ファイナルファンタジーVII(FF7)の物語を深く理解する上で、ザックスとクラウドの関係性は避けて通れない、非常に重要な要素です。
オリジナル版からリメイク作品に至るまで、二人の関係は物語の根幹をなし、多くの謎と感動を生み出してきました。
特に、クラウドの記憶の混濁や人格の入れ替わりといったミステリアスな部分は、ザックスの存在なくしては語れません。
この記事では、「ザックスとクラウドの関係」というテーマを中心に、二人の出会いや年齢、強さの比較、そして物語の核心に迫る記憶の謎について、初めてFF7に触れる方にも分かりやすく徹底解説していきます。
FF7の重要人物!ザックスとクラウドの関係性を解説
ザックスとクラウドの出会い
ザックスとクラウドの出会いは、FF7の物語が始まる数年前、二人が神羅カンパニーに所属していた時期に遡ります。
結論から言うと、二人の最初の接点は、エリート兵士組織「ソルジャー」のクラス1stであったザックスと、ソルジャーに憧れるも適性試験に合格できず、一般兵として勤務していたクラウド、という上官と部下のような関係性でした。
彼らが本格的に親交を深めるきっかけとなったのは、『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』(CCFF7)で描かれた、モデオヘイムへの任務です。
この任務に同行した際、お互いが辺境の田舎出身であるという共通点から意気投合しました。
明るく誰にでも気さくなザックスが、内向的で人見知りなクラウドに積極的に話しかけたことで、二人の間には友情が芽生えていきます。
ザックスはクラウドにとって、憧れのソルジャーであり、頼れる兄のような存在でした。
一方、クラウドはザックスにとって、守るべき弟分であり、心を許せる数少ない友人となっていったのです。
この出会いが、後に二人の運命を大きく左右し、FF7本編の壮大な物語へと繋がっていく重要な第一歩となりました。
クラウドとザックスの年齢と年齢差
クラウドとザックスの年齢、そしてその年齢差は、二人の関係性を理解する上で興味深いポイントです。
二人の年齢差は「2歳」で、ザックスがクラウドの兄貴分であったことが公式設定からもうかがえます。
具体的な年齢の推移を見ていきましょう。
ザックスの物語である『CCFF7』が始まった時点で、彼は16歳です。
物語の重要な転換点である「ニブルヘイム事件」の際には、ザックスは20歳前後、クラウドは18歳前後と考えられます。
そして、ザックスがその短い生涯を終えるのは23歳の時でした。
一方のクラウドは、FF7本編の物語が始まる時点で21歳です。
つまり、ザックスが亡くなった年齢に、クラウドは近づきつつあるということになります。
キャラクター | ニブルヘイム事件の時点 | FF7本編開始の時点 |
---|---|---|
ザックス | 20歳前後 | 23歳(故人) |
クラウド | 18歳前後 | 21歳 |
この2歳という年齢差は、二人の関係性に絶妙なリアリティを与えています。
先輩後輩、あるいは兄と弟のような関係を築くには自然な年齢差と言えるでしょう。
ちなみに、リメイク作品のグラフィックでは、クラウドが童顔に見えるのに対し、ザックスは年齢よりも少し大人びて見えるという意見もファンの間では多く見られます。
これは、数々の過酷な戦場を経験してきたザックスの力強さや頼もしさを表現するための演出かもしれません。
ザックスとクラウドはどっちが強いのか
「ザックスとクラウド、どちらが強いのか」という疑問は、ファンの間で長年議論されてきたテーマの一つです。
この問いに対する答えは単純ではなく、どの時点での二人を比較するか、そして「強さ」をどう定義するかによって変わってきます。
純粋な兵士としての実力や経験値で言えば、間違いなくザックスに軍配が上がります。
ザックスは神羅カンパニーのソルジャーの中でも最高ランクである「クラス1st」にまで上り詰めた、正真正銘のエリートです。
英雄セフィロスやアンジールといった伝説的なソルジャーたちと肩を並べて戦い、数々の修羅場を乗り越えてきた経験は、彼の強さの裏付けとなっています。
一方、クラウドはソルジャーの適性試験に落ちた一般兵であり、正規の訓練は受けていません。
しかし、クラウドには計り知れない潜在能力が秘められています。
その片鱗が最も顕著に現れたのが、ニブルヘイム事件です。
