ファイナルファンタジーVII(FF7)の主人公、クラウド・ストライフ。
彼の「元ソルジャー・クラス1st」という肩書きやクールな言動に、多くのプレイヤーが魅了されました。
しかし、物語を進めるうちに彼の記憶に矛盾が生じ、その正体は大きな謎に包まれていきます。
なぜ彼は一般兵でありながらソルジャー級の強さを持つのか、なぜ親友ザックスの記憶を失ってしまったのか、そして物語の果てにクラウドとティファの関係はどうなったのか。
この記事では、FF7リメイクや関連作品の情報を交えながら、クラウドの正体と彼にまつわる謎を徹底的に解説します。
物語の核心に触れるネタバレを含みますので、ご注意ください。
FF7のクラウドの正体とは?偽りの記憶の謎に迫る
「大丈夫、同期のクラウドだよ」が示す記憶の矛盾
この「大丈夫、同期のクラウドだよ」というセリフは、クラウドが自身の経歴を偽っている、あるいは無意識に誤認していることを示す、非常に重要な伏線です。
このセリフが登場するのは、エアリスを救出するために神羅ビルに潜入した場面です。
見回りの神羅兵に遭遇した際、相手はクラウドを見て安堵の表情を浮かべ、このように発言します。
本来、神羅カンパニーにおける「ソルジャー」は、特殊な施術を受けたエリート部隊であり、一般兵とは全く異なる階級です。
そのため、元クラス1stを自称するクラウドと一般兵が「同期」であることはあり得ません。
この矛盾したセリフは、クラウドの本当の身分が、彼が軽んじていた「神羅の一般兵」であったことを強く示唆しています。
FF7リメイクでは、このシーンがより詳細に描かれており、クラウドが動揺して顔をしかめ、ティファやバレットからの問いかけにも「問題ない」とはぐらかす様子が確認できます。
この時点で、プレイヤーは「クラウドの語る過去には、何か隠された真実があるのではないか?」という大きな疑問を抱くことになります。
クラウド本人は、ソルジャーになる夢が叶わなかったことを深く恥じており、故郷に帰った際も母親以外には正体を隠していました。
そのため、一般兵時代の同僚との再会は、彼の偽りの人格を揺るがす非常に気まずい出来事だったのです。
クラウドはなぜ親友ザックスを忘れることになった?
クラウドが親友ザックスの存在を忘れてしまった直接的な原因は、ニブルヘイム事件後に受けた宝条博士による非人道的な人体実験と、それに伴う深刻な「魔晄中毒」です。
この実験により彼の精神は崩壊し、宇宙生物「ジェノバ」の細胞の影響で記憶が混濁・改ざんされてしまいました。
クラウドにはソルジャーに必要な魔晄への適性がなく、高濃度の魔晄を浴びせられる実験に精神が耐えきれず、意識が混濁し廃人同様の状態に陥ります。
その後、同じく被験者であったザックスに助け出され、ミッドガル近郊まで共に逃亡しますが、そこでザックスはクラウドを庇い、神羅兵の銃弾に倒れてしまいます。
目の前で親友を失った強烈なトラウマ、精神崩壊、そしてジェノバ細胞が持つ「相手の記憶を読み取り擬態する」という特性。
これらの要因が複雑に絡み合い、クラウドの心は自己防衛のために新しい記憶を構築しました。
それは、彼が憧れていた「ソルジャー・クラス1st」という理想の自分と、親友ザックスの明るい振る舞いや記憶が都合よく混ざり合ったものでした。
結果として、「クールで強い元ソルジャーのクラウド」という偽りの人格が誕生したのです。
物語序盤でクラウドが無意識にザックスの剣の構えや仕草を真似ていたことや、ヒロインの一人であるエアリスがクラウドに元恋人であったザックスの面影を重ねていたのは、この記憶の混濁が理由です。
彼の象徴である大剣「バスターソード」も、元はザックスの形見の品でした。
クラウドを苦しめた重度の魔晄中毒とは
魔晄中毒とは、星の生命エネルギーである「ライフストリーム」そのものである高濃度の魔晄を、適性のない人間が過剰に浴びることで精神に異常をきたしてしまう状態を指します。
クラウドは物語の中で、二度にわたってこの深刻な症状に苦しめられることになります。
