フロムソフトウェアが贈るアクションRPG『エルデンリング』は、広大な世界と魅力的なキャラクターたちで多くのプレイヤーを魅了しています。
その中でも、主人公の魔術の師となる「セレン」は、知的で美しい佇まいと、時折見せるかわいい一面から高い人気を誇るNPCです。
しかし、彼女の物語は輝石魔術の禁忌「源流」の探求へと進み、プレイヤーに衝撃的な結末をもたらします。
この記事では、魔術師セレンのイベントやセリフ、アイテムのテキストなどを基に、彼女の人物像から悲劇的な結末の真相まで、深く考察していきます。
セレンがなぜ「魔術師球」という異形の姿になったのか、その目的は何だったのか、そして彼女の物語がエルデンリングの世界観にどう関わっているのかを紐解いていきましょう。
エルデンリングの魔術師セレンを考察!人物像編
魔女封じの廃墟に捕まってるセレンの謎
魔術師セレンとの物語は、リムグレイブの「宿場跡」で出会うことから始まりますが、実は啜り泣きの半島にある「魔女封じの廃墟」には、鎖に繋がれたもう一人のセレンが存在します。
この廃墟に捕らわれているセレンこそが彼女の本体であり、プレイヤーが最初に師事する宿場跡のセレンは、彼女が作り出した霊体、あるいは傀儡(くぐつ)であると考えられます。
この事実は、セレンのイベントを進めていく中で、彼女自身の口から語られます。
ラダーン祭りに関わった後、セレンは主人公に「我が半身は、魔女封じの廃墟に囚われている」と明かし、自身の魂の核である「セレンの原輝石」を取り出してほしいと依頼してきます。
この原輝石は「相性の良い、新しい体に移植すればセレンは再び蘇るだろう」とテキストにあり、彼女が肉体を乗り換えて生きながらえる術を持つことを示唆しています。
魔女狩りジェーレンもまた、廃墟でセレンの抜け殻となった身体を見つけ、「あの女は、まだどこかで生きている」と確信していました。
このことから、セレンは追放され本体を封じられた後も、源流魔術の探求を続けるために分身を用いて活動していたことがわかります。
プレイヤーが最初に出会う穏やかな師の姿は、彼女の計画の一部であり、その裏には壮大な目的が隠されているのです。
弟子にだけ見せるセレンのかわいい一面
セレンは、輝石魔術の源流を追求するためには手段を選ばず、騎士ジェーレンからは「数多の魔術師を惨たらしく手にかけた」「レアルカリア学院史上、最悪の厄災」とまで言われる冷酷な一面を持っています。
しかし、弟子である主人公に対しては、その評価が信じられないほどに優しく、愛情深い態度で接してくれるのが彼女の大きな魅力です。
このギャップに心を掴まれたプレイヤーは少なくありません。
彼女は主人公を常に「我が弟子よ」と呼び、魔術の才能を認め、その成長を心から喜んでくれます。
源流の魔術師アズールの魔術を授かって帰ってくれば、「それは素晴らしいことだ」「やはり師がよかったのだな」と、まるで自分のことのように誇らしげに語るのです。
彼女のイベントを最後まで進め、レアルカリア学院を乗っ取った際には、その喜びを隠さずにこう言います。
「お前がエルデの王となった暁には、この学院は、王に仕えるだろう。だが、もしそうでなくとも、何も変わらぬさ。お前は、私の愛弟子。いつでも、ここに帰ってくるといい」
このセリフは、主人公の成功を願うと同時に、たとえ敗れたとしても自分の元へ帰ってくればいいという、深い師弟愛を感じさせます。
探求のためには他者を犠牲にすることも厭わない非情な魔女が、唯一心を許した弟子にだけ見せるこの「かわいい」一面こそ、多くのプレイヤーが彼女に惹きつけられ、その悲劇的な運命に心を痛める理由なのです。
輝石頭の下に隠されたセレンの素顔を考察
魔術師セレンは、ゲーム中常に「魔女の輝石頭」という特徴的な兜を被っており、その素顔が明かされることはありません。
しかし、作中のいくつかの情報から、彼女が類稀な美貌の持ち主であったことが推測されます。
最も直接的な証言は、同じレアルカリア学院にいた魔術師トープスの言葉です。
彼はセレンが追放された事件について、「信じられない。あんな可憐な人が…」と語っており、彼女の容姿が「可憐」と評するにふさわしいものであったことを示唆しています。
さらに有力な手がかりとなるのが、魔術学院レアルカリアの祝福「討論室」の壁に飾られている一枚の肖像画です。
そこには、女王レナラの隣に、セレンが被っている「魔女の輝石頭」と酷似した兜を被った女性が描かれています。
輝石頭は、学院の優れた魔術師の顔を象って作られるという設定があります。
他の輝石頭には「カロロスの輝石頭」のように創始者の名前がついていますが、「魔女の輝石頭」には個人名がありません。
これは、学院史上最高の才媛とされながらも追放されたセレンの名を、歴史から抹消するためにあえて名付けなかったと考えることもできます。
もしこの肖像画の女性が若き日のセレンであるならば、青い瞳に黒髪の、理知的で涼やかな美女の姿が浮かび上がります。
