1995年にスーパーファミコンで産声を上げたクロックタワー シリーズは、日本のホラーゲーム史において欠かすことのできない金字塔です。
巨大なハサミを持つ殺人鬼「シザーマン」に追われる恐怖は、多くのプレイヤーのトラウマとして今なお語り継がれています。
「シリーズ作品を時系列でプレイしたいけれど、どの順番で遊べばいいのかわからない」「そもそもどんなゲームなのか知りたい」という声は少なくありません。
この記事では、クロックタワー シリーズの全作品を発売順に整理し、各タイトルの特徴やおすすめのプレイ順、さらには2024年に登場した最新リマスター版の情報まで網羅的に解説します。
クロックタワー シリーズとはどんなゲームなのか
クロックタワー シリーズは、閉鎖的な空間を舞台にした「逃走型」のホラーアドベンチャーゲームです。
最大の特徴は、主人公が戦闘能力を一切持たない非力な少女である点にあります。
プレイヤーは画面上のオブジェクトをポイント&クリックで調べながら脱出の糸口を探りますが、不死身の殺人鬼「シザーマン」がいつ現れるかわからない緊張感が常につきまといます。
敵を倒す手段がないため、ひたすら逃げ隠れするしかないという「追われる恐怖」を前面に押し出したゲームデザインが、発売当時としては非常に斬新でした。
また、プレイヤーの行動によってストーリーの展開や結末が変化するマルチエンディングシステムを全作品で採用しており、登場人物の生死すら分岐する点も大きな魅力です。
シリーズの生みの親は、ゲームクリエイターの河野一二三氏です。
河野氏はヒューマン株式会社に在籍していた時代に初代と続編を手がけ、後に独立してヌードメーカーを設立しました。
クロックタワー シリーズの制作メーカーは複数にまたがっており、初期2作はヒューマン、3作目のゴーストヘッドもヒューマンが開発し、4作目はカプコンとフラグシップが共同で開発しています。
ヒューマンの倒産後は、サンソフト(サン電子)が版権を継承して現在に至ります。
クロックタワー シリーズ全作品を発売順に紹介
シリーズは正式なナンバリング作品が4本と、2024年発売のリマスター版で構成されています。
以下に全タイトルを発売日の順番で整理します。
| 作品名 | 発売日 | 対応機種 | 開発元 |
|---|---|---|---|
| クロックタワー | 1995年9月14日 | SFC、PS、Win95ほか | ヒューマン |
| クロックタワー2 | 1996年12月13日 | PS | ヒューマン |
| クロックタワー ゴーストヘッド | 1998年3月12日 | PS | ヒューマン |
| クロックタワー3 | 2002年12月12日 | PS2 | カプコン/フラグシップ |
| クロックタワー・リワインド | 2024年10月31日 | Switch、PS5、PS4、Xbox、PC | サンソフト/WayForward |
ストーリー上の時系列は、初代から2がそのまま直接つながっており、ゴーストヘッドは世界観を共有しつつも独立した物語、3は完全に別の物語という構成になっています。
初めてシリーズに触れるなら、発売の順番どおりにプレイするのが最もわかりやすい楽しみ方です。
クロックタワー(初代)|すべてはこの時計塔屋敷から始まった
1995年9月14日にスーパーファミコン用ソフトとして発売された、シリーズの原点となるタイトルです。
プレイヤーは14歳の孤児の少女・ジェニファーを操作し、北欧の山間にたたずむバロウズ邸、通称「時計塔屋敷(クロックタワー)」からの脱出を目指します。
養育先として紹介された屋敷を訪れたジェニファーと3人の友人たちは、引率の教師メアリーとともに屋敷に足を踏み入れます。
しかし、そこに待ち受けていたのは巨大なハサミを武器に振り回す不気味な殺人鬼・シザーマンでした。
ゲームシステムはポイント&クリック方式を採用し、カーソルで画面上のオブジェクトを指定して調査や移動を行います。
エンディングは複数用意されており、プレイヤーの行動次第でジェニファーの運命は大きく変わります。
イタリアのホラー映画監督ダリオ・アルジェントの作品群からインスピレーションを受けていることが広く知られており、洋画ホラーのような不気味な雰囲気が16ビットのドット絵で見事に再現されています。
後にPlayStation版(ザ・ファーストフィアー)やWindows版にも移植され、複数のプラットフォームで遊ぶことが可能になりました。
クロックタワー2|シザーマン再来の恐怖
1996年12月13日に発売されたPlayStation用ソフトで、初代の正統続編にあたります。
物語は前作の「クロックタワー事件」から1年後のノルウェー・オスロを舞台としています。
バロウズ邸での惨劇を生き延びたジェニファーは、犯罪心理学の助教授であるヘレンに引き取られ、精神科医バートン教授のもとで催眠治療を受けていました。
しかし平穏な日々は長くは続かず、新たなシザーマンが姿を現します。
