「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち(以下、ドラクエ7)」は、その壮大なストーリーとボリュームから多くのファンに愛される一方、シリーズ内での時系列や他の作品との繋がりについて、数多くの考察が飛び交う謎多き作品です。
「ドラクエ7の時系列って結局どうなってるの?」「天空シリーズやロトシリーズとの関係は?」「鬱ゲーって本当?」そんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、プロのライター兼エキスパートの視点から、ドラクエ7の時系列に関する公式見解とファンの様々な考察を徹底的に分析します。
さらに、他のナンバリング作品との繋がり、鬱ゲーと呼ばれる所以、そして最新作ドラクエ12との関係性まで、あらゆる角度からドラクエ7の謎に迫ります。
この記事を読めば、ドラクエ7の世界観をより深く理解し、その物語の本当の魅力に気づくことができるでしょう。
結論:ドラクエ7の時系列はどこ?シリーズ最古か単独作品か

【公式見解】ドラクエ7はロト・天空に属さない「単独タイトル」
公式な見解として、ドラクエ7は「ロトシリーズ(1,2,3,11)」や「天空シリーズ(4,5,6)」には属さない「単独タイトル」として位置づけられています。
これは、ドラクエ8と同様の扱いです。
公式ガイドブックや記念書籍などでも、シリーズは大きく「ロト」「天空」「その他(単独)」に分類されており、ドラクエ7には他のシリーズのような明確な血縁や世界の繋がりが明言されていません。
そのため、物語としては他の作品を知らなくても完全に楽しむことができる独立した作品というのが、まず押さえておくべき基本的な立ち位置となります。
【有力な考察】すべての物語の始まり?「シリーズ最古説」とその根拠
公式では単独タイトルとされていますが、ファンの間では「ドラクエ7はシリーズの中で最も古い時代の物語ではないか」という「シリーズ最古説」が根強く支持されています。
この説の大きな根拠となっているのが、作中に登場するモンスターやアイテムです。
例えば、ドラクエ7には「プロトキラー」というモンスターが登場します。
これは、他のシリーズで強力な敵として登場する「キラーマシン」のプロトタイプ(試作品)と解釈でき、物語が他の作品よりも過去であることを示唆しています。
また、物語のキーアイテムである「飛空石」が、後の作品に登場する空飛ぶ乗り物の原型ではないか、といった考察も、この説を補強する材料となっています。
なぜドラクエ7の時系列考察は複雑で意見が分かれるのか?
ドラクエ7の時系列考察がこれほどまでに複雑化し、多様な意見が生まれる最大の理由は、「公式が明確な繋がりを否定しつつも、繋がりを匂わせる要素が意図的に散りばめられているから」です。
単独作品でありながら、後述する「ダーマ神殿」や「エビルエスターク」といった存在が、他のシリーズとの関連性を想起させます。
また、外伝作品である「ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート」では、ドラクエ7のキーファが登場しますが、その舞台はドラクE2から数百年後の世界とされており、時系列の解釈を一層難しくしています。
このように、確定的な情報が少ない一方で、考察のヒントとなる要素が多いため、ファンの間で活発な議論が続いているのです。
【比較】ドラクエ全シリーズの時系列と7の位置づけをわかりやすく解説
【ロトシリーズ】時系列は「11→3→1→2」
ドラクエの原点であるロトシリーズの物語は、発売順(1→2→3)とは異なり、時系列としては「11→3→1→2」の順番で繋がっています。
「ドラクエ3」で主人公が「ロト」の称号を得て伝説となり、その数百年後を描いたのが「ドラクエ1」、さらにその100年後が「ドラクエ2」です。
そして、近年の「ドラクエ11」では、エンディングでドラクエ3へと繋がる描写があり、全てのロトの物語の始まりであることが示唆されました。
【天空シリーズ】時系列は「6→4→5」
親子三代にわたる壮大な物語が魅力の天空シリーズも、発売順(4→5→6)とは異なり、時系列は「6→4→5」の順番です。
「ドラクエ6」に登場する「ゼニスの城」が後の「天空城」となり、そこで語られる物語が数百年後の「ドラクエ4」、さらにその後の「ドラクエ5」へと繋がっていくことが、公式ブック「ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書」などで明かされています。
