ファイナルファンタジーVII リメイク(FF7R)は、1997年に発売され、世界中で愛された名作RPG『ファイナルファンタジーVII』の再生プロジェクトです。
現代の技術で蘇った美麗なグラフィックや、アクションとコマンドが融合した戦略性の高いバトルシステムが大きな魅力ですが、一方で「ストーリーがわからない」「原作とどう違うの?」と感じる方も少なくありません。
特に原作をプレイしていない方にとっては、専門用語の多さや複雑な背景設定、そしてリメイクで加えられた新たな謎に戸惑うこともあるでしょう。
この記事では、そんな方々のために、FF7リメイクのストーリーをわかりやすく解説します。
あらすじから原作との違い、そして続編である『FF7リバース』の物語まで、時系列に沿って丁寧に紐解いていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
FF7リメイクのストーリーをわかりやすく解説

FF7リメイクのあらすじ
FF7リメイクの物語は、星の生命エネルギー「魔晄(まこう)」によって繁栄する巨大都市「ミッドガル」から始まります。
この都市を支配するのは、魔晄を独占する巨大企業「神羅(しんら)カンパニー」。
しかし、その繁栄の裏で、星は少しずつ命を削られていました。
この状況を憂い、神羅カンパニーに反旗を翻す反体制組織が「アバランチ」です。
物語の主人公は、元ソルジャー・クラス1stを名乗る青年「クラウド・ストライフ」。
彼は「なんでも屋」としてアバランチに雇われ、ミッドガルにある壱番魔晄炉の爆破作戦に参加します。
作戦の最中、クラウドは幼馴染である「ティファ」や、アバランチのリーダー「バレット」と共に戦いながらも、過去の記憶が断片的に蘇り、謎の頭痛に悩まされます。
そして、亡くなったはずの伝説のソルジャー「セフィロス」の幻影を見るようになります。
その後、スラムの花売り「エアリス」と運命的な出会いを果たしたクラウドは、彼女が古代種の末裔「セトラ」であり、神羅に狙われていることを知ります。
エアリスのボディーガードとして行動を共にするうち、クラウドは彼女の持つ不思議な力や、星を巡る壮大な運命に巻き込まれていくことになります。
FF7リメイク第一作目は、クラウドたちがアバランチの仲間たちとの交流や神羅との激しい戦いを経て、多くの謎を残したままミッドガルを脱出するところまでが描かれています。
FF7のストーリーを時系列で解説
FF7リメイクの物語を深く理解するためには、作中で断片的にしか語られない「過去の出来事」を知ることが非常に重要です。
ここでは、物語の根幹に関わる重要な出来事を時系列に沿って解説します。
ジェノバ・プロジェクトと英雄の誕生
物語が始まる約30年前、神羅カンパニーは地層から発見した謎の生命体を古代種と誤認し、「ジェノバ」と名付けます。
そして、古代種の能力を再現するため、ジェノバの細胞を人体に移植する「ジェノバ・プロジェクト」を開始しました。
このプロジェクトによって、英雄「セフィロス」や、後にクラウドの親友となる「ザックス・フェア」といった強力な能力を持つ「ソルジャー」たちが生み出されました。
ニブルヘイム事件
リメイク本編の5年前、セフィロスは任務で訪れたニブルヘイムで自身の出生の秘密を知ってしまいます。
自分が人工的に作られた存在であり、母と思っていたジェノバが星を脅かす厄災であったという事実に直面し、彼は狂気に陥ります。
そして、ニブルヘイムの村を焼き払い、多くの人々を手にかけました。
この事件に居合わせたのが、ソルジャーのザックスと、ソルジャーに憧れる一兵士だったクラウドです。
クラウドはセフィロスに深手を負わせるも敗れ、ザックスと共に神羅の科学者・宝条に捕らえられ、ジェノバ細胞を埋め込まれる実験体となってしまいます。
ザックスの最期とクラウドの擬態
数年後、ザックスは意識が混濁したままのクラウドを連れて脱走しますが、神羅の追手に追い詰められ、クラウドを庇って命を落とします。
死の間際、ザックスはクラウドに自身の剣「バスターソード」とソルジャーの誇りを託しました。
親友の死とジェノバ細胞、そして魔晄中毒の影響でクラウドの精神は崩壊。
彼は、親友ザックスの記憶や振る舞いと、自身の理想の姿を混ぜ合わせ、「元ソルジャー・クラス1stのクールな自分」という偽りの人格を形成します。
これが、FF7リメイク冒頭でクラウドが記憶に矛盾を抱え、クールに振る舞っている理由です。
FF7リメイクのストーリーがわからない人へ
FF7リメイクのストーリーが「わからない」と感じるのには、いくつかの明確な理由があります。