本作の大きな変更点は、操作キャラクターがジェニファーとヘレンの2人に増えた点です。
どちらのキャラクターでプレイするかによってシナリオの展開が変化し、エンディングの総数は10種類にのぼります。
基本的なゲームシステムは初代を踏襲したポイント&クリック方式で、シザーマンとの遭遇時に発生する「パニックモード」の緊張感はさらに増しています。
多くのホラーゲームファンから初代と並ぶシリーズ最高傑作として評価されており、河野一二三氏が手がけた最後のナンバリング作品でもあります。
クロックタワー ゴーストヘッド|和製ホラーへの転換
1998年3月12日にPlayStation用ソフトとして発売されたシリーズ3作目です。
タイトルにナンバリングが付いていないため、外伝的な位置づけと捉える見方も根強くあります。
シリーズの生みの親である河野一二三氏はこの作品には関わっておらず、平田豊氏ら新スタッフが開発を担当しました。
本作の最大の特徴は、舞台がこれまでの北欧ゴシックホラーから一転して日本に移されている点です。
主人公の御堂島翔は攻撃的な別人格「優」を宿しており、この二重人格の設定がゲームプレイに組み込まれています。
優の人格に切り替えると銃器で敵を撃退できるという要素は、「非力な主人公が逃げるしかない」という従来のシリーズコンセプトとは異なる方向性を打ち出したものでした。
Jホラー的な雰囲気が漂う作風は賛否両論を呼びましたが、シリーズの中でも独自の存在感を放っています。
海外では前作が「Clock Tower」名義で発売されていた関係で、本作は「Clock Tower II: The Struggle Within」というタイトルで販売されました。
クロックタワー3|映画監督が手がけた異色の新章
2002年12月12日にPlayStation 2用ソフトとして発売されたシリーズ4作目です。
ヒューマンの倒産に伴い、開発はカプコンとフラグシップが担当しました。
本作の注目すべき点は、映画監督の深作欣二氏がイベントムービーのディレクションを手がけたことです。
「仁義なき戦い」や「バトル・ロワイアル」で知られる巨匠がゲーム制作に参加したことは当時大きな話題となりました。
深作氏は2003年1月に逝去しており、クロックタワー3は氏の遺作としても知られています。
主人公は14歳の少女アリッサ・ハミルトンで、CGモデルにはファッションモデルの美波氏が起用されました。
ゲームシステムは従来のポイント&クリック方式を廃止し、バイオハザードのようなアクション操作に変更されています。
マルチエンディングも廃止されて完全な一本道のストーリーとなり、特殊能力を持った主人公が追跡者と直接対決する展開は、旧来のファンから「別作品」と評されることも少なくありません。
一方で、深作監督による映画的な演出やファンタジー色の強い世界観は、新規プレイヤーには新鮮な体験として受け入れられた側面もあります。
ストーリー面では初代や2との直接的なつながりはなく、独立した物語として完結しています。
クロックタワー・リワインド|約30年の時を経た復活
2024年10月31日に発売された、初代クロックタワーのリマスター版です。
開発はWayForwardが担当し、サンソフトとカプコンの共同プロジェクトとして実現しました。
対応プラットフォームはNintendo Switch、PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X|S、PC(Steam)で、価格はダウンロード版が3,300円(税込)、パッケージ版が4,980円(税込)です。
本作には2つのモードが搭載されています。
ひとつは初代を忠実に再現した「オリジナルモード」、もうひとつは操作性の改善やアニメーション追加などの調整を施した「リワインドモード」です。
新規要素として、アニメ調の導入映像、オープニングとエンディングのボーカルテーマソング、モーションコミック、オリジナル版の開発者インタビュー、アートギャラリー、音楽プレイヤー、手動セーブ機能、そしてタイトルの由来にもなっている「リワインド(巻き戻し)」機能が追加されています。
MetacriticにおけるPC版のメタスコアは68点で、「レトロホラーファン向けの良質な復刻」として概ね好意的に評価されています。
一方で、グラフィックやサウンドの大幅な刷新は行われていないため、現代のゲームに慣れたプレイヤーには古さを感じさせるという指摘もあります。
初めてシリーズに触れる方にとっても、当時の雰囲気を味わえるおすすめの入門作です。
シリーズの精神的続編と関連作品
クロックタワー3以降、正式なナンバリング作品は発売されていませんが、シリーズのコンセプトを受け継いだ関連作品がいくつか存在します。
まず挙げられるのが、カプコンが2005年にPlayStation 2向けに発売した「DEMENTO(デメント)」です。
元々はクロックタワー3の続編として企画されていた作品で、タイトルを変更した上でシステムを継承・発展させています。