この時、親友のティファを傷つけられ激昂したクラウドは、一般兵でありながら英雄セフィロスに不意打ちで深手を負わせ、魔晄炉へと投げ落としました。
これは通常の精神状態や身体能力では到底不可能なことであり、クラウドが持つ爆発的な力の証明と言えます。
結論として、安定した戦闘能力や兵士としての格ではザックスが上ですが、精神的な高ぶりによってリミッターが外れた時の爆発力においては、クラウドがザックスを凌駕する可能性を秘めている、と言えるでしょう。
クラウドが一般兵なのになぜ強いのか
前述の通り、クラウドはソルジャー適性試験に落ちた一般兵です。
それにもかかわらず、なぜ彼はソルジャー・クラス1stに匹敵するほどの強さを発揮できるのでしょうか。
その理由は、主に二つの要因に分けられます。
一つ目は、クラウドが元々持っていた身体的な素質の高さです。
ソルジャーの適性試験では、魔晄に対する精神的な耐性が重要視されます。
クラウドはこの精神面の弱さから不合格となりましたが、身体能力そのものはソルジャー候補生の中でも高かったと考えられます。
ニブルヘイムでセフィロスに一矢報いたのは、まだジェノバ細胞を注入される前の出来事であり、彼の地力の強さを物語っています。
二つ目の要因は、ニブルヘイム事件の後、宝条博士によって行われた「セフィロス・コピー実験」です。
この実験で、クラウドは体内に英雄セフィロスの元となった異星生命体「ジェノバ」の細胞を埋め込まれ、さらに高濃度の魔晄を浴びせられました。
この非人道的な人体実験の結果、クラウドの肉体は常人離れした強靭さを獲得し、ソルジャーと遜色ない、あるいはそれ以上の戦闘能力を持つに至ったのです。
つまり、クラウドの強さは「元々の素質」と「後天的な肉体改造」のハイブリッドによるものと言えます。
ソルジャーになれなかったコンプレックスと、図らずも手に入れてしまった強大な力。
このアンバランスさこそが、クラウドというキャラクターの根幹をなす魅力の一つなのです。
ザックスとクラウドの関係が生んだ記憶の謎
クラウドとザックスの人格入れ替わりの真相
FF7の物語序盤、プレイヤーが出会うクラウドは、クールで自信に満ち溢れた「元ソルジャー・クラス1st」を自称する青年です。
しかし、物語が進むにつれて、彼の記憶や人格が、実は親友であったザックスのものと混濁していることが明らかになります。
これは、単純な「人格の入れ替わり」とは少し異なります。
真相は、精神的に極限状態だったクラウドが、無意識のうちにザックスの言動や立ち振る舞いを模倣し、そこに自身の「こうありたかった」という理想像を混ぜ合わせることで、全く新しい「偽りの人格」を形成した、というものです。
この現象の引き金となったのは、ニブルヘイム事件後の過酷な経験です。
セフィロス・コピーの実験台にされ、高濃度の魔晄を浴びたクラウドは、重度の魔晄中毒に陥り、精神が崩壊寸前の状態でした。
そんな彼を最後まで守り、ミッドガル目前で力尽きたのがザックスです。
親友の死を目の当たりにした衝撃と、ソルジャーになれなかった自身の劣等感、そしてジェノバ細胞の影響。
これらの要因が複雑に絡み合い、クラウドは辛い現実から逃避するために、憧れの存在であったザックスをモデルとした「強い自分」を作り上げてしまったのです。
そのため、彼の言動の端々にはザックスの口癖や仕草が混じり、あたかも自分がソルジャーであったかのような記憶を語ります。
しかし、自分の名前は「クラウド」であると認識しているなど、完全にザックスと入れ替わったわけではない点が、この問題の複雑さを物語っています。
クラウドの記憶はザックスの影響で生まれた
FF7本編でクラウドが語る過去の出来事、特にソルジャーとしての経験談の多くは、実際にはザックスが体験したことです。
クラウドの偽りの記憶は、ザックスから多大な影響を受けて形成されました。
この記憶の混濁が起こった直接的な原因は、ザックスが魔晄中毒で意識が朦朧としているクラウドを連れて、神羅屋敷から逃亡していた道中にあります。
ザックスは、ほとんど反応のないクラウドに対して、一方的に自身のこれまでの経験や将来の夢などを語り聞かせていました。
「ミッドガルに着いたら、なんでも屋をやろう」という有名な提案も、この時のザックスの言葉です。
魔晄中毒状態のクラウドの脳裏には、ザックスが語る言葉や、共に行動した際の光景が断片的に焼き付いていました。
