フリーホラーゲーム「魔女の家」をプレイしていると、至るところに現れる不思議な黒猫の存在が気になった方は多いのではないでしょうか。
軽口を叩きながらセーブを手助けしてくれる愛らしい相棒のように見えるこのキャラクターですが、物語を深く読み解いていくと、想像を絶する真実が隠されています。
黒猫の正体は何なのか、なぜセーブポイントという役割を担っているのか、そしてエレンやヴィオラとどのような関係があるのか。
この記事では、ゲーム本編はもちろん、小説版や電子書籍版の情報、さらにはリメイク版「魔女の家MV」の追加要素まで含めて、黒猫にまつわるすべての情報を体系的に整理しました。
ネタバレを含む内容となりますので、未プレイの方はご注意ください。
魔女の家における黒猫の基本的な役割
魔女の家に登場する黒猫は、ゲーム内でプレイヤーの行く先々に現れ、話しかけることでセーブができるキャラクターです。
恐怖に満ちた館内を探索するプレイヤーにとって、黒猫の姿を見つけた瞬間にホッと安堵するという体験は、多くのプレイヤーが共感するポイントでしょう。
黒猫は人間の言葉を話し、話しかけるたびに軽口を叩いてくるという独特の個性を持っています。
ホラーゲームにおけるセーブポイントは通常、無機質なオブジェクトであることが多い中、キャラクター性を持たせた黒猫をセーブ手段に据えた設計は、本作ならではの大きな特徴といえます。
この「セーブポイント=黒猫」という仕組みは、単なるゲームシステム上の工夫にとどまらず、物語全体の核心に深く関わる重要な伏線として機能しています。
黒猫の正体は悪魔だった|ノーセーブクリアで明かされる真実
ノーセーブクリアの条件と達成方法
黒猫の正体が明かされるのは、ゲームを一度もセーブせずにクリアした場合に到達できる、いわゆる「ノーセーブエンド」においてです。
魔女の家ではセーブが黒猫への話しかけと直結しているため、ノーセーブクリアとは「黒猫に一度も話しかけずに最後まで進む」ことを意味します。
即死トラップが多数配置された本作において、一切のセーブなしで最後まで到達する難易度は非常に高く、多くのプレイヤーにとって大きな挑戦となるでしょう。
しかし、この過酷な条件を乗り越えた先にこそ、物語の最も深い真実が待っています。
黒猫=悪魔という衝撃の事実
ノーセーブでエレンの部屋直前まで到達すると、それまで各所で待ち構えていた黒猫との特別な会話イベントが発生します。
会話の途中で、画面上のキャラクター名表示が「黒猫」から「悪魔」へと切り替わるという演出がなされ、プレイヤーは黒猫がただの猫ではなかったことを知ることになります。
黒猫の正体は、かつてエレンに魔女の力を授けた悪魔そのものです。
黒猫として見える姿は本体ではなく、猫の死体に憑依した仮の姿にすぎません。
悪魔は実体を持たず、自ら人間を殺すことができないため、「魔女」を代理として利用し、人間の魂を収集する仕組みを構築していたのです。
ノーセーブクリア時に変化する魔女の日記
ノーセーブクリアでは、最後に読める魔女の日記の内容も、通常のエンディングとは大きく異なります。
通常版では語られなかった「身体を交換した後、声が出せなくなるように喉を焼く薬を飲ませる」「目をえぐり出して足を切り落とす」といった、エレンがヴィオラに対して行った残虐な行為の詳細が記されています。
また、黒猫との会話では「張り紙やメモが主人公に謎解きのヒントを与えていたのは、家そのものが家主を認識し、助けようとしていたから」という情報も明かされます。
ただし、ノーセーブクリアを達成してもハッピーエンドは用意されておらず、結末はノーマルエンドまたはトゥルーエンドと同様の展開をたどります。
黒猫とエレンの契約関係|200年以上続く闇の絆
悪魔がエレンに近づいた経緯