非力な主人公が追跡者から逃げるという基本構造はクロックタワーの流れを汲んでおり、犬のパートナー「ヒューイ」と協力して脱出を目指す独自の要素が加わっています。
次に、シリーズの生みの親である河野一二三氏自らが手がけた「NightCry(ナイトクライ)」があります。
2016年にPC版が発売されたこの作品は、豪華客船を舞台にしたホラーアドベンチャーで、大ハサミを持った殺人鬼から逃走するというクロックタワーの根幹をなすコンセプトが色濃く反映されています。
映画「呪怨」シリーズで知られる清水崇監督が共同製作者として参加したことでも注目を集めました。
さらに、イタリアの開発者が手がけた「Remothered: Tormented Fathers」は、クロックタワーにインスパイアされた作品として開発者自身が公言しています。
元々はクロックタワーの非公式リメイクとして2000年代から企画が進められていたもので、数度の方向転換を経てオリジナル作品としてリリースされました。
クロックタワー シリーズがホラーゲーム史に与えた影響
クロックタワーは、サバイバルホラーというジャンルの形成に大きな役割を果たした作品です。
1995年の初代発売は、バイオハザード(1996年)より1年早く、「戦わずに逃げる」というゲームデザインはホラーゲームの新たな可能性を提示しました。
この設計思想は、後年の「Outlast」や「Amnesia」といった一人称視点の逃走型ホラーゲームにまで影響が及んでいると一般的に言われています。
シザーマンというキャラクターの存在も、ホラーゲーム史において語り継がれる象徴的なアイコンとなっています。
巨大なハサミを「シャキーン、シャキーン」と鳴らしながら迫ってくる演出は、プレイヤーの恐怖心を掻き立てる秀逸なデザインとして広く認知されています。
また、ポイント&クリック方式による間接的な操作は、プレイヤーが直接キャラクターを動かせないもどかしさを生み出し、無力感と恐怖を増幅させる仕掛けとして機能しました。
シリーズの歩みを振り返ると、ヒューマンからカプコン、そしてサンソフトへとメーカーが移り変わる中で、作品ごとに異なるアプローチが試みられてきたことがわかります。
初代と2のゴシックホラー路線、ゴーストヘッドの和製ホラー路線、3のアクションホラー路線と、各タイトルが独自のカラーを持っている点もシリーズの興味深い側面です。
シリーズ初心者におすすめのプレイ順と選び方
クロックタワー シリーズを初めてプレイするなら、2024年に発売されたクロックタワー・リワインドから始めるのが最もおすすめです。
リワインド版には巻き戻し機能や手動セーブといった現代的な便利機能が搭載されており、レトロゲーム特有の不便さが大幅に軽減されています。
リワインドモードでシリーズの原点を体験したあとは、ストーリーが直接つながっているクロックタワー2に進むのが自然な流れです。
2はゲームアーカイブス等の配信サービスで入手できる場合があり、初代からのストーリーの続きを楽しめます。
ゴーストヘッドと3は、世界観やシステムが大きく異なるため、初代と2を気に入った方が「シリーズの広がり」を知るために遊ぶ作品として位置づけるのがよいでしょう。
ゴーストヘッドは日本的なホラー表現に興味がある方に、3は映画的な演出やアクション要素を楽しみたい方に向いています。
なお、海外版と日本版ではナンバリングがずれている点に注意が必要です。
海外では初代が未発売だったため、日本の「クロックタワー2」が海外での「Clock Tower」、日本の「ゴーストヘッド」が海外での「Clock Tower II」にあたります。
海外の情報を参照する際には、このナンバリングの違いを意識しておくと混乱を避けられます。
まとめ:クロックタワー シリーズの全貌と今後の展望
- クロックタワー シリーズは1995年にヒューマンが開発した逃走型ホラーアドベンチャーである
- シリーズの生みの親は河野一二三氏で、初代と2のディレクションを手がけた
- 全4作品とリマスター版1作品の計5タイトルが発売されている
- 発売の順番は初代(1995年)→2(1996年)→ゴーストヘッド(1998年)→3(2002年)→リワインド(2024年)である
- ポイント&クリック方式で操作し、戦えない主人公がシザーマンから逃げるゲームデザインが最大の特徴である
- メーカーはヒューマン→カプコン→サンソフトと版権が移り変わっている
- クロックタワー3は映画監督の深作欣二氏がムービー演出を担当した遺作である
- 2024年発売のリワインドは初代の復刻版で、便利機能と新規コンテンツが追加されている
- 精神的続編としてNightCryやDEMENTOなどの関連作品が存在する
- 初心者にはリワインドから始めて発売順に遊ぶのがおすすめである

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