美術館を舞台にしたホラーゲーム「Ib(イヴ)」をご存じでしょうか。
2012年にフリーゲームとして公開されて以来、国内外で根強い人気を誇り、リメイク版の発売やリアルイベントの開催など、10年以上にわたって愛され続けている作品です。
「Ibとはどんなゲームなのか」「あらすじやジャンルの概要を知りたい」「自分に合うか判断したい」といった疑問を持つ方は少なくないでしょう。
この記事では、Ibのゲームとしての基本情報からストーリーのあらすじ、魅力や注意点、さらには最新の動向まで、プレイ前に知っておきたい情報を網羅的にお伝えします。
Ibとはどんなゲームなのか
Ibとは、個人開発者のkouri氏が制作した2Dホラー探索型アドベンチャーゲームです。
ジャンルとしては「謎解き」と「ホラー」を融合させた探索型アドベンチャーに分類されます。
プレイヤーは9歳の少女イヴを操作し、不気味な美術館の中を歩き回りながら、仕掛けを解いたりアイテムを見つけたりして脱出を目指します。
戦闘やアクションの要素は一切なく、純粋に探索と謎解きだけでゲームが進行する点が大きな特徴です。
作者自身が「ゲームが苦手な人でもクリアできるように」と意識して制作しており、ゲーム初心者でも安心して楽しめる設計になっています。
エンディングは全7種類のマルチエンディング制を採用しており、ゲーム中の行動や選択肢によって結末が変化します。
1周のプレイ時間は約2〜3時間と短めですが、複数のエンディングを追いかけることで何度も遊べる構造が魅力です。
Ibのあらすじとストーリーの概要
Ibの物語は、主人公の少女イヴが両親とともに美術館を訪れるところから始まります。
美術館では、謎多き芸術家「ワイズ・ゲルテナ」の作品展が開催されています。
展示を眺めていたイヴがふと気がつくと、館内からは人の気配が消え、美術品が動き出す異様な世界に迷い込んでいました。
この不思議な世界の中で、イヴは青い薔薇を持つ青年ギャリーと出会い、協力しながら脱出を試みます。
さらに物語の中盤では、明るく人懐っこい少女メアリーとも合流し、三人での探索が始まります。
しかし、メアリーには重大な秘密が隠されており、物語は予想外の展開へと進んでいくのです。
ゲルテナの作品たちが襲いかかる恐怖、仲間との絆、そして衝撃の真実が交差するストーリーは、短い物語でありながら深い余韻を残すと広く評価されています。
Ibの主要キャラクターを紹介
Ibの魅力を語るうえで欠かせないのが、個性豊かな3人のキャラクターです。
イヴ(Ib)
本作の主人公で、9歳のお嬢様です。
茶髪に赤い瞳、白いブラウスに赤いスカートという出で立ちで、母親からもらったレースのハンカチを大切に持っています。
無口な性格で、ゲーム中はほとんど言葉を発しません。
彼女の命を象徴する薔薇は赤色で、花びらの枚数(最大5枚)がそのまま体力を表しています。
ギャリー(Garry)
異世界の中で出会う20代の男性で、紫色の髪と三白眼が印象的なキャラクターです。
イヴが助けたことをきっかけに行動を共にするようになり、漢字を読んだり重いものを動かしたりと、イヴにできないことをサポートしてくれます。
青い薔薇を持ち、体力の上限はイヴよりも高く設定されています。
女性的な口調と優しい性格で、多くのファンから支持されているキャラクターです。
メアリー(Mary)
金髪碧眼の明るい少女で、ゲーム中盤からイヴたちに加わります。
外の世界にいる父親に会いたがっている彼女ですが、実はゲルテナが生涯最後に生み出した「作品」であるという衝撃の正体を持っています。
彼女の存在はストーリーの核心に深く関わっており、プレイヤーの選択によってメアリーとの関係性が大きく変わる点がIbの物語を奥深いものにしています。
Ibのゲームシステムと遊び方
Ibのゲームシステムは非常にシンプルで、基本操作は「移動」と「調べる」の二つだけです。
薔薇がHPの役割を果たす独自システム
本作では、キャラクターの命が一輪の薔薇として表現されています。
敵やトラップに触れると花びらが散り、すべての花びらを失うとゲームオーバーになる仕組みです。
水の入った花瓶に薔薇を活けると花びらが回復するため、花瓶の場所を覚えておくことが攻略のポイントになります。
謎解きの難易度と進め方
謎解きの難易度は全体的に控えめで、マップの構造や美術品のヒントを丁寧に読み解けば詰まることは少ないでしょう。
ただし、一部のギミックは初見では分かりにくい場合もあるため、身の回りのオブジェクトをくまなく調べる姿勢が重要です。
エンディング分岐の仕組み
全7種類のエンディングは、主にギャリーとの「好感度」によって分岐します。
好感度はゲーム中にギャリーと多く会話し、彼の好みに合った選択肢を選ぶことで上昇する仕組みです。
トゥルーエンドにあたる「再会の約束」を見るには、好感度を最大まで高めたうえで特定の行動をとる必要があり、最も達成条件が厳しいエンディングとして知られています。
1周が短いため周回の負担は軽く、攻略情報を参考にしながら全エンディングを回収するプレイスタイルが一般的です。