黒猫の姿をした悪魔は、難病を抱え両親にも愛されなかった少女エレンの前に現れました。
家を飛び出したエレンに対し、悪魔は魔法と「魔女の家」を与える代わりに、家に誘い込んだ人間を殺してその魂を供物として捧げるという条件を提示しています。
体に障害を持ち、選択の余地がなかったエレンにとって、この契約を断ることは事実上不可能だったといえるでしょう。
小説「魔女の家 エレンの日記」では、悪魔との出会いから契約に至るまでの経緯が詳細に描かれており、ゲーム本編だけでは見えなかった背景を深く理解できます。
変化していく両者の関係性
契約当初、黒猫はエレンに読み書きを教えるなど親切に接しており、両者の関係は良好でした。
しかし長い年月を経るうちに関係は徐々に変質していきます。
黒猫は「ノルマをこなせば自由になれる方法を教える」と繰り返し先延ばしにしながら、エレンに人間を殺し続けさせました。
一方のエレンも、悪魔の本性を理解するにつれて態度がぞんざいになり、作中では黒猫を酸の川に沈めるという描写も存在します。
悪魔は不死身であるため何食わぬ顔で復帰しましたが、200年以上にわたる契約関係の中で信頼が完全に崩壊していった様子がうかがえます。
最終的に授けた「自由」の代償
悪魔が最終的にエレンに教えた自由への方法は、「誰かの体を乗っ取る」という残酷な手段でした。
この助言に従ったエレンは、友人となったヴィオラの体を奪い取り、魔女の家からの解放を果たします。
しかし、体を奪われたヴィオラはエレンの病んだ体に閉じ込められ、声も出せない状態で追いすがった末に、ヴィオラの父親に射殺されるという悲劇を迎えます。
つまり黒猫は、エレンを狂気の魔女へと変え、ヴィオラを絶望の淵に追いやった物語全体の諸悪の根源であり、黒幕だったのです。
魔女の家に登場する黒猫の隠し要素と小ネタ
黒猫の死骸を踏み続けるとどうなるのか
最終フロアにある魔女の部屋の直前には、倒れて動かなくなった黒猫の死骸が横たわっています。
この死骸の上を何度も踏みつけ続けると、次第に粉砕されて最終的に画面上から消えてしまうという演出が用意されています。
一方、完全なノーセーブ状態でこの場所にたどり着いた場合は、黒猫が生きた状態で登場し、物語の真相を語り始めるという重要な分岐が発生します。
踏み続ける行為自体にストーリー上の大きな意味はありませんが、作者の細やかな作り込みを象徴するポイントとして、ファンの間で広く知られている小ネタです。
黒猫の時間経過による行動変化
ゲーム中、黒猫のそばで何もせずに時間を過ごすと、黒猫の行動にも変化が生じます。
10分が経過すると黒猫は座り込み、セーブができなくなります。
さらに50分が経過すると黒猫は姿を消してしまい、セーブ手段が完全に失われるという仕組みです。
また、ゲーム開始直後の画面から一度も移動せずに1時間放置すると、自動的に森の出口へ移動してエンディングに入るという「放置エンド」も存在します。
これは「魔女の家を攻略しない」という選択肢そのものがエンディングとして成立するユニークな設計です。
魔女の家MVでの黒猫に関する追加要素
Extraモードで追加された黒猫のセリフ
リメイク版「魔女の家MV」では、本編クリア後に解禁される高難易度「Extraモード」において、黒猫のセリフにいくつかの追加や変更が施されています。
Extraモード限定で、黒猫から「魔女のことを知っているか」という問いかけが発生するほか、「ほら、こいつも同じだろうさ。
ま、死なないでよ」といった新規セリフも確認できます。
また、Extra限定の超難易度クイズの中には答えが「黒猫」になる問題が含まれており、この場面では黒猫がヴィオラに対して「あれ、私ですよね?」と話しかけるという特殊な演出が盛り込まれています。
MV版におけるグラフィックと演出の強化