これを理解することで、物語をよりスムーズに楽しめるようになるでしょう。
主な原因は、以下の3つです。
- 専門用語が多く、背景知識が必要
- 主人公クラウドの記憶が曖昧
- リメイクからの新たな謎「フィーラー」の存在
専門用語が多く、背景知識が必要
『魔晄』『ライフストリーム』『ソルジャー』『セトラ』『ジェノバ』など、FF7には独特の専門用語が数多く登場します。
これらは物語の根幹をなす重要な要素ですが、原作未プレイの方にとっては、十分な説明がないまま話が進むように感じられるかもしれません。
用語 | 説明 |
---|---|
魔晄(ライフストリーム) | 星の生命エネルギー。神羅はこれをエネルギー資源として利用しているが、星の寿命を縮める原因となっている。 |
ソルジャー | 神羅カンパニーの強化兵士。ジェノバ細胞を埋め込まれ、魔晄を浴びることで超人的な身体能力を持つ。 |
セトラ | 星と対話できる能力を持つ古代種族。エアリスがその末裔。 |
ジェノバ | 2000年前に宇宙から飛来した厄災。他者に擬態し、ウイルスを植え付ける能力を持つ。 |
フィーラー | リメイクで登場した謎の存在。「運命の番人」と呼ばれ、物語を定められた運命通りに進めようとする。 |
これらの用語の意味を把握しておくだけでも、キャラクターたちの会話や行動の意図が理解しやすくなります。
主人公クラウドの記憶が曖昧
前述の通り、物語開始時点のクラウドは、本来の自分を見失い、偽りの人格を形成しています。
そのため、彼の語る過去や言動には矛盾が多く、プレイヤーは「信頼できない語り手」の視点で物語を追うことになります。
幼馴染のティファが、クラウドとの会話で時折戸惑いの表情を見せるのは、彼の記憶が食い違っていることに気づいているからです。
「クラウドの記憶は本物ではないのかもしれない」という視点を持つと、物語の謎がより一層深まります。
リメイクからの新たな謎「フィーラー」の存在
リメイク版で多くのプレイヤーを混乱させた最大の要因が、黒いローブをまとった謎の存在「フィーラー」です。
彼らは「運命の番人」であり、物語が原作(本来の運命)から外れないように監視し、介入してきます。
この新要素により、FF7リメイクは単なるリメイクではなく、「運命との戦い」という新たなテーマを持つ物語へと変化しました。
なぜフィーラーが存在するのか、誰が何のために運命を守ろうとしているのかは、今作では明かされません。
この大きな謎が、続編への最大の引きとなっています。
FF7のストーリーが意味不明といわれる理由
FF7の物語が、時に「意味不明」「難解」と評されるのは、その複雑な構造に起因します。
単に世界を救う英雄譚ではなく、幾重にも重なったテーマと謎がプレイヤーに深い考察を促すのです。
主人公のアイデンティティという核心
物語の最大の謎は、主人公クラウド自身の存在です。
彼が「自分を元ソルジャー・クラス1stだと思い込んでいる精神異常者」であるという事実は、物語の根幹を揺るがす衝撃的な展開です。
プレイヤーは、ゲーム開始からクラウドに感情移入して物語を進めるため、その前提が覆された時に大きな混乱を覚えます。
しかし、この「本当の自分探し」こそが、FF7という物語の核心的なテーマなのです。
偽りの自分から脱却し、弱さも過ちも受け入れた上で、真の英雄へと成長していくクラウドの姿が、この物語の最大のカタルシスを生み出します。
ジェノバ細胞というSF的要素
物語を複雑にしているもう一つの要因が、「ジェノバ細胞」の特殊な設定です。
ジェノバ細胞には、以下のような能力があります。
- 擬態能力:他者の記憶を読み取り、その姿や言動を模倣する。
- リユニオン:バラバラになった細胞が、本体を目指して再び集まろうとする本能。
クラウドの人格は、ティファの記憶の中にあった「クラウド」と、彼が憧れたソルジャー「ザックス」の姿を、ジェノバ細胞が擬態して作り上げたものです。
また、各地に現れる黒マントの男たちは、ジェノバ細胞を埋め込まれ、リユニオンの本能によってセフィロス(ジェノバ本体)の元へ向かっているのです。
こうしたSF的な設定が、物語に独特の深みと難解さを与えています。
星命学という哲学的なテーマ
FF7の世界には、「ライフストリーム」という星の精神エネルギーの流れが存在します。
全ての生命はライフストリームから生まれ、死ぬとまたそこへ還っていくという「星命学」の思想が物語の根底にあります。
これは単なるファンタジーの設定に留まらず、「生命の循環」「記憶の継承」「個と全体」といった哲学的な問いを投げかけます。
