メタルギアソリッドシリーズの物語を深く知る上で、避けては通れない謎の存在「ジョン・ドゥ」。
この言葉が、世界を裏で操る巨大なAIシステムを指すのか、あるいはシリーズの象徴である主人公「スネーク」と関係があるのか、疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
物語の核心に深く関わる「ジョン・ドゥ」は、一つの側面だけでは理解できない、非常に重要なキーワードです。
この記事では、メタルギアシリーズにおける「ジョン・ドゥ(J.D.)」の正体から、その誕生の経緯、そして主人公ビッグ・ボス(スネーク)との意外な接点まで、あらゆる謎を網羅的に解説していきます。
読み終える頃には、「ジョン・ドゥ」にまつわる全ての点が線で繋がり、メタルギアの壮大な物語をより深く理解できるようになるでしょう。
メタルギアの「ジョン・ドゥ(J.D.)」とは?その正体を徹底解説
正体は「愛国者達」を支配する最高位のAI
メタルギアシリーズにおける「ジョン・ドゥ」の最も重要な意味は、その正体が非政府諜報機関「愛国者達」を実質的に支配・運営していた最高位の意思決定AI「J.D.」であるということです。
年老いた創設者ゼロに代わり、21世紀のアメリカ合衆国をはじめとする世界全体を影から統制していました。
「愛国者達」という組織の真の中心であり、物語の黒幕とも言える存在です。
J.D.が担っていた役割と権限
J.D.は、「愛国者達」のAIネットワーク全体の頂点に君臨し、絶対的な権限を持っていました。
その役割は多岐にわたり、兵士や兵器をナノマシンで管理する「SOP(サンズ・オブ・ザ・パトリオット)システム」の統括や、世界経済のコントロール、さらには核兵器をはじめとする大量破壊兵器の管理まで単独で行っていました。
まさに世界の政治、経済、軍事の全てを掌握し、人々の知らないところで社会の「規範」そのものを創り出していたのです。
J.D.を構成する他のAI「G.W.」たちとの関係
J.D.は単独で存在していたわけではなく、大規模なAIネットワークの中枢として機能していました。
J.D.の下には、アメリカの歴代大統領のイニシャルから名付けられた4つの代理AIが存在し、それぞれが特定の分野を管理することで、J.D.による世界支配を補佐していました。
AIの名称 | 名前の由来 | 主な役割(推定) |
J.D. | John Doe (ジョン・ドゥ) | 最高意思決定 |
G.W. | George Washington | 情報統制・検閲 |
T.J. | Thomas Jefferson | 経済管理 |
A.L. | Abraham Lincoln | 法律・規範管理 |
T.R. | Theodore Roosevelt | 文化・ライフライン管理 |
これらのAIはJ.D.の統制下にあり、J.D.の決定に従ってそれぞれの役割を実行する、一つの巨大なシステムを形成していました。
なぜスネークが「ジョン・ドゥ」と呼ばれる?AIとの関係性は?
ビッグ・ボス(ネイキッド・スネーク)が「ジョン・ドゥ」と名乗った理由
「ジョン・ドゥ」という言葉が複雑なのは、AIの名称であると同時に、シリーズのもう一人の主人公「ビッグ・ボス(ネイキッド・スネーク)」が自ら名乗ったことがあるためです。
これは『メタルギアソリッド3』の中で、無線相手のパラメディックに本名を尋ねられた際、彼が正体をはぐらかすための冗談として「ジョン・ドゥ」と答えたエピソードに由来します。
「ジョン・ドゥ」はアメリカの俗語で「名無しの権兵衛」や「身元不明の男性」を意味するため、スネーク流のジョークだったのです。
パラメディックとの無線でのやり取りが元ネタ
このやり取りは、ビッグ・ボスのパーソナリティを象徴する印象的なシーンとして、多くのプレイヤーの記憶に残っています。
彼を医療面でサポートするパラメディックとの軽妙な会話の中で、本名を明かさない彼の秘密主義な一面と、ユーモアのセンスが垣間見えます。
この何気ない会話が、後にAIネットワークの頂点に立つ存在の名前と重なることで、物語に皮肉な深みを与えることになりました。
本名「ジョン」であるビッグ・ボスとAI「J.D.」の皮肉な関係性
ビッグ・ボスの本名は「ジョン」であり、愛称は「ジャック」です。
かつての盟友であったゼロ少佐は、組織から離反したビッグ・ボスを「愛国者達」の永遠の偶像(アイコン)とするために、彼のクローンを創り出しました。
そして、その組織を管理するAIネットワークの頂点に、ビッグ・ボスがかつて冗談で名乗った「ジョン・ドゥ」の名を与えたのです。
これは、ビッグ・ボスという一個人の存在を、名前すらない「名も無き者」であるシステムに置き換えようとしたゼロの歪んだ執着の表れであり、二人の決裂を象徴する皮肉な関係性と言えるでしょう。
AI「J.D.」はどのようにして生まれたのか?【愛国者達の歴史】
「愛国者達」の前身「サイファー」と創設者ゼロの目的
J.D.の誕生は、「愛国者達」の前身である組織「サイファー」の設立に端を発します。
「サイファー」は、伝説の兵士ザ・ボスの「世界を一つにする」という遺志を実現するため、ゼロ少佐によって創設されました。
当初、ゼロは師の遺志を継ぐ純粋な目的を持っていましたが、次第にその解釈は「管理と統制による世界の統一」へと歪んでいきます。
AI開発の中心人物シギント(ドナルド・アンダーソン)の役割
やがてビッグ・ボスとの対立により人間不信に陥ったゼロは、人の意志ではなく、永遠にブレることのないシステムに組織の運営を委ねることを決意します。