魔女の家MVでは、RPGツクールVXからRPGツクールMVへとエンジンが変更され、すべてのグラフィックが一から作り直されています。
黒猫のドット絵も高解像度化されており、フリー版と比べてより表情豊かな描写が実現されました。
開発期間はフリー版の5倍以上を費やしたとされ、2Dならではの美しさと「魔女の家」らしい雰囲気作りへのこだわりが随所に反映されています。
SteamではMV版に対して「圧倒的に好評」の評価が寄せられており、リメイクとしての完成度の高さが広く認められているといえるでしょう。
小説版・電子書籍版で描かれる黒猫の深層
小説「魔女の家 エレンの日記」における黒猫
小説「魔女の家 エレンの日記」は、ゲーム原作者であるふみー氏本人が執筆した前日譚です。
2013年10月にエンターブレインから刊行され、紙書籍版は10万部を突破しています。
この小説では、エレンが悪魔と出会い魔女となるまでの過程が詳細に描かれており、黒猫がどのようにエレンの弱みに付け込んで契約を結ばせたのか、その手口を時系列で追うことができます。
ゲーム本編では断片的にしか触れられない黒猫の背景情報が、最も体系的に整理されている媒体といえるでしょう。
電子書籍限定の掌編「黒猫のモノローグ」
電子書籍版(Kindle版)には、紙書籍版や漫画版には収録されていない掌編「黒猫のモノローグ」が特別付録として含まれています。
この作品は小説執筆当時にお蔵入りとなっていたもので、電子書籍化に際して復活しました。
黒猫(悪魔)の視点から物語が語られるという構成で、エレンが新たな身体を手に入れてもなお幸せには到達できないという絶望的な展開が描かれているとされています。
電子書籍版にはさらに原作者書き下ろしの表紙1点と挿絵35点が収録されており、Kindle Unlimitedの対象タイトルとして0円で読める場合もあります。
黒猫について最も深く理解したい方にとって、この電子書籍版は見逃せない一冊です。
各メディアにおける黒猫情報の比較
黒猫に関する情報は、メディアごとに得られる内容と深さが異なります。
以下に、各メディアの特徴をまとめます。
| メディア | 黒猫の情報量 | 特記事項 |
|---|---|---|
| フリー版ゲーム | 基本設定のみ。ノーセーブクリアで正体が判明 | 初出作品。セーブポイントとしての印象が強い |
| MV版(リメイク) | フリー版の内容に加えExtraモード限定のセリフが追加 | Steam・コンソールで入手可能 |
| 小説・紙書籍版 | エレンとの出会いや契約の経緯を最も詳しく記述 | ゲーム前日譚として黒猫の背景が充実 |
| 電子書籍版 | 紙書籍版に加え「黒猫のモノローグ」を独占収録 | 黒猫視点の独白が読める唯一の媒体 |
| 漫画版(全2巻) | 小説準拠で表情や動きが視覚的にわかりやすい | 黒猫の語りは小説版より少ない |
ゲーム単体では黒猫の全貌を把握しきれないため、小説版や電子書籍版まで手を伸ばすことで、初めて物語の全体像が見えてくる構造になっています。
考察で注目される黒猫と「魔女の家」の関係
魔女の家は悪魔が与えた魔法である
ゲーム中の記述によると、魔女の家そのものが「悪魔が魔女に与えた魔法」とされています。
つまり、館内で機能するさまざまな仕掛けや罠は、元をたどれば黒猫が保有していた魔力に由来するものです。
魔女の家は意思を持ち、魔女の命令に応じて姿形を変えたり、侵入者を殺傷したりする能力を備えています。
この「家の意思」は先代魔女の意思が宿ったものとも解釈されており、黒猫自身も先代魔女を「彼女」「家の意思」と呼んでいたとされる記述があります。
先代魔女の存在と黒猫の歴史
エレンは黒猫にとって何代目かの魔女であり、エレン以前にも別の魔女が存在していたことが示唆されています。
