ファイナルファンタジーシリーズの中でも、特に絶大な人気を誇る『FF7』と『FF10』。
スタイリッシュなサイバーパンクの世界と、切ない純愛を描く東洋的ファンタジーの世界。
一見すると全く接点のないように思えるこの二つの物語に、実は深い繋がりがあるという説を聞いたことはありますか。
その鍵を握るのが、『FF10-2』に登場する「シンラ君」という一人の少年です。
そして、『FF7』は『FF10』の遥か未来、およそ2000年後の世界を描いた物語であるというのです。
この話は、長年ファンの間で語り継がれてきた有名な都市伝説の一つでした。
しかし、これは単なる噂話なのでしょうか、それとも公式に認められた設定なのでしょうか。
近年発売された『FF7リメイク』シリーズでは、この繋がりを裏付けるかのような新たな描写も登場し、考察はさらに熱を帯びています。
この記事では、開発者のインタビューや公式設定資料集の情報を丹念に紐解きながら、「FF7とFF10の繋がり」について、その根拠から最新の考察まで、誰にでも分かりやすく徹底的に解説していきます。
FF7とFF10の繋がりは本当?公式設定から見る根拠
全ての始まり?FF10の天才少年シンラくんとは
『FF7』と『FF10』、二つの壮大な物語を結びつける上で、最も重要な鍵を握る人物がいます。
それが、『FF10』の続編である『FF10-2』に登場した、アルベド族の天才少年「シンラ君」です。
彼の存在なくして、この繋がりを語ることはできません。
シンラ君は、主人公ユウナが所属するスフィアハンター集団「カモメ団」の頭脳とも言える存在です。
まだ子供でありながら、古代機械(マキナ)やスフィアの解析において右に出る者はなく、作中でユウナたちが使用する「ドレスフィア」や、遠隔地の仲間と会話できる「通信スフィア」といった画期的なシステムを次々と開発しました。
その天才的な頭脳は、カモメ団の活動に不可欠なものでした。
普段は「僕まだ子供だし」が口癖で、少し生意気な一面も見せますが、その探求心と技術力は本物です。
彼の最も注目すべき点は、その名前が『FF7』の世界を牛耳る巨大複合企業「神羅(しんら)カンパニー」と全く同じ響きであること、そして物語の終盤で、生命の根源ともいえる「異界」に満ちる膨大なエネルギーに関心を示したことです。
このエネルギーへの興味が、後に『FF7』の世界で「魔晄エネルギー」と呼ばれる力の発見へと繋がっていく、壮大な物語の序章となるのです。
FF7の神羅カンパニーとシンラ君の関係
それでは、名前が同じというだけで、本当に神羅カンパニーとシンラ君に関係があるのでしょうか。
結論から言うと、両者には直接的な繋がりがあり、それは開発スタッフによって語られた公式の(裏)設定です。
この衝撃的な事実は、『FF10-2』の公式設定資料集「ファイナルファンタジーX-2 アルティマニア」に掲載された、シナリオライターの野島一成氏へのインタビューで明らかにされました。
インタビューによれば、野島氏の構想の中では次のような物語が描かれています。
カモメ団を離れたシンラ君は、アルベド族の商人リンからの莫大な資金援助を受け、かねてより興味を抱いていた「異界のエネルギー」の研究を本格化させます。
しかし、そのエネルギーを利用するためのシステムはあまりにも壮大で、彼一代で完成させることはできませんでした。
彼の研究と思いは子孫に受け継がれ、遠い未来、宇宙を渡る技術を手に入れたシンラ君の子孫たちが、別の惑星(FF7の舞台となる星「ガイア」)へと旅立ちます。
そして、その星でついにエネルギー利用システムを完成させ、設立したのが「神羅カンパニー」である、とされています。
つまり、『FF7』に登場するプレジデント神羅や、その息子であるルーファウス神羅は、シンラ君の遠い末裔にあたるのです。
ただし、これはあくまでシナリオライターの頭の中にあった構想として語られたものであり、ゲーム本編で明確に描かれているわけではないため、「公式設定」というよりは「公式の裏設定」と捉えるのが一般的です。
それでも、この設定があるからこそ、全く異なる二つの世界が一本の線で結ばれるという、壮大なクロスオーバーが成立するのです。
FF7はFF10の2000年後の世界だった?