一度目は、前述の通りニブルヘイム事件の後、神羅屋敷の地下で宝条博士の「セフィロス・コピー計画」の実験体とされた時です。
約5年間もの間、魔晄漬けにされた結果、彼の精神は崩壊し、記憶は混濁。
これが、ザックスの記憶を取り込み、偽りの人格を形成する直接的な原因となりました。
二度目は、物語の終盤、北の大空洞でメテオを巡る戦いの最中にライフストリームの奔流に落下してしまった時です。
この出来事により、クラウドは再び重度の魔晄中毒に陥り、完全に自我を失った「廃人」状態となってしまいます。
その後、辺境の村ミディールでティファに発見され、献身的な介護を受けることになりますが、この出来事が皮肉にも彼の再生のきっかけとなりました。
アルテマウェポンの襲撃でティファと共に再びライフストリームに落下した際、彼女の助けを借りて自身の深層心理、精神世界へと潜ります。
そこで封印されていた本当の記憶と向き合い、ついに本来の自分を取り戻すことに成功するのです。
このように、魔晄中毒はクラウドに計り知れない苦しみを与えた元凶であると同時に、彼が自分自身を取り戻すための重要な転機ともなった、非常に重要な要素と言えるでしょう。
記憶を取り戻したクラウドの性格が変わった理由
物語の終盤でクラウドの性格が大きく変わったのは、偽りの人格から解放され、本来の「内向的で不器用、しかし根は優しく責任感の強い青年」という自分を取り戻したからです。
ゲーム序盤で見せたクールでニヒルな態度は、ジェノバ細胞によって作られた「理想のソルジャー」を無意識に演じるための、いわば仮初めの姿でした。
親友ザックスのような明るく社交的な振る舞いや、英雄セフィロスのような冷徹さを模倣していたに過ぎなかったのです。
本来の自分を取り戻した後のクラウドは、その言動に顕著な変化が見られます。
例えば、彼の代名詞でもあった「興味ないね」という口癖は影を潜め、最終決戦を前に仲間たちへ「よし、行こうよ、みんな」と呼びかけるなど、どこか少年のような純粋さを感じさせる言動に変わりました。
この変化に、仲間のシドが「『行くぜ!』ぐらい言えないのかよ」と呆れながらも温かくツッコミを入れるシーンは、クラウドの変化を象徴する名場面です。
さらに、序盤に見られた報酬にこだわる守銭奴的な態度もなくなりました。
また、ソルジャーを演じている間は忘れていた「乗り物酔いしやすい」という人間らしい弱さが戻ってくるなど、虚勢を張る必要がなくなり、ありのままの自分を受け入れられた証拠と言えます。
この変化は、彼が多くの困難を乗り越え、精神的に大きく成長したことを示しています。
FF7のクラウドの正体にまつわるQ&A
クラウドは一般兵なのになぜ強いのか?
クラウドが神羅の一般兵に過ぎなかったにもかかわらず、ソルジャー級、あるいはそれ以上の戦闘能力を発揮できる理由は、宝条博士による人体実験「セフィロス・コピー計画」の被験者となった結果、後天的に強靭な肉体を手に入れたからです。
この実験のプロセスは、被験者に宇宙生物ジェノバの細胞を埋め込み、高濃度の魔晄(ライフストリーム)を照射するというもので、実はソルジャーを生み出すための施術と全く同じ工程でした。
クラウドは精神的な面で魔晄への適性がなかったため、正式なソルジャーにはなれませんでした。
しかし、この実験によって彼の肉体はソルジャーと完全に同等の状態にまで強化されたのです。
もともと、クラウドには高い潜在能力があったことも事実です。
16歳のニブルヘイム事件の際には、まだ一般兵であったにもかかわらず、英雄セフィロスに対して(不意打ちであったとはいえ)致命傷に近い深手を負わせています。
崖から落ちても軽傷で済むなど、身体的な頑健さも持ち合わせていました。
つまり、クラウドの並外れた強さは、「元々持っていた高い身体能力の素養」と「人体実験によるソルジャーと同等の肉体強化」という二つの要素が合わさった結果と言えるでしょう。
精神的な弱さという代償を払いながらも、彼は憧れていたソルジャーと遜色のない力を手に入れたのです。
結局ザックスとクラウドはどっちが強い?