フリーウェア版とリメイク版の違いを比較
Ibには2012年公開の無料フリーウェア版と、2022年以降に発売された有料リメイク版の二つが存在します。
どちらをプレイすべきか迷う方のために、主な違いを整理します。
| 比較項目 | フリーウェア版(2012年) | リメイク版(2022年〜) |
|---|---|---|
| 価格 | 無料 | Steam版1,300円〜 |
| グラフィック | RPGツクール2000標準 | マップ・キャラ・スチルを全面描き直し |
| 画面解像度 | 320×240の小さな画面 | フルスクリーン対応の高解像度 |
| 会話システム | 選択肢のみ | エリアごとにキャラ間の会話を追加 |
| ズーム機能 | なし | 美術品を拡大鑑賞できる機能を追加 |
| BGM | 一部フリー素材 | メアリーのテーマなど新規楽曲追加 |
| 対応環境 | Windows 7以前が推奨 | Win10以降・Switch・PS4・PS5 |
| エンディング数 | 7種類 | 7種類(変更なし) |
| 多言語対応 | 日本語・英語 | 日仏独伊西中韓など8言語 |
リメイク版ではストーリーやエンディングに大きな改変は加えられていません。
作者は「物語の改変やエンディングの追加は蛇足になる」との考えから、あえて原作の骨格を維持する方針をとっています。
一方で、グラフィックや演出は大幅に強化されており、初めてプレイする方にはリメイク版が推奨されるケースが多いです。
なお、フリーウェア版はWindows 10や11では正常に起動しないことが頻繁に報告されています。
起動には音声設定の変更や外部ツールの導入が必要になる場合があるため、最新のPC環境でプレイするならリメイク版の購入が確実な選択肢でしょう。
各プラットフォームの特徴と選び方
リメイク版のIbは複数のプラットフォームで展開されており、それぞれに特徴があります。
| プラットフォーム | 価格帯 | 主なメリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Steam(PC) | 1,300円(セール時約910円) | 最安価格で購入可能。セール頻度が高い | PC環境が必要 |
| Nintendo Switch | DL版1,500円〜豪華版4,980円 | 携帯モードで手軽にプレイ可能 | 豪華版は在庫僅少の傾向 |
| PS4 / PS5 | DL版4,400円〜豪華版5,500円 | 大画面テレビで快適にプレイ可能 | 他プラットフォームより高価 |
コストを重視するならSteam版が最も手頃で、定期的に開催されるセールを活用すれば900円台で入手できることもあります。
携帯性を重視する方にはSwitch版が適しており、パッケージ豪華版にはアートブックや作中に登場するレースのハンカチが付属するコレクターズアイテムとしての価値もあります。
PS4/PS5版は2024年3月に発売された最も新しいバージョンで、豪華版には作中の美術品をモチーフにしたミルクパズルが同梱されています。
なお、2026年2月時点でスマートフォン(iOS/Android)向けの公式版は存在しません。
Ibの評価と世間の評判
Ibは発売当初から高い評価を得ており、リメイク版の登場後もその評判は変わっていません。
Steamでは約4,900件を超えるレビューのうち99%が好評という「圧倒的に好評」の評価を獲得しています。
OpenCriticでは85点(11レビュー)で「Mighty」評価を受け、全ゲームの上位5%にランクインしました。
多くのユーザーが高く評価しているポイントとしては、「美術館という独自の舞台設定が斬新」「短いながらもストーリーの余韻が深い」「ドット絵ながら恐怖の演出が巧み」「キャラクターの魅力が際立っている」といった声が挙げられています。
一方で、「1周2〜3時間と短いため物足りなさを感じた」「もっと怖いホラーを期待していた」「アクション要素がないので退屈に感じた」という意見も一定数見られます。
全体としては、雰囲気やストーリーを重視するプレイヤーからの支持が圧倒的に強い作品だと言えるでしょう。
Ibの注意点とデメリット
高評価の多いIbですが、購入前に知っておきたい注意点やデメリットも存在します。
まず、ボリュームの少なさは購入判断に影響するポイントです。
1周のクリア時間が2〜3時間程度のため、長時間のやり込みを求める方には向いていません。
ただし、全7エンディングの回収や2周目以降に解放される「真ゲルテナ展」(ギャラリーモード)を含めれば、5〜10時間程度は楽しめます。
次に、ホラーの方向性についてです。
Ibの恐怖は「じわじわと追い詰められる心理的な怖さ」であり、大音量のジャンプスケアやグロテスク表現はほぼありません。
ホラーが苦手な方でもプレイしやすい反面、激しい恐怖体験を求める方には物足りなく映る可能性があります。