シンラ君の子孫が神羅カンパニーを設立したという設定は、二つの世界の時間的な関係性も示唆しています。
前述のインタビューで野島氏は「(FF10-2から)1000年ぐらいたってのことなんでしょうけど」と語っており、他の資料なども含めて、『FF7』は『FF10』の約1000年から2000年後の未来を描いた物語である、と解釈されています。
2000年という時間は、我々の現実世界で言えば、現代からローマ帝国時代にまで遡るほどの悠久の時です。
この長大な時間経過は、両作品の文明レベルの違いを説明する一つの根拠となります。
しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。
未来の物語だとしても、両作品の世界地図は全く異なります。
これは、二つの物語が同じ惑星を舞台にしているわけではないからです。
設定では、シンラ君の子孫たちは宇宙船に乗り、故郷の星「スピラ」を離れ、新たな星「ガイア」へと移住しました。
この「惑星間移住」という設定が、世界観の根本的な違いを解消しています。
ライフストリームと幻光虫の繋がり
そして、この時間と空間を超えた繋がりを、より強固に裏付けているのが「生命エネルギー」の概念です。
『FF7』の世界には、星の精神エネルギーの奔流である「ライフストリーム」が存在します。
一方、『FF10』には、死者の魂が霧散したエネルギー体「幻光虫」が登場します。
一見すると別物に見えますが、『FF10 アルティマニアオメガ』のインタビューで、野島氏はこれらを「僕の中では、幻光虫は『VII』のライフストリームだったりするんですよ」と明言しています。
どちらの世界でも、生命が死ぬと魂は星のエネルギーへと還り、やがて新たな生命として生まれ変わる。
この輪廻転生にも似た共通の死生観が、二つの物語の根底には流れているのです。
惑星は違えど、宇宙の根本的な法則は同じなのかもしれません。
人気作FF7とFF10、ファンはどっち派が多い?
『FF7』と『FF10』は、共にファイナルファンタジーシリーズの歴史に燦然と輝く金字塔であり、どちらが最高傑作かでファンの間で熱い議論が交わされるほどの人気を二分しています。
両作品は、それぞれに全く異なる魅力を持っているため、どちらを好むかはプレイヤーの感性によるところが大きいです。
ここでは、両作品の魅力を比較してみましょう。
項目 | ファイナルファンタジーVII | ファイナルファンタジーX |
世界観 | 巨大企業が支配するサイバーパンクな世界観と、星の命運をかけた重厚なテーマ | 沖縄や東南アジアの文化を感じさせる幻想的な世界と、切ない純愛の物語 |
ストーリー | 謎が謎を呼ぶ複雑なプロットと、衝撃的な展開の連続。星と生命の壮大な叙事詩。 | 「シン」を倒すための巡礼の旅を通して描かれる、究極の自己犠牲と感動のラブストーリー。 |
主人公 | 元ソルジャーを名乗るクールでミステリアスな青年「クラウド」 | 明るく前向きで、異世界に迷い込んだ快活な青年「ティーダ」 |
ヒロイン | 幼馴染で格闘家の「ティファ」と、古代種の末裔である神秘的な「エアリス」 | 大召喚士の娘として宿命を背負う、健気で芯の強い少女「ユウナ」 |
戦闘システム | ATB(アクティブタイムバトル)と、魔法やアビリティを自由に付け替えられる「マテリアシステム」 | 順番が視覚化された戦略的な「CTB(カウントタイムバトル)」と、自由なキャラクター育成が可能な「スフィア盤」 |
人気の理由 | 奥深い設定と伏線、魅力的なキャラクターたちの織りなす人間ドラマ、当時の最先端CG技術。 | 「泣けるゲーム」の代名詞となった感動的なシナリオ、美しいグラフィックと音楽。 |
このように、クールで複雑なSFファンタジーが好きなら『FF7』、王道の感動的な物語に浸りたいなら『FF10』というように、好みが分かれる傾向にあります。
しかし、どちらか一方しかプレイしていないという方は、ぜひもう一方の作品にも触れてみることをお勧めします。