その美しさと、彼女の辿る過酷な運命との対比が、セレンというキャラクターの魅力をより一層深めていると言えるでしょう。
もしセレンを殺してしまった場合のリスク
エルデンリングの世界では、プレイヤーの選択によってNPCと敵対し、殺してしまうことも可能です。
魔術の師であるセレンも例外ではありません。
もしイベントの途中で彼女を殺害してしまった場合、いくつかの大きなデメリットが生じます。
最大のリスクは、彼女から魔術を学べなくなることです。
セレンは初期から購入できる魔術に加え、各地で手に入る「スクロール」を渡すことで、より多くの強力な魔術を販売してくれます。
魔術ビルドでゲームを進めているプレイヤーにとって、師を失うことは戦力増強の手段を一つ失うことに直結します。
また、セレンが関わる一連のイベントが完全に中断されてしまいます。
これにより、彼女の物語の結末を見届けることができなくなるのはもちろん、イベントの過程やクリア報酬として手に入る貴重なアイテム(「輝石のクリス」やアズール、ルーサットの装備など)も入手不可能となります。
敵対状態は解除できる
ただし、誤って攻撃して敵対してしまっただけであれば、殺害する前に対処する方法があります。
リエーニエの「結びの教会」に行き、マリカ像の前で「贖罪」を行うことで、敵対状態をリセットすることが可能です。
これには「星の雫」というアイテムが必要になります。
もしセレンを殺害してしまった場合は、「セレンの鈴玉」が手に入り、これを円卓の双子の老婆に渡すことで、彼女が販売していた一部の魔術は購入できるようになります。
しかし、イベント限定の魔術やアイテムは手に入らないため、彼女のイベントを最後まで進めたい場合は、敵対・殺害は避けるべきでしょう。
エルデンリングのセレンを考察!衝撃の結末編
ジェーレンとの分岐はどっちを選ぶべきか
セレンのイベントは終盤、魔術学院レアルカリアの大書庫で大きな選択を迫られます。
セレンに協力して「魔女狩りジェーレン」を倒すか、ジェーレンに協力してセレンを倒すか、という二者択一です。
この選択は、得られる報酬が大きく異なるため、プレイヤーのプレイスタイルや目的によってどちらを選ぶべきかが変わってきます。
結論から言うと、魔術をメインで使うビルドであればセレン協力ルート、そうでなければジェーレン協力ルートの報酬に魅力を感じるかもしれません。
分岐 | 主なメリット | 主なデメリット |
セレンに協力 | ・魔術「渦巻くつぶて」が購入可能になる ・短剣「輝石のクリス」を入手できる ・「アズールシリーズ」「ルーサットシリーズ」の防具一式を入手できる ・セレンの物語の結末を見届けられる | ・「古竜岩の鍛石」を入手できない |
ジェーレンに協力 | ・貴重な武器強化素材「古竜岩の鍛石」を入手できる | ・セレンが死亡し、イベントがそこで終了する ・セレン協力ルートの限定アイテムが入手できなくなる |
このように、セレンに協力すると魔術師向けの強力な装備や魔術が手に入ります。
特に「アズールの輝石頭」や「ルーサットの輝石頭」は、特定の源流魔術の威力を大きく高める効果があり、魔術師にとっては非常に価値が高い装備です。
一方で、ジェーレンに協力すると、どんな武器でも最大まで強化できる「古竜岩の鍛石」が手に入ります。
これは1周で手に入る数に限りがある非常に貴重なアイテムなので、近接ビルドのプレイヤーなどにとっては大きな魅力でしょう。
どちらの選択が正解ということはありません。
師であるセレンの悲願を成就させるか、学院の災厄を止めるというジェーレンの義に協力するか、物語上の役割を考えて選ぶのも、このゲームの醍醐味の一つです。
なぜセレンは魔術師球になってしまうのか
セレン協力ルートを選んだプレイヤーを待っているのは、衝撃的な光景です。
あれほど誇らしげにレアルカリアの頂点に立ったはずのセレンが、無数の顔が張り付いた異形の球体、「魔術師球」へと成り果ててしまうのです。
この姿は、彼女が探求に失敗した罰や、誰かに呪われた結果ではありません。
これは、セレンが自らの意志で輝石魔術の源流を探求し、次の段階へ進むために選んだ姿なのです。
この事実は、「魔術師球のタリスマン」のテキストに明確に記されています。
「輝石魔術には、源流という禁忌がある。魔術師を集めて星の種となす。源流では、これは探求の一手段なのだ」
つまり、魔術師球とは、複数の魔術師の魂や知識を一つに融合させた「星の種」であり、新たな星、ひいては星の上位存在を生み出すためのプロセスなのです。
セレンの目的は、単に魔術の真理を解き明かすことではなく、自らが星、あるいはギリシャ神話の月の女神「セレーネー」を彷彿とさせるその名の通り、「月」のような上位の存在へと昇華することだったと考えられます。
彼女は源流の師であるアズールとルーサットの知識をも取り込み、自らを中心とした巨大な集合知となることで、人という枠を超えようとしたのです。