先代魔女は最終的に「魔法になった」と表現されており、魔女の家の一部に組み込まれたと考察されています。
このことは「悪魔が魔女を魔法に変える能力を持つ」という設定を示唆しており、黒猫が単に契約相手を利用するだけでなく、不要になれば道具として変容させることもできる存在であることを物語っています。
考察コミュニティでは、黒猫が同い年(7歳くらい)で金色の目を持つ人物を好むという傾向が指摘されており、先代魔女とエレンの外見的な類似性が黒猫の趣味に起因するのではないかという議論も活発に行われています。
黒猫は本当の意味で「諸悪の根源」なのか
黒猫を物語全体の黒幕とする見方は広く共有されていますが、一方で異なる視点からの考察も存在します。
悪魔は自ら人間を殺せないという制約を持っており、魔女という仲介者を必要とする存在でもあります。
親切を装いながら弱者を利用する手口は確かに悪質ですが、エレンが魔女として覚醒した後の残虐な行為はエレン自身の選択でもあったという指摘もなされています。
黒猫の行為を「絶対悪」と断じるのか、「構造的な搾取」と捉えるのかは、プレイヤーや読者の解釈に委ねられている部分が大きいでしょう。
この答えの出ない問いかけこそが、「魔女の家」という作品が長年にわたり考察され続けている理由の一つといえます。
黒猫に対するプレイヤーの評価傾向
癒しキャラとしての人気
ホラーゲームの中で恐怖にさらされ続けるプレイヤーにとって、黒猫はセーブという安心感を提供してくれる貴重な存在です。
多くのプレイヤーが「黒猫を見つけるたびにホッとする」「軽口が癒しになる」と感じており、恐怖と安堵のコントラストが本作のゲーム体験を豊かにしている要素として高く評価されています。
二次創作やファンアートにおいても、黒猫は主要キャラクターに並ぶ人気を誇り、作品の象徴的な存在として定着しています。
どんでん返しの評価と注意点
「味方だと信じていたキャラクターが実は黒幕だった」というどんでん返しは、本作を名作たらしめている核心的な要素です。
セーブポイントという最も信頼できるゲームシステムを裏切りの装置として活用した構造は、フリーホラーゲーム史上でも類を見ない独創性として広く称賛されています。
一方で、黒猫の真相を知るにはノーセーブクリアが必須であるため、難易度の壁に阻まれて真実にたどり着けないプレイヤーも少なくありません。
さらに、ゲーム単体では情報が不完全で、小説版や電子書籍版まで追わなければ全貌が掴めないという構造について、ゲーム内で完結してほしかったとする声も一部には見られます。
まとめ:魔女の家の黒猫が持つ物語的意義
- 黒猫の正体はエレンに魔女の力を授けた悪魔であり、猫の死体に憑依した仮の姿にすぎない
- ノーセーブクリア(黒猫に一度も話しかけない)を達成すると、黒猫の名前が「悪魔」に変わる演出が発生する
- エレンとの契約関係は200年以上にわたり、自由になる方法を先延ばしにしてエレンに殺人を続けさせていた
- 最終フロアで黒猫の死骸を踏み続けると粉砕されて消える隠し要素がある
- セーブの仕組みと黒猫を結びつけた設計は、物語全体のどんでん返しに直結する伏線として機能している
- リメイク版「魔女の家MV」のExtraモードでは黒猫のセリフが追加され、より深い情報が得られる
- 電子書籍版限定の掌編「黒猫のモノローグ」では、悪魔視点からの物語が語られる
- 黒猫は先代魔女も含め複数の魔女と契約してきた存在であり、エレンも歴代魔女の一人にすぎない
- 魔女の家そのものが黒猫の魔力に由来する「悪魔が与えた魔法」であるという設定が存在する
- ゲーム・小説・電子書籍・漫画のすべてを横断して初めて黒猫の全貌が理解できる多層構造になっている

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