また、ドット絵ベースのグラフィックであるため、リアルな3D表現を期待するプレイヤーにはビジュアル面で合わないかもしれません。
エンディング分岐の条件が内部的な好感度システムに依存しているため、攻略情報なしでは全エンディングの回収が難しい点も覚えておくとよいでしょう。
配信ガイドラインと二次創作のルール
Ibをプレイ動画で配信したい方や、二次創作に興味がある方は、公式のガイドラインを事前に確認しておく必要があります。
フリーウェア版とリメイク版でルールが異なる点に注意が必要です。
フリーウェア版については、プレイ動画の投稿やリアルタイム配信は許可されていますが、収益化は一切禁止されています。
作者は「動画を見てゲームを知ってくれる人がいる」という考えから配信を許可しており、初見プレイヤーへのネタバレ配慮も求めています。
二次創作に関しては、イラスト・漫画・小説・コスプレ・BGMアレンジなどは自由に制作可能です。
一方で、Ibの二次創作ゲーム(続編・派生・番外編など)を作ることや、ゲーム内素材を使用する行為は明確に禁止されています。
同人誌や手作りグッズの販売は認められていますが、電子書籍での販売やオンデマンドサービスを利用したグッズ製造は許可されていません。
リメイク版はPLAYISMの配信ガイドラインに準拠しており、収益化を含む配信・動画投稿が可能で、配信禁止区間も設けられていません。
Ibに似たおすすめの関連作品
Ibを気に入った方には、同じ系統のゲームもおすすめです。
「魔女の家」は、Ibと同時期に公開されたRPGツクール製のフリーホラーゲームで、謎解き探索型のゲームプレイと衝撃的なストーリー展開が共通しています。
「ゆめにっき」は、戦闘要素のない探索・雰囲気系フリーゲームの元祖的な存在であり、Ibにも影響を与えたとされる作品です。
「OneShot」は、メタ要素を取り入れた探索アドベンチャーで、Steamにて高い評価を獲得しています。
2025年には、Ibに影響を受けた新作として「NeverHome – Hall of Apathy」や「Alice’s World」がSteamでリリースされており、Ibのゲームデザインが後続の作品に与えた影響力の大きさがうかがえます。
より本格的なホラー体験を求めるなら、美術をテーマにした一人称視点ホラー「Layers of Fear」も選択肢に入るでしょう。
2025年〜2026年の最新動向
発売から13年以上が経過した現在も、Ibを取り巻くコンテンツは活発に展開されています。
2025年2月から3月にかけて、東京ドームシティのGallery AaMoで「Ib謎解きミュージアム」の東京凱旋展が開催されました。
このイベントは完全新規の謎解きが追加された内容で、東京ドームシティ内の8店舗によるオリジナルコラボメニューも提供されています。
2025年4月には、人気の非対称型対戦ゲーム「Identity V(第五人格)」との大型コラボが実現しました。
イヴ・ギャリー・メアリーの3キャラクターがSSR衣装として登場し、約1ヶ月間のコラボイベントが展開されています。
2025年3月にはIb 13周年を記念してSteam版が30%OFFのセールを実施し、Switch版のeショップセールでも1,050円まで値下がりした実績があります。
2026年に入ってからは、公式グッズ通販サイト「Guertena Shop」で新春初売り祭が開催されたほか、GiGO京都のキービジュアルにIbキャラクターが和風衣装で登場するなど、コラボレーションが続いています。
なお、2026年2月時点で作者kouri氏によるIb以外の新作ゲームに関する公式発表は確認されていません。
まとめ:Ibとはどんなゲームかを振り返る
- Ibは個人開発者kouri氏が制作した2Dホラー探索型アドベンチャーゲームである
- 9歳の少女イヴが不気味な美術館から脱出する物語で、全7種類のマルチエンディングが用意されている
- 戦闘やアクション要素はなく、謎解きと探索のみで進行するためゲーム初心者にも向いている
- 薔薇の花びらが体力を表す独自のシステムが世界観と一体化している
- リメイク版ではグラフィック・会話システム・演出が大幅に強化されたが、ストーリーやエンディングは原作のまま維持されている
- 対応プラットフォームはSteam・Nintendo Switch・PS4・PS5で、スマホ版は存在しない
- Steamレビューは99%が好評で「圧倒的に好評」を獲得、OpenCriticでは85点の高評価である
- 1周2〜3時間と短めのため、長時間プレイを求める方や激しいホラーを期待する方には合わない可能性がある
- フリー版とリメイク版で配信・二次創作のルールが異なるため事前にガイドラインの確認が必要である
- 2025〜2026年もリアルイベントや他作品とのコラボが活発に展開されており、13年以上経った現在もコミュニティの支持は衰えていない

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