時系列順 | タイトル | 繋がりを示す主な要素 |
---|---|---|
① | ドラクエ6 | ゼニスの城、ラミアスの剣(後の天空のつるぎ) |
② | ドラクエ4 | 天空城、天空の勇者(天空人と人間のハーフ) |
③ | ドラクエ5 | 天空城、天空の勇者(主人公の子供) |
ドラクエ7と8はどこに入る?単独タイトルと各シリーズの関係性
前述の通り、ドラクエ7と8は公式にはシリーズに属さない単独タイトルです。
しかし、考察の世界では、ドラクエ7は「全シリーズの最古の物語」、ドラクエ8は「ドラクエ3の世界から分岐したパラレルワールド」という見方がされることがあります。
ドラクエ8で登場する神鳥レティスが、自身のことを「生まれた世界ではラーミアと呼ばれていた」と語るシーンは、ドラクエ3との繋がりを示唆する有名な場面です。
プレイする順番と物語の時系列は違う?おすすめのプレイ順
結論から言うと、ドラゴンクエストシリーズは「どの作品からプレイしても楽しめる」ように作られています。
時系列を知っているとニヤリとできる小ネタや、物語の深みをより感じられるのは事実ですが、各タイトルがそれぞれ独立した完成されたストーリーを持っているため、時系列を知らないと楽しめないということは一切ありません。
初めてプレイする方は、興味を持った作品や、リメイクされていて遊びやすい作品から始めるのがおすすめです。
その上で、時系列を意識して「6→4→5」や「11→3→1→2」とプレイすると、新たな発見があるでしょう。
ドラクエ7は天空シリーズと繋がっている?ファンの考察まとめ

繋がり考察①:「ダーマ神殿」「ゼニス城」「グラコス」の存在
ドラクエ7が天空シリーズ、特にその始まりであるドラクエ6と繋がっているのではないか、という考察の根拠として、いくつかの共通の存在が挙げられます。
- ダーマ神殿: 転職を司るこの神殿は3, 6, 7に登場しますが、6の世界では滅んでしまっています。これにより「6は7より後の時代」という推測が成り立ちます。
- ゼニス城: 天空城の原型とされるこの城は、リメイク版3の隠しダンジョンと6に登場します。これが後の天空シリーズに繋がると考えられています。
- グラコス: 海の魔物グラコスは6と7の両方に登場します。7では完全に倒されてはいないため、「7→6」という時系列の説得力を高めています。
これらの要素から、「ロトシリーズ(3の上の世界) → 7 → 6 → 4 → 5」という壮大な時系列を提唱するファンもいます。
繋がり考察②:「エビルエスターク」はエスタークの原型なのか
ドラクエ7の隠しダンジョンには、「エビルエスターク」というモンスターが登場します。
このモンスターが、天空シリーズの4や5に登場し、「地獄の帝王」として知られるエスタークの不完全な状態、あるいは原型なのではないかという考察です。
もしこの説が正しければ、エスタークが存在する天空シリーズよりも前に、ドラクエ7の物語があったことになります。
繋がり考察③:キーファが繋ぐ?「キャラバンハート」との関係性
ドラクエ7の時系列を複雑にしている一因が、外伝作品「ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート」の存在です。
このゲームの主人公はドラクエ7のキーファ王子ですが、物語の舞台は「ドラクエ2の数百年後」とされています。
これを文字通り受け取ると「ロトシリーズ→7」となってしまい、他の考察と矛盾が生じます。
解決策として、ドラクエ世界における「旅の扉」は、空間だけでなく時間も超える装置であり、キーファは過去のドラクエ7の世界から未来のドラクエ2後の世界へ移動したのではないか、という解釈もなされています。
繋がり考察④:DQ4の裏ボスとの関係は?「エッグラ&チキーラ」の謎
一部の熱心なファンからは、さらに踏み込んだ考察も提示されています。
その一つが、ドラクエ4の隠しダンジョン(裏ボス「エッグラ&チキーラ」へ向かう道中)で使われているマップが、ドラクエ7のマップと酷似しているという指摘です。
また、エッグラ&チキーラが「創造主」のような立ち位置であることから、「彼らが世界を創造 → ドラクエ7の物語 → 天空シリーズ」という、壮大な歴史の流れを想定する説もあります。