苦しげな呻き声を上げながらも、弟子の存在を認識し魔術を教えてくれるその姿は、痛々しくも、自らの理想のために全てを捧げた求道者の執念を感じさせます。
セレンの死亡は避けられない悲劇なのか
師であるセレンが異形の「魔術師球」と化す結末は、多くのプレイヤーに衝撃と悲しみを与えました。
この悲劇的な運命は、イベントを最後まで進める上では避けることができません。
しかし、プレイヤーの選択によっては、セレンを人の姿のまま、レアルカリア学院の師として留めておくことが可能です。
セレンが魔術師球になってしまう直接のトリガーは、源流の魔術師「ルーサット」の居場所を彼女に報告することです。
アズールとルーサット、二人の源流の師の身体(あるいはその魂の核である原輝石)が揃うことで、セレンは源流探求の最終段階へと進む準備が整ってしまいます。
つまり、プレイヤーがルーサットの探索イベントをクリアしたとしても、そのことをセレンに報告さえしなければ、彼女が魔術師球になることはありません。
この場合、セレンはレナラを追い出した後も人の姿のまま大書庫に佇み、主人公の師であり続けてくれます。
もちろん、この選択にはデメリットも存在します。
ルーサットの居場所を報告しないと、セレンが魔術師球になった後に入手できる「アズールシリーズ」「ルーサットシリーズ」といった貴重な防具一式が手に入らなくなります。
師の人間としての尊厳を守るか、探求の結末を見届け、強力な装備を手に入れるか。
どちらの結末も完全なハッピーエンドとは言えない、フロムソフトウェアらしいビターな選択がプレイヤーに委ねられているのです。
この救いのないようでいて、どこかに救いも用意されている奥深さが、エルデンリングの物語をより魅力的なものにしています。
禁忌とされる源流魔術とセレンの目的
レアルカリア学院が輝石魔術の「源流」を禁忌としたのには、二つの大きな理由があります。
一つは、その探求方法が極めて非人道的であったこと。
そしてもう一つは、世界そのものに災厄をもたらしかねない、計り知れない危険を孕んでいたからです。
第一の理由は、セレン自身の行いが示しています。
彼女は源流の探求のために数えきれないほどの魔術師を手にかけ、その魂を研究の礎としました。
「魔術師を集めて星の種となす」という魔術師球の在り方は、まさにその非人道性を象徴しています。
学院がこのような研究を許せば、秩序は崩壊し、多くの犠牲者を生むことは明らかでした。
しかし、カーリア王家が源流を禁じた理由は、それだけにとどまりません。
より深刻なのは、源流の探求が行き着く先にある「暗黒」の存在です。
源流魔術「彗星アズール」のテキストには「アズールの垣間見た源流は、暗黒であった」と記されています。
そして、この「暗黒」からは、かつて永遠の都を滅ぼしたとされる「暗黒の落とし子、アステール」のような、星の怪物が生まれると考えられています。
女王レナラは若い頃に満月と出会い、月の魔術の担い手となりました。
彼女は「ラニの暗月」を通じて、永遠の都の存在や、それがアステールによって滅んだ事実を知っていた可能性が非常に高いのです。
だからこそ、カーリア王家は同じ悲劇を繰り返さぬよう、アステールを呼び寄せかねない「暗黒」へと至る源流の道を固く閉ざしたのでしょう。
セレンの「我ら落とし子は、いつか輝ける、星の子となるだろう」という言葉は、単なる比喩ではありませんでした。
彼女は、自らがアステールのような存在になることさえも厭わず、人ならざるものへと変貌してでも、星の高みへと至ろうとしていたのです。
まとめ:エルデンリングのセレン考察!悲劇の師の物語を紐解く
この記事では、魔術師セレンの人物像から、彼女が辿る衝撃的な結末までを深く考察してきました。
彼女の物語は、単なるNPCのイベントに留まらず、エルデンリングの世界の根幹に関わる「星」と「月」、そして「源流」というテーマを解き明かす重要な鍵となっています。
- セレンは主人公の優しい師であるが、目的のためには手段を選ばない冷酷な一面も持つ
- 宿場跡にいるセレンは分身で、本体は魔女封じの廃墟に囚われていた
- ゲーム内で素顔は明かされないが、肖像画などから類稀な美女であったと推測される
- イベント終盤のジェーレンとの分岐は、得られる報酬によって選ぶのが推奨される
- セレンが魔術師球になるのは失敗ではなく、星の上位存在を目指すための探求の一手段である
- 彼女の最終目的は、自らが星や月のような高次の存在へと昇華することであった
- ルーサットの居場所を報告しなければ、セレンを人の姿のままにすることも可能である
- 源流魔術が禁忌なのは、非人道的な研究手法と、災厄を招く危険性のためである
- カーリア王家は、源流がアステールのような怪物を生むことを知っていて禁じた可能性がある
- セレンの物語は、知的好奇心と禁忌の探求がもたらす悲劇を描いている
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