今回ご紹介した「繋がり」を知った上でプレイすれば、キャラクターや世界観の新たな一面を発見し、物語を何倍も深く楽しむことができるはずです。
FF7とFF10の繋がりから見るリメイクと今後の展開
FF7リメイクで再び示唆されたシンラ君の存在
長年の間、一部の熱心なファンや設定資料集を読み込んだ人々の間で語られてきた「FF7とFF10の繋がり」。
この裏設定が、2020年に発売された『FF7リメイク』によって、再び大きな脚光を浴びることになりました。
ゲーム内に、この繋がりを公式に認めるかのような、極めて重要な描写が加えられたからです。
その描写とは、ミッドガルにある神羅ビルの62階、プレジデント神羅の資料フロアに展示されている一枚の写真です。
神羅カンパニーの前身である「神羅製作所」時代のものとされるその写真には、創設期メンバーと思わしき人物たちが写っています。
その中央に、ひとき葉目を引く少年がいます。
ゴーグルを頭にかけ、特徴的な服装をしたその姿は、『FF10-2』に登場したシンラ君に驚くほどよく似ているのです。
この一枚の写真は、ファンの間で瞬く間に話題となりました。
これは単なる開発者のお遊び、いわゆるファンサービスなのでしょうか。
それとも、これまで裏設定だった繋がりを、リメイクシリーズの正史として組み込むという、明確な意思表示なのでしょうか。
『FF7リメイク』三部作が、オリジナル版の物語をただなぞるのではなく、新たな解釈や謎を加えて再構築する作品であることを考えると、後者の可能性は十分に考えられます。
この写真の存在により、「シンラ君の子孫が神羅を創った」という説は、単なる構想から、物語の根幹に関わる公式設定へと昇華されたのかもしれません。
今後のリメイクシリーズで、この謎がさらに掘り下げられるのか、注目が集まります。
エアリスとユウナの「異界送り」という共通点
『FF7リメイク』の続編である『FF7リバース』では、さらに両作品の繋がりを強く感じさせる印象的なシーンが登場しました。
それは、ヒロインの一人であるエアリスが見せた、ある儀式的な行動です。
物語の序盤、アンダージュノンで発生したプレート落下事故の犠牲者たちを前に、エアリスは静かに祈りを捧げます。
すると、彷徨っていた犠牲者たちの魂は光の粒子へと変わり、安らかに天へと昇っていきました。
この一連の動作、特に優雅な舞を思わせるその所作は、『FF10』のヒロインであるユウナが、死者の魂を鎮めるために行う儀式「異界送り」と非常によく似ています。
「異界送り」は、スピラにおいて死者が魔物と化すのを防ぎ、その魂を幻光虫としてあるべき場所「異界」へと導くための、召喚士の最も重要な務めです。
エアリスが見せた行動もまた、ライフストリームに還れない魂を正しく導くという、同様の目的を持っていたと考えられます。
古代種と召喚士の役割
この類似は、両作品の根底にある「ライフストリーム=幻光虫」という設定を、より具体的に映像として表現したものと言えるでしょう。
さらに言えば、『FF7』の古代種(セトラ)と『FF10』の召喚士は、どちらも星の生命エネルギーと交感し、その意思を代弁する特別な存在です。
星の理(ことわり)を理解し、魂を導くという役割において、エアリスとユウナは時空を超えた同じ宿命を背負っているのかもしれません。
この共通点は、二つの世界が同じ法則の上で成り立っていることの力強い証左となっています。
構想は存在?幻の続編FF10-3の可能性
『FF7』と『FF10』の繋がりが再び注目される中、多くのファンが気になっているのが、幻の続編『FF10-3』の存在ではないでしょうか。
結論から言うと、『FF10-3』の製作は現在までに正式発表されていません。
しかし、その物語の構想自体は存在することが、複数の開発スタッフの口から語られています。
『FF10-3』への布石とされる作品が、実はすでに二つ世に出ています。