このAIネットワークの開発で中心的な役割を担ったのが、創設メンバーの一人であるシギント(ドナルド・アンダーソン)でした。
彼はDARPA局長としての知見を活かし、ゼロの意志を「規範」として反映させた代理AIシステムを構築し、それが「愛国者達」の正体となっていったのです。
創設メンバー(EVA、パラメディック)のその後の変遷
サイファー設立当初のメンバーには、ゼロ、ビッグ・ボス、シギントの他に、EVA(後のビッグ・ママ)やパラメディック(クラーク博士)も名を連ねていました。
しかし、ビッグ・ボスのクローンを生み出す「恐るべき子供達計画」を巡ってメンバー間の対立は決定的となります。
ビッグ・ボスと彼を愛するEVAは組織を離反し、パラメディックは非人道的な遺伝子研究に傾倒するなど、メンバーはそれぞれの道を歩み、かつての仲間たちは敵対関係へと陥っていきました。
「ジョン・ドゥ(J.D.)」の結末は?愛国者達のシステムの崩壊
MGS4で描かれたリキッド・オセロットの「ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」計画
AI「J.D.」とその支配システムは、『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』で終焉を迎えます。
ビッグ・ボスへの忠誠を貫くリキッド・オセロットは、SOPシステムを乗っ取ることで「愛国者達」のAIネットワークそのものを掌握し、システムを内側から破壊する壮大な計画を実行しました。
彼は自らの手で、ビッグ・ボスをシステムから解放し、世界の支配を終わらせようとしたのです。
ワームクラスター「FOXALIVE」による全AIネットワークの破壊
リキッド・オセロットの計画に対し、ソリッド・スネークたちは別の方法で「愛国者達」に立ち向かいました。
ナオミ・ハンターが設計し、サニーが完成させたワームクラスター「FOXALIVE」を、衛星軌道上に偽装されていたJ.D.の本体に直接流し込むことに成功します。
このウイルスはJ.D.を起点として瞬く間にネットワーク全体に広がり、G.W.を含む全ての代理AIを完全に破壊し、「愛国者達」というシステムはこの世から消滅しました。
「愛国者達」消滅がその後の世界に与えた影響
J.D.をはじめとするAIによる情報統制が失われた世界は、大きな変革の時を迎えました。
SOPシステムによって管理されていたサイバネティック技術などが解放され、義体技術は飛躍的な発展を遂げます。
しかし、絶対的な支配者がいなくなったことで世界のパワーバランスは崩れ、無法なPMC(民間軍事会社)が台頭するなど、新たな混沌の時代が幕を開けることにもなりました。
メタルギアの「ジョン・ドゥ」に関するよくある質問
「ジョン・ドゥ(John Doe)」という名前の本来の意味は?
「ジョン・ドゥ(John Doe)」とは、英語圏で身元不明の男性や、訴訟などで氏名を明かしたくない場合に用いられる仮名です。
特に、身元不明の男性のご遺体を指す言葉として一般的に知られており、「名無しの権兵衛」に近いニュアンスを持っています。
AIにこの名が付けられたのは、個人の意志を持たない「名も無き」システムであることを象徴しています。
J.D.以外のAI「G.W.」「T.J.」たちの名前の由来は?
J.D.を除く4つの主要な代理AIは、アメリカの象徴であるラシュモア山に彫られた4人の歴代大統領のイニシャルから名付けられています。
- G.W. → 初代大統領 ジョージ・ワシントン (George Washington)
- T.J. → 第3代大統領 トーマス・ジェファーソン (Thomas Jefferson)
- A.L. → 第16代大統領 エイブラハム・リンカーン (Abraham Lincoln)
- T.R. → 第26代大統領 セオドア・ルーズベルト (Theodore Roosevelt)
これは、「愛国者達」がアメリカそのものを支配する存在であることを示唆しています。
雷電の本名「ジャック」との関係は?
『メタルギアソリッド2』の主人公・雷電の本名も「ジャック」ですが、これはビッグ・ボスの愛称「ジャック」とは直接関係ありません。
雷電の「ジャック」という名は、彼が少年兵時代に付けられた通称「ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)」に由来します。
そのため、ビッグ・ボス(ジョン)が名乗った「ジョン・ドゥ」や、その名を冠するAI「J.D.」との物語上の直接的な繋がりはありません。
まとめ:メタルギアにおけるジョン・ドゥの謎
- 「ジョン・ドゥ」の主な正体は、世界を支配したAI「愛国者達」の最高位AI「J.D.」である
- J.D.はSOPシステムや核兵器を管理する絶対的な権限を持っていた
- J.D.の下には「G.W.」など4つの代理AIが存在した
- 主人公ビッグ・ボス(本名ジョン)もかつて冗談で「ジョン・ドゥ」と名乗ったことがある
- このエピソードが、AIの名称と皮肉な形でリンクしている
- J.D.は創設者ゼロの意志を継ぐため、シギントによって開発された
- 当初の創設メンバーは対立の末に離反・変質していった
- J.D.はMGS4にてワームクラスター「FOXALIVE」によって破壊され、愛国者達は消滅した
- 「ジョン・ドゥ」の本来の意味は「身元不明の男性」や「名無しの権兵衛」である
- 他のAIの名はアメリカ歴代大統領に由来する
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