク版では、メアリーを操作できるパートが拡張され、彼女の日記やらくがきといった追加要素を通じて内面がより深く描かれるようになりました。

これにより、メアリーに対する印象が大きく変わったというプレイヤーの声も多く聞かれます。

Ibの最新情報|リメイク展開とリアルイベントまとめ

Ibは単なるレトロフリーゲームにとどまらず、現在進行形でさまざまな展開を見せています。

リメイク版の複数プラットフォームへの移植や、リアルイベントの開催など、近年の動きをまとめて紹介します。

Steam・Switch・PS4/PS5のリメイク版と追加要素

リメイク版Ibは、段階的に複数のプラットフォームへ展開されています。

プラットフォーム 発売日 価格(税込)
PC(Steam) 2022年4月11日 1,300円
Nintendo Switch 2023年3月9日 1,500円(DL版)
PlayStation 4 / 5 2024年3月14日 1,500円(DL版)

リメイク版の主な変更点としては、画面解像度の大幅な向上、マップやキャラクター、スチルなどほぼすべてのグラフィックの一新、新たな美術品の追加、新規楽曲の収録、各種バランス調整が挙げられます。

Switch版とPS版にはパッケージ版も用意されており、通常版と豪華版が販売されました。

原作者のkouri氏が監修を行っているため、オリジナルの雰囲気を損なうことなく、現代のプレイ環境に最適化された仕上がりとなっています。

Ib謎解きミュージアムやコラボカフェなど最新イベント情報

Ibは近年、ゲームの枠を超えたリアルイベント展開を積極的に行っています。

2023年3月には、Switch版の発売を記念して渋谷PARCOで「ゲルテナ展」が開催されました。

kouri氏監修のもと、ゲーム内の絵画が実物大で再現されるなど、ファンにとって夢のような空間が実現しています。

2023年9月から10月にかけては、東京ドームシティのGallery AaMoにて没入体感型謎解きイベント「Ib謎解きミュージアム」が初開催され、全公演が完売する盛況ぶりを見せました。

2024年にはタワーレコードカフェとのコラボレーションや、東京・大阪でのコラボカフェも開催されています。

ゲーム内の作品名「無個性」や「呑み込める夜」がドリンクメニューの名前に採用されるなど、ファン心をくすぐる演出が話題を呼びました。

2025年2月8日から3月9日にかけては「Ib謎解きミュージアム 東京凱旋展」がGallery AaMoで開催され、完全新規の謎解きが追加されたほか、東京ドームシティ内の8店舗でコラボメニューが展開されました。

作品「精神の具現化」の立体化展示も凱旋記念の目玉として注目を集めています。

2026年1月には、kouri氏の公式ショップにて「新春初売り祭」が開催され、オリジナル謎解きグッズの販売も行われるなど、Ibの世界は今なお拡がり続けています。

まとめ:Ibゲームの名言が教えてくれること

  • Ibはkouri氏が2012年に公開した美術館舞台の探索型ホラーアドベンチャーである
  • 薔薇と命が連動するシステムが、セリフの一つひとつに生死の重みを与えている
  • ギャリーの「ウソなんてつきたくないけど本当のことも言いたくない」はフリーゲーム史を代表する名言である
  • ギャリーの自己犠牲の言葉が泣けるのは、序盤からイヴを守り続けた行動と一貫しているからである
  • メアリーの「誰と外の世界へ行きたい?」は存在の交換ルールを知る者だけが放てる残酷な問いである
  • メアリーのイヴへの執着は友情と百合的な感情の境界線上にある複雑な想いとして描かれている
  • ゲルテナの「想いを込めたモノに魂が宿る」がIb全体のテーマを集約している
  • 7つのエンディングそれぞれに固有の名シーンと記憶に残るセリフが存在する
  • リメイク版ではレアなセリフやメアリーの内面描写が追加されファンに新たな発見を提供した
  • 謎解きミュージアムやコラボカフェなどリアルイベントを通じてIbの名言文化は今も拡がり続けている
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