一つは2013年に発売された小説『ファイナルファンタジーX-2.5 ~永遠の代償~』、もう一つは同年に発売された『FFX/X-2 HDリマスター』に収録されたボイスドラマ『ファイナルファンタジーX -will-』です。
これらは、シナリオライターの野島一成氏が執筆した『FF10-3』のプロットを基に制作されたものであり、その内容はファンの間で大きな物議を醸しました。
開発者インタビューによれば、スクウェア・エニックス社内でも一時期『FF10-3』を制作しようという機運が高まったことがあったようです。
キャラクターデザイン担当の野村哲也氏は「もしも『X-3』があるならこんな感じという、野島さんが書いたあらすじがいちおうありますよ」と構想の存在を認めています。
ただし、ディレクターの鳥山求氏が「まずは我々が『VIIリメイク』の制作を終わらせないと」と語っているように、現在は巨大プロジェクトである『FF7リメイク』三部作の完成が最優先となっています。
そのため、『FF10-3』が実現するとしても、それはまだ当分先の話になるでしょう。
とはいえ、構想が存在する限り、可能性はゼロではありません。
いつか再び、ティーダやユウナの新たな物語が描かれる日を、多くのファンが待ち望んでいます。
なぜ続編小説「永遠の代償」はひどいと言われるのか
前述の通り、『FF10-3』の構想を基に作られた小説『FF10-2.5 ~永遠の代償~』ですが、ファンの間ではその評価が大きく分かれており、一部からは「ひどい」「蛇足だ」といった厳しい声が上がっています。
その最大の理由は、『FF10-2』のトゥルーエンディングで、多くの困難を乗り越えてようやく結ばれたティーダとユウナのハッピーエンドを、根底から覆すような衝撃的な展開が描かれているからです。
※以下、小説の重大なネタバレを含みます。
物語では、復活したティーダとユウナの間に些細なすれ違いが生じ、二人の関係はどこかぎこちないものになってしまいます。
そして、物語のクライマックスで、ティーダはユウナの目の前で不慮の事故(爆弾を踏む)により、再び肉体を失い、完全に消滅してしまうのです。
あまりにも唐突で、ヒーローらしからぬあっけない最期は、多くの読者に衝撃を与えました。
ファンが長年夢見てきた幸せな後日談とは、あまりにもかけ離れた展開でした。
ティーダとユウナが築き上げてきた絆やキャラクター性を否定するかのような描写に、「キャラクターが崩壊している」と感じたファンも少なくありません。
『FF10』と『FF10-2』が紡いできた感動の物語の結末として、この内容は到底受け入れがたい、というのが厳しい評価の主な原因です。
もちろん、これは『FF10-3』というさらなる物語への布石であり、意図的にファンを突き放すことで、次なるカタルシスを生み出そうとしたのかもしれません。
しかし、結果としてこの小説とボイスドラマの評判が、『FF10-3』の企画をより慎重にさせている一因となっている可能性は否定できないでしょう。
まとめ:FF7とFF10の繋がりを理解して物語を100倍楽しもう
- FF7とFF10の繋がりは開発者の発言に基づく裏設定である
- FF10-2のシンラ君が後の神羅カンパニーの始祖とされる
- 時間軸ではFF7はFF10の約1000~2000年後の物語である
- 舞台は別の惑星であり、シンラ君の子孫が移住した設定だ
- 生命エネルギーの概念「ライフストリーム」と「幻光虫」は本質的に同じもの
- FF7リメイクでシンラ君らしき写真が登場し、繋がりが公式に示唆された
- リバースでのエアリスの儀式はFF10の「異界送り」を彷彿とさせる
- FF10-3の構想は存在するが、実現はFF7リメイクプロジェクトの後になる
- 続編小説『永遠の代償』は衝撃的な内容でファンの間で賛否両論である
- この繋がりを知ることで両作品をより深く考察し楽しめる
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