ザックスとクラウド、どちらが強いかという問いは、ファンの間で長年議論されるテーマですが、一概に結論を出すのは非常に困難です。
なぜなら、両者の強さの質や、どの時点での実力を比較するかによって評価が大きく変わるからです。
ひとつの見方として、純粋な実力や兵士としての完成度で言えば、ソルジャー・クラス1stであるザックスに軍配が上がると考えられます。
一方で、ジェノバ細胞による爆発的な潜在能力という点では、クラウドが上回る可能性を秘めています。
比較項目 | ザックス・フェア | クラウド・ストライフ |
---|---|---|
役職 | ソルジャー・クラス1st | 元神羅一般兵(後にセフィロス・コピー) |
経験 | 豊富な実戦経験を持つエリート | 実戦経験は少ないが、死線を何度も乗り越える |
精神力 | 非常に強く、安定している | 精神的に脆い面があり、不安定 |
身体能力 | ソルジャーとしての高い能力 | 人体実験によりソルジャーと同等以上の能力 |
潜在能力 | 高い | ジェノバ細胞により未知数、爆発力が高い |
結論 | 安定した実力者 | ピーキーだがポテンシャルは計り知れない |
ザックスの強さ:安定したエリート兵士
ザックスは神羅カンパニーで正規の訓練を受け、ソルジャー・クラス1stにまで上り詰めたエリートです。
彼の強さは、豊富な実戦経験に裏打ちされており、精神的にも非常に強く安定しています。
どんな逆境でも仲間を鼓舞し、決して諦めないその姿は、まさに英雄と呼ぶにふさわしいものでした。
クラウドの強さ:不安定な潜在能力
対するクラウドの強さは、非常に不安定です。
彼の力は精神状態に大きく左右され、怒りや守りたいという強い意志が引き金となった時に、リミッターが外れたような爆発力を発揮します。
ニブルヘイムでセフィロスを打ち破った時がその最たる例です。
ただし、FF7本編後の続編『アドベントチルドレン』などでは、クラウドは多くの死線を乗り越え、精神的にも大きく成長を遂げています。
この時点では、ザックスに匹敵、あるいはそれ以上の総合的な強さを手に入れたと考えても良いかもしれません。
クラウドに片翼が生えるのはなぜ?セフィロスとの関係
クラウドの背中に黒い片翼が生える描写は、彼が体内に宿す「ジェノバ細胞」を通じて、宿敵セフィロスと深く繋がっていることを象徴的に表現した演出です。
セフィロス自身、ジェノバの細胞を胎児のころに埋め込まれた「ジェノバ・プロジェクト」の最高傑作であり、彼の象徴として漆黒の片翼が描かれます。
クラウドもまた、宝条の実験によって同じジェノバ細胞を埋め込まれた「セフィロス・コピー」の一人です。
そのため、クラウドに片翼が生えるのは、彼がセフィロスに連なる存在であり、その強大な力や精神的な影響下にあることを視覚的に示したものと言えます。
注意点として、原作のFF7本編のゲーム中では、クラウドに翼が生えることはありません。
この印象的な描写は、主に以下の関連作品で見られます。
- キングダム ハーツ シリーズ: 異世界に召喚されたクラウドが、闇の力に染まった姿として黒い片翼を纏って登場します。
- ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン: 復活したセフィロスとの最終決戦で、究極リミット技「超究武神覇斬ver.5」を放つクライマックスシーンで、一瞬だけ翼のようなオーラが出現します。
このように、片翼はクラウドがセフィロスを内包し、その力を超えようとしているメタファーとして描かれています。
ザックスなど他のソルジャーに翼が生えないのは、ジェノバ細胞への耐性の違いや、物語における役割がクラウドやセフィロスとは異なるためと考えられます。
FF7本編後のクラウドとティファ、その後の関係は?
FF7本編での激しい戦いを終えた後、クラウドとティファは家族のように寄り添い、お互いを支え合う非常に親密な関係を築いていきます。
物語の終盤、クラウドが精神世界で本当の自分を取り戻すことができたのは、ティファの存在が不可欠でした。
幼い頃の約束、そして共に過去を乗り越えた経験を経て、二人の間には誰よりも深い絆が生まれています。
この二人の関係は、FF7の2年後を描いた映像作品『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』や、その間の出来事を描いた公式小説『On the Way to a Smile』でより具体的に描写されています。
彼らはミッドガルの跡地に新しくできた都市「エッジ」で、バー兼住居である「セブンスヘブン」を再建。
そこでバレットの養女マリンや、新たに出会った孤児の少年デンゼルと共に、ささやかながらも温かい共同生活を送っています。
『アドベントチルドレン』では、クラウドが過去のエアリスやザックスを守れなかった罪悪感から心を閉ざし、一時的に家族の元を離れてしまう時期がありました。
しかし、ティファの叱咤激励や仲間たちの支えによって再び立ち直り、家族としてもう一度歩み始める様子が感動的に描かれました。
作中で「結婚した」という明確な描写こそありませんが、小説では同衾を匂わせる記述が見られるなど、恋人同士、あるいはそれ以上の「事実上のパートナー」として、生涯を共にするであろう深い関係性を築いていることが示唆されています。
まとめ:FF7クラウドの正体と物語の深層
- クラウドの本当の正体はソルジャーではなく神羅の一般兵である
- 宝条の人体実験により後天的にソルジャー級の強さを手に入れた
- ゲーム序盤のクールな性格は理想の自分を演じる偽りの人格であった
- 親友ザックスの記憶や振る舞いが無意識に混ざり合っていた
- ザックスを忘れたのは魔晄中毒による精神崩壊とジェノバ細胞が原因である
- クラウドの本来の性格は内向的だが心優しく責任感の強い青年である
- 幼馴染ティファとの強い絆が本当の自分を取り戻すための鍵となった
- クラウドの強さは高い潜在能力と不安定な精神状態に大きく左右される
- 片翼の描写は宿敵セフィロスとの繋がりを象徴する演出である
- FF7本編後はティファと家族同然の深いパートナーシップを築いている
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