これはあくまでファンの推測の域を出ませんが、開発者が意図的に仕込んだ遊び心の可能性も否定できません。
考察の前に知っておきたい!ドラクエ7のストーリーを簡単におさらい
あらすじ:世界にたった一つの島から始まる石版探しの冒険
物語は、広大な海にぽつんと浮かぶ平和な島「エスタード島」から始まります。
主人公とその友人である王子キーファは、世界にはこの島以外にも大陸があるはずだと信じ、島の禁じられた遺跡を探索します。
そこで発見した不思議な「石版」の力により、二人は過去の、魔物によって封印された様々な土地へ飛ばされることになります。
主人公たちは、過去の世界で起こる問題を解決し、封印を解くことで、現代の世界に失われた大陸を取り戻していく壮大な旅に出るのです。
主要な登場人物とそれぞれの役割(主人公、キーファ、マリベル、ガボなど)
- 主人公: 漁師の息子。不思議なアザを持つ。プレイヤーの分身。
- キーファ: グランエスタードの王子。好奇心旺盛で、主人公を冒険に誘う親友。物語の途中で大きな決断を下す。
- マリベル: 主人公の幼馴染。おてんばで口は悪いが、根は優しいお嬢様。
- ガボ: オオカミに育てられた野生児。人間離れした嗅覚と素早さを持つ。
- メルビン: かつて神と共に魔王と戦った伝説の英雄。石板に封印されていた。
- アイラ: ユバール族の踊り子。神を復活させるための儀式を担う重要な人物。
物語の核心:神と魔王オルゴ・デミーラの戦いの真相とは
かつて、この世界は神と魔王オルゴ・デミーラが激しく争い、両者相打ちとなって神は姿を消し、魔王も力を失ったと伝えられていました。
主人公たちの活躍で全ての大陸が復活し、一度は魔王を倒しますが、物語はそこで終わりません。
その後、儀式によって復活させた「神」こそが、実は生きていた魔王オルゴ・デミーラ本人であり、世界を再び封印してしまうという衝撃の展開が待ち受けています。
この「信じていたものが最大の敵だった」という構図が、物語に深い陰影を与えています。
ドラクエ7の作中世界の時系列(過去の出来事の順番)
ドラクエ7は、石版によって様々な時代の、封印された過去の世界を旅します。
それらの過去の出来事にも、おおよその前後関係が存在します。
例えば、ダイアラックの村を訪れたヨゼフという人物が、後に青年となって聖風の谷を訪れたり、ユバール族のジャンが、数十年後にハーメリア地方で老人になって登場したりと、小さな歴史の流れが描かれています。
これらの細かい繋がりを追っていくのも、ドラクエ7の楽しみ方の一つと言えるでしょう。
なぜドラクエ7は鬱ゲーと呼ばれる?時系列以外の深い魅力と考察

ドラクエ7が「鬱ゲー」「シリーズ屈指の問題作」と言われる理由
ドラクエ7が「鬱ゲー」と呼ばれる最大の理由は、魔物を倒しても単純なハッピーエンドにならない、後味の悪いエピソードが非常に多いからです。
物語の中で浮き彫りになるのは、魔物の恐ろしさよりも、人間の持つ欲望、嫉妬、差別、エゴといった負の側面です。
過去の問題を解決し、現代に戻っても救われない人々がいたり、良かれと思って取った行動が悲劇を招いたりするなど、プレイヤーにやるせなさや無力感を突きつけるシナリオが随所に散りばめられています。
この人間ドラマの深さと重さが、ドラクエ7を単なるRPGではない「問題作」たらしめているのです。
特に重い鬱シナリオはどれ?ファンのトラウマランキング
ドラクエ7には数多くの鬱シナリオが存在しますが、特にファンの間でトラウマとして語り継がれているエピソードをいくつか紹介します。
- レブレサック: 人間不信の極致。村のために神父を魔物のスケープゴートにした村人たちの醜いエゴが描かれる、シリーズ屈指の胸糞シナリオ。
- ルーメン: 人間と魔物の共存の難しさを描く。プレイヤーの選択次第で、一つの町が地図から消滅してしまうという衝撃的な結末を迎える。
- フォロッド: からくり兵を生み出した技師ゼボットと、亡き恋人を模したからくり人形エリーの悲しい愛の物語。
- ウッドパルナ: 冒険の序盤で出会う女戦士マチルダの悲劇。人間への復讐心から魔物になった彼女との戦いは、多くのプレイヤーに衝撃を与えました。
これらの物語は、子供の頃には理解しきれなかった人間の複雑な感情を描いており、大人になってからプレイすると、また違った感慨を覚えるはずです。
隠されたテーマ?「遊び人のホンダラが世界を救う」という考察