セフィロスは、星に巨大な傷をつけて溢れ出たライフストリームと融合し、神になることを目論んでいます。
彼の野望は、この星の理そのものを支配しようとする壮大な計画なのです。
FF7リメイクのストーリー改変をわかりやすく解説

原作とのストーリーの違いを比較
FF7リメイクは、原作のストーリーを忠実になぞりながらも、多くの点で大胆な変更や追加がなされています。
これは単なるリマスターではなく、現代の解釈で物語を「再創造(リメイク)」する、という開発陣の強い意志の表れです。
項目 | 原作(1997年) | FF7リメイク(2020年) |
---|---|---|
物語の範囲 | ミッドガル脱出まで約5~8時間 | ミッドガル脱出までで1本の作品(約30~40時間) |
キャラクター描写 | 主要キャラ中心。サブキャラの出番は限定的。 | ジェシー、ビッグス、ウェッジなどサブキャラの背景が深く描かれ、魅力が増した。 |
新規キャラクター | なし | ソルジャーのローチェ、謎の存在フィーラーなど、多数の新キャラクターが登場。 |
ストーリー展開 | アバランチが魔晄炉を爆破。 | 神羅が裏で爆破の被害を拡大させており、アバランチがテロリストとして利用される側面が描かれる。 |
セフィロスの登場 | 序盤は名前や回想での登場が主。 | 序盤から幻影としてクラウドの前に何度も姿を現し、物語に深く関与する。 |
エンディング | ミッドガルハイウェイでボスを倒し脱出。 | 「運命の番人フィーラー」と戦い、原作とは異なる未知の未来へ進むことを示唆して終わる。 |
このように、物語の大筋は同じでも、キャラクターの掘り下げやエピソードの追加によって、物語の密度と没入感は格段に向上しています。
一方で、原作にはなかった謎や設定が加わったことで、物語の向かう先は全く新しいものへと変化しました。
FF7リメイクでのストーリー改変点
FF7リメイクにおける最も重要かつ衝撃的な改変点は、謎の存在「フィーラー」の登場と、それによってもたらされた「運命」というテーマです。
運命の番人「フィーラー」
フィーラーは、黒い亡霊のような姿をした存在で、作中では「運命の番人」と呼ばれています。
彼らの目的は、この世界の出来事が「定められた運命」、つまり原作FF7のストーリー通りに進むように監視し、逸脱が起きそうになると修正を加えることです。
例えば、原作では死なないはずのキャラクターが危機に陥ると、フィーラーが現れてそのキャラクターを救います。
逆に、原作では起こるはずの悲劇を避けようとすると、それを妨害するように現れます。
この設定により、プレイヤーは「キャラクターたちの行動は、見えない力によって定められた運命の上で演じられているのではないか?」という奇妙な感覚を抱くことになります。
運命との決別
物語のクライマックスで、クラウドたちはこの「運命」そのものに戦いを挑みます。
セフィロスに導かれるようにして「運命の特異点」へと足を踏み入れた一行は、運命の番人であるフィーラーたちと激突します。
この戦いに勝利したことで、彼らは「原作通りの運命」から解き放たれました。
エンディングでエアリスが「待っているのは、自由」と語るように、ここからの物語は誰にも予測できない、全く新しいものになることが示唆されます。
ザックスの生存とマルチバース
運命の改変がもたらした最大の変化は、かつて死んだはずのソルジャー「ザックス・フェア」が生存している世界の存在が示されたことです。
エンディングでは、フィーラーとの戦いの影響か、神羅兵の大群を退けて生き延びたザックスが、クラウドを連れてミッドガルへと向かう姿が描かれます。
これは、FF7リメイクの世界が単一の物語ではなく、複数の可能性が並行して存在する「マルチバース(多元世界)」であることを強く示唆しています。
クラウドたちが歩む世界と、ザックスが生きる世界。
これらの世界が今後どのように交錯していくのかが、続編の大きな謎となっています。
FF7リバースのストーリーを解説
『FF7リバース』は、リメイクプロジェクトの第2作目にあたります。
ミッドガルを脱出したクラウドたちが、セフィロスを追って広大な世界へと旅立ち、原作のディスク1のクライマックスである「忘らるる都」に至るまでの物語が描かれます。
マルチバースの本格化
リバースでは、リメイクで示唆されたマルチバースの概念がより明確に描かれます。
物語は主にクラウドたちの旅を追いますが、随所にザックスが生きる世界の様子が挿入されます。
ザックスは、意識不明のクラウドと、なぜか未来を知っているかのようなエアリスを助けるために奔走します。