そして、ザックスの死後、ジェノバ細胞がクラウドの精神に作用し、これらの断片的な情報を繋ぎ合わせ、さらにクラウド自身の願望(ソルジャーになりたかった、ティファに認められたかった)を織り交ぜることで、「元ソルジャー・クラス1st、クラウド・ストライフ」の輝かしい(偽りの)経歴を捏造したのです。
幼馴染のティファが、再会したクラウドの語る過去に違和感を覚えながらも、精神的に不安定な彼を気遣って強く否定できなかったことも、この偽りの記憶を一時的に安定させてしまう一因となりました。
なぜクラウドはザックスを忘れるのか
親友であり、命の恩人でもあるザックス。
それほどまでに大切な存在であったはずの彼のことを、なぜクラウドは完全に忘れてしまったのでしょうか。
その理由は、非常に悲しい精神的な自己防衛本能にあります。
クラウドにとって、「ソルジャーになれなかった自分」という現実は、受け入れがたいコンプレックスの塊でした。
偽りの人格である「元ソルジャー・クラス1stのクラウド」を維持するためには、その人格のモデルとなった「本物のソルジャー」であるザックスの存在そのものが、矛盾を生む邪魔な記憶となってしまいます。
もしザックスのことを覚えていれば、「自分はザックスではない」「自分はソルジャーではない」という現実に直面せざるを得ません。
精神崩壊の危機にあったクラウドは、そうした自己矛盾から逃れるため、無意識のうちにザックスに関する全ての記憶を心の奥底へと封印し、彼の功績や経験を自分自身のものとして上書きしてしまったのです。
これは、あまりにも辛い現実と、親友を目の前で失った強烈なトラウマから自分を守るための、最後の手段でした。
ザックスから受け継いだ巨大なバスターソードを、さも自分の物であるかのように扱っているのも、この記憶の封印と上書きの結果なのです。
彼がザックスを忘れたのは、裏切りや忘恩からではなく、そうしなければ自己を保てないほどに、彼の心が追い詰められていたからに他なりません。
ライフストリームでクラウドの記憶は戻る
物語の中盤、クラウドの精神はついに限界を迎え、完全に崩壊してしまいます。
廃人同然となった彼を救うため、ティファは星の生命エネルギーの流れである「ライフストリーム」の中で、クラウドの精神世界へとダイブします。
このFF7の物語における屈指の名イベントで、クラウドは封印していた全ての真実と向き合い、本当の自分を取り戻すことになります。
ライフストリームは、星の記憶そのものであり、あらゆる生命の精神と記憶が溶け合う場所です。
ティファという他者の視点と、揺るぎない愛情という支えを得たことで、クラウドは自身の心の奥底に封印されていた記憶の扉を一つずつ開いていくことができました。
そこで彼は、自分がソルジャーではなく、内気で不器用な一人の青年であったことを思い出します。
そして、ニブルヘイム事件の真相、ティファを守るためにセフィロスに立ち向かったこと、そして何よりも、忘れていた親友ザックスの存在と、彼の壮絶な最期を思い出すのです。
全ての幻想から解き放たれ、ありのままの自分を受け入れたクラウドは、「俺は俺の現実を生きる」と誓い、真の意味で再生を果たします。
この出来事を通じて、クラウドはザックスから託された想いを胸に、星を救うための戦いに挑む覚悟を固めるのです。
ティファの献身的な支えがなければ、クラウドが記憶を取り戻すことは決してありませんでした。
まとめ:ザックスとクラウドの関係を知るとFF7はもっと面白い
- ザックスとクラウドは神羅カンパニーで出会った親友である
- ザックスが2歳年上で、クラウドの兄貴分のような存在だった
- 兵士としての実力はザックスが上だが、クラウドには計り知れない潜在能力がある
- クラウドの強さは元々の素質とジェノバ細胞による後天的な強化の賜物である
- クラウドの人格は、ザックスを模倣し自身の理想を混ぜた偽りのものだった
- クラウドが語る過去の記憶は、ザックスの実際の経験が元になっている
- ザックスの存在を忘れたのは、辛い現実から逃れるための無意識な自己防衛だった
- ティファの助けにより、ライフストリーム内で封印された本当の記憶を取り戻す
- 二人の関係性はFF7の物語全体の根幹をなす重要なテーマである
- リメイク作品では、この関係性がさらに複雑かつ謎めいた形で描かれている
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