ドラクエ7のもう一つの深い考察として、「遊び人のホンダラが世界を救う物語」という側面が挙げられます。
主人公の叔父であるホンダラは、定職にも就かず酒と女に溺れる、絵に描いたような「ろくでなし」です。
対照的に、主人公の父ボルカノは、誰からも尊敬される真面目で勇敢な漁師。
しかし、物語を動かす重要なアイテム(英雄が封じられた石や、闇の炎を消す聖水)を見つけてくるのは、いつもホンダラなのです。
これは、「常識に縛られた真面目な大人」ではなく、楽して儲けることしか考えていないような「遊び人の自由な発想」こそが、世界を救う奇跡を起こすのだという、本作の隠されたテーマを示唆しているのかもしれません。
幻のED?「キーファ=オルゴデミーラ説」の真相に迫る
ファンの間で長年囁かれている有名な説に「キーファ=オルゴデミーラ説」があります。
これは、過去の世界に残ったキーファが、長い時を経て絶望し、魔王オルゴ・デミーラに変貌してしまったのではないか、というものです。
もしこの説が本当なら、親友と戦わなければならないという、シリーズで最も悲劇的な展開となります。
現在のシナリオ上ではこの説は明確に否定されていますが、開発当初はそのような構想があり、あまりにも救いがないために軌道修正されたのではないか、と考えるファンも少なくありません。
それほどまでに、この説は物語の深層を突く魅力を持っているのです。
【最新】ドラクエ12との繋がりは?今後のシリーズ展開を大予想
ドラクエ12は「7で出来なかったこと」をやるリベンジ作になるという説
発売が待たれる最新作「ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎」について、ドラクエ7との関連性を指摘する声があります。
特に、「ドラクエ7でやろうとして、容量や時間の問題で実現できなかった壮大な構想を、ドラクエ12で実現するのではないか」という考察です。
ドラクエ7が「未完のドラクエ」とも言われることがあるのは、幻のエンディング説など、本来描きたかったであろう物語の片鱗が感じられるからです。
その無念を、堀井雄二氏の遺作となるかもしれないドラクエ12で晴らすのではないか、という期待が込められています。
サブタイトル「選ばれし運命の炎」と聖書の関連性から見る考察
より踏み込んだ考察として、ドラクエ7が「旧約聖書」をモチーフにしているのに対し、ドラクエ12は「新約聖書」をモチーフにするのではないか、という説もあります。
この説によれば、サブタイトルの「選ばれし運命の炎」とは、キリスト(ドラクエ世界における竜)に選ばれた12人の弟子を指し、その中にはユダのような裏切り者も含まれる、というダークな展開が予想されます。
もしこれが本当なら、ドラクエ12は7以上に重く、大人向けのストーリーになる可能性を秘めています。
ドラクエ7の謎は今後のリメイクや新作で明らかになる可能性
現在、HD-2D版としてリメイクされているドラクエ3のように、ドラクエ7も将来的にリメイクされる可能性は十分に考えられます。
その際には、これまで謎に包まれていた時系列のヒントや、他のシリーズとの新たな繋がりが追加されるかもしれません。
HD-2D版ドラクエ1&2では、時系列順にプレイすると最後に驚きがある、と堀井雄二氏が示唆しており、過去作のリメイクは、シリーズ全体の物語を再構築する機会にもなっています。
ドラクエ7の時系列に関する長年の論争に、いつか公式な答えが示される日を期待しながら、今後の展開を待ちましょう。
まとめ:ドラクエ7 考察 時系列の謎を解き明かす
- ドラクエ7は公式にはロト・天空に属さない単独タイトルである
- ファンの間では「プロトキラー」の存在などからシリーズ最古説が有力視される
- 時系列は「ロトシリーズ:11→3→1→2」「天空シリーズ:6→4→5」が公式見解
- 7は単独作だが「ダーマ神殿」「グラコス」など天空シリーズとの繋がりを匂わせる要素が多い
- 物語の核心は、復活させた神が実は魔王オルゴ・デミーラだったという展開にある
- 人間社会の醜い部分を描く後味の悪いシナリオが多く「鬱ゲー」と呼ばれる
- 特に「レブレサック」や「ルーメン」はファンのトラウマとして有名
- 「遊び人のホンダラが世界を救う」という隠されたテーマの考察も存在する
- 「キーファ=オルゴデミーラ説」は有名な都市伝説だがシナリオ上は否定されている
- 最新作ドラクエ12は、7で出来なかったことを実現するリベンジ作になるという期待がある
コメント