異なる世界線でありながら、クラウドとザックス、そしてエアリスの運命は、ライフストリームを通じて複雑に絡み合っていきます。
プレイヤーは、2つの世界線で何が起きているのかを考察しながら、物語の真相に迫っていくことになります。
旅の目的地「忘らるる都」
クラウドたちの旅は、カームの街での回想から始まり、ジュノン、コスタ・デル・ソル、ゴールドソーサー、コスモキャニオン、ニブルヘイムといった、原作でもおなじみのロケーションを巡ります。
それぞれの場所で新たな仲間との出会いや、キャラクターたちの過去を掘り下げげるエピソードが展開されます。
そして、旅の最終目的地となるのが、古代種セトラの故郷「忘らるる都」です。
エアリスの運命の行方
原作において、「忘らるる都」はエアリスがセフィロスの凶刃に倒れるという、ゲーム史上最も衝撃的な悲劇の舞台でした。
リメイクプロジェクトが「運命からの分岐」をテーマにしている以上、このエアリスの運命がどう描かれるのかが、リバース最大の注目点でした。
結論として、リバースでもエアリスは命を落とすという運命を覆すことはできませんでした。
しかし、その描写は非常に曖昧で、クラウドの視点では、あたかも彼女を救えたかのような演出がなされます。
エンディングでは、仲間たちには見えないエアリスの姿がクラウドにだけは見えており、彼は彼女が死んだという事実を認識できていないかのような状態で、物語は幕を閉じます。
この結末は、多くのプレイヤーに新たな謎と考察の余地を残し、最終作への期待を大きく煽るものとなりました。
FF7全体のストーリーを改めて解説
ここまでリメイクプロジェクトの物語を追ってきましたが、最後にFF7という物語全体の核心について改めて解説します。
FF7の物語は、セフィロスという強大な敵を倒し、星をメテオの脅威から救うという壮大な冒険活劇が表の顔です。
しかし、その裏で一貫して描かれているのは、主人公クラウド・ストライフの「自分とは何者か」というアイデンティティを探求する、極めて個人的な物語です。
偽りの自分からの出発
物語の序盤、クラウドはクールで強く、何でもこなせる「元ソルジャー・クラス1st」という偽りの自分を演じています。
これは、彼の心の弱さや、親友ザックスへの憧れ、そしてジェノバ細胞の影響が生み出した、脆い虚像に過ぎません。
精神崩壊と再生
物語が中盤に進むと、セフィロスによって自身の記憶が偽りであったことを突きつけられ、クラウドの精神は完全に崩壊します。
彼は自分が何者なのかわからなくなり、廃人同様の状態になってしまいます。
しかし、幼馴染であるティファが彼の精神世界に入り込み、共に過去の記憶を辿ることで、クラウドは本当の自分を思い出します。
ソルジャーになれなかった弱い自分、ティファを守りたかった本当の気持ち、そしてザックスから受け継いだ想い。
そのすべてを受け入れた時、彼は偽りの英雄ではなく、本当の意味で星を救う力を持った一人の人間として再生を遂げるのです。
リメイクプロジェクトが描くもの
FF7リメイクプロジェクトも、この「クラウドの成長物語」という大筋は変わらないでしょう。
しかし、そこに「運命の改変」や「マルチバース」といった新たな要素が加わったことで、彼が自分を取り戻すまでの道のりや、その先にある結末は、原作とは異なるものになる可能性が生まれました。
未知の運命に抗いながら、クラウドがどのように本当の自分を見つけ出し、仲間たちと共に未来を切り拓いていくのか。
それが、この壮大なリメイクプロジェクトが描こうとしている、新たなFF7の物語なのです。
まとめ:FF7リメイクのストーリーをわかりやすく理解するために
- FF7リメイクは巨大都市ミッドガル脱出までを描いた物語である
- 主人公クラウドは序盤、親友ザックスの記憶を元にした偽りの人格を持っている
- ストーリーが難解なのは過去作の複雑な設定やリメイク版の新要素が絡むためである
- 「フィーラー」は物語を原作通りに進めようとする「運命の番人」である
- リメイク版は単なる焼き直しではなく、ストーリーが大きく改変された再創造作品である
- 原作で死んだはずのザックスが生存する並行世界(マルチバース)が存在する
- 続編リバースではミッドガル脱出後から「忘らるる都」までの旅が描かれる
- リバースの結末でエアリスの運命は覆らないが、その描写は曖昧で謎を残す
- クラウドの不安定な精神状態と記憶の謎が物語を理解する上での重要な鍵となる
- FF7全体の物語の核心は、クラウドが本当の自分を見つけ出す自己